三菱UFJアセットマネジメント、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三菱UFJ信託銀行、Progmatは、日本初の「トークン化投資信託」の開発をめざし、まずは「トークン化MMF(マネー・マネージメント・ファンド)」の基盤整備に関する協業を開始する。12月4日、4社が連名で発表した。
4日早朝、日経新聞が「三菱UFJ、MMF10年ぶり販売 普通預金より高利回りでマネー呼び込み」と報じているが、取り組みが正式に発表された形だ。
グローバルで拡大するトークン化MMF
背景にあるのは、グローバルで「トークン化金融商品」をめぐる動きが急速に拡大していることだ。海外では、短期金融商品で運用する「マネー・マーケット・ファンド(Money Market Fund:MMF)」のトークン化、いわゆる「トークン化MMF」の取り組みが進み、リリースによると、すでに市場規模は85億ドル(約1.3兆円)を超えているという。
トークン化MMFの中には、1日どころか秒単位で利回りを付与するものもあり、機関投資家は待機資金として保有するステーブルコインをトークン化MMFに換え、極めて効率的に資金運用を行うことができる。
さらに今後は、DeFi(分散型金融)でのブリッジ資産、担保資産としての活用も期待されている。
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一方、日本では状況が異なる。MMF(日本では「マネー・マネージメント・ファンド」と呼ばれた)は2000年前後には高い人気を誇ったが、金利の低下とともに市場から姿を消した。
しかし、「金利のある世界」が戻りつつある中、Progmatが事務局を務める「デジタルアセット共創コンソーシアム」は10月2日に「オンチェーン完結型STワーキング・グループ(WG)」の共同検討の結果をまとめた報告書を公表。「日本版トークン化MMF」の商品組成を目指すとしていた。
2026年の発行目指す

4社は、まずは2026年に機関投資家向けの円建てトークン化MMFの提供を目指す。また将来的には個人投資家向け商品への拡大も検討するとしている。
ステーブルコインの存在も追い風となる。ステーブルコインを使えば、ブロックチェーン上での即時決済が可能になり、トークン化MMFの購入・移転などは圧倒的にスムーズになる。
|文:増田隆幸
|画像:リリースより


