- 主要暗号資産は上昇し、ビットコインも9万3000ドルを超えているものの、アナリストはボラティリティの上昇を警告している。
- カルダノは、重要なガバナンス投票を受けて5%上昇した。一方、イーサリアムのフサカ・アップグレードは、トランザクション処理の改善を目的としている。
- 機関投資家によるビットコインへの関心は依然として高く、マクロ経済の不確実性が高まる中、ETFへの資金流入はイーサリアムよりもビットコインを好んでいる。
ビットコイン（BTC）は12月4日に9万3000ドル台で推移したが、主要な暗号資産（仮想通貨）は最大で5％上昇した。しかし、暗号資産市場全体のボラティリティが高止まりする中、一部のトレーダーはこの動きを偽のブレイクアウトの可能性があるとしている。
カルダノ（ADA）は主要なネットワーク開発において、オンチェーン活動の活性化を目的とした7000万ADAの提案が、ガバナンス投票で初めて可決されたことで5％上昇した。イーサリアム（ETH）はフサカ（Fusaka）アップグレードによって4％上昇した。このアップグレードは、レイヤー2ネットワークから送られてくる大規模な取引バッチを処理するネットワークの能力強化を目的としている。
現在の注目は、BTCが9万ドル～9万1000ドルのサポートゾーンで安定できるかどうかに集まっている。週初めの急激な清算サイクル後、市場全体のポジションは依然脆弱だが、暗号資産市場全体は11月下旬の下落後、高値圏での底値形成を試み続けている。
「12月3日、暗号資産市場は広範な上昇を見せた。BTCは一時9万3000ドルを突破したが、すぐに上昇分を吐き出した。この構造は潜在的な『偽ブレイクアウト』に似た構造だ」とBitunixのアナリストはCoinDeskへのメールで述べた。「短期的な展開は乱高下する調整局面へと移行しており、市場はBTCが9万ドルから9万1000ドルのサポートゾーンの内で安定できるかを注視している」。
「上昇面では、9万3200ドルが新たな抵抗線として浮上している」と彼らは付け加えた。
ETF（上場投資信託）のフローは、おなじみの分裂を見せた。ビットコイン現物ETFは5850万ドル（約90億6750万円、1ドル=155円換算）の流入があった一方、イーサリアム現物ETFは990万ドル（約15億3459万円）の流出を記録し、ETHが緩やかな、しかし着実な流出に直面する一方で、資本がBTCへローテーションする傾向が続いている。
このようなパターンは数週間続いており、マクロ経済の不確実性が高い時期には、機関投資家の資金はビットコインへのエクスポージャーを増やす傾向が強いという見方を裏付けている。
マクロ経済の動きは、リスク選好のセンチメントに影響を与え続けている。ドナルド・トランプ（Donald Trump）大統領は、主要な人事を通じてアメリカ連邦準備制度理事会（FRB）に対するより厳しい統制を示す姿勢を示し、来年早々にFRB議長候補者を発表する計画だと述べた。
トランプ大統領は、ケビン・ハッセット（Kevin Hassett）氏が最有力候補だと繰り返し言及している。ハッセット氏は、よりハト派的で低金利を支持する人物と広く見られている。
市場は、2025年に金融緩和的な枠組みが導入される可能性を価格に織り込み始めているが、その見通しは、依然として目標を上回るインフレ率や完全に冷え込んでいない労働市場と矛盾している。
最近の機関投資家の動きにより、市場のセンチメントは上向きになった。バンガード（Vanguard）は12月2日、顧客向けに暗号資産ETF取引のアクセスを開放した。これは同社が長年抵抗してきた資産クラスに対する方針転換だ。バンク・オブ・アメリカ（Bank of America）も機関投資家の顧客に対し、ポートフォリオの1～4％を暗号資産に配分できると伝えた。
暗号資産の時価総額は3兆1500億ドル（約488兆2500億円）まで上昇し、3兆3800億ドル（約523兆9000億円）の節目を下回る警戒感が続く中でも、局所的なピークを上回り、トレンド形成の初期段階を示唆している。
｜翻訳：CoinDesk JAPAN
｜編集：井上俊彦
｜画像：Shutterstock
｜原文：ADA, ETH, XRP Climb as Bitcoin Zooms Above $93K, But Traders Warn of ‘Fakeout Rally’
