10年物米国債利回りに上昇の余地あり:ING
  • INGのアナリストは、10年米国債利回りのブレイクアウトの可能性を指摘している。
  • 4.1%を超える決定的な動きは、より構造的な変化を示唆する可能性があり、2026年までの市場動向に影響を与える可能性があると同社は述べている。
  • 10年国債利回りの上昇は、暗号資産を含むリスク資産の重しとなる可能性がある。

暗号資産(仮想通貨)強気派にとっての悪い知らせとして、オランダのING銀行のアナリストは、現在4.09%の米国10年物国債利回りの上昇余地を指摘した。これはCoinDeskの予測と一致する。

利回りは堅調さを示しており、11月のADP雇用統計がここ5カ月間で3度目のマイナスとなるなど複数の弱い経済指標にもかかわらず、4%を上回って推移している。利回りの上昇は金融情勢を緊縮させ、リスクテイクの意欲を削ぐ可能性があるため、暗号資産を含むリスク資産の重しとなるだろう。

「米国債は4%から4.1%の取引レンジを好んでいる。一時的に下抜けする可能性は高いが、上抜けにはより持続性がある」と、同行は12月4日の顧客向けノートで述べた。

アメリカ政府の基準借入コストである利回りは、ADPの発表後、2ベーシスポイント低下して4.06%となったが、すぐに反転した。これは異例のことだ。弱い雇用統計と抑制されたインフレ見通しは通常、景気刺激のため金利が低下する兆候とされる。

アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待も同様で、今月の利下げ確率が87%まで急上昇している。しかし10年物利回りは9月以降、4%から4.20%の間で推移している。CoinDeskが今週初めに指摘した重要な点だ。

INGはこの硬直性をアメリカ経済の構造変化に起因すると分析する。AI(人工知能)に部分的に支えられた生産性向上が、雇用よりも成長を牽引する役割を拡大しているのだ。

「米国債は雇用情勢の弱さに多少の耐性を築いている」とアナリストは記した。「移民流入が減少したため雇用創出の必要性が低下した点も一因だ。しかし、将来の成長を牽引するのは雇用増加ではなく、AIなどによる生産性向上である点も影響している」。

12月5日に発表予定の個人消費支出(PCE)統計は10年物の利回りに変動をもたらす可能性がある。

INGによれば、弱い報告なら利回りは4%を下回る可能性があるが、下落は一時的なものに留まる見込みだ。一方で4.1%を明確に上抜ければ、より構造的な動きとなり、2026年まで続く基調を決定づける可能性がある。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:ING Flags Upside Potential in 10-Year U.S. Treasury Yield

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