- イーサリアムはネットワークから20日間で40万ETH、13億ドル相当が引き出された。
- イーサリアムDAT企業ビットマインは市場の不確実性が続く中、13万8452ETHの大規模購入を続け、保有量を拡大。
- 同社を率いるトム・リー氏はイーサリアムの底打ちを予測したが、オンチェーンデータはその仮説に疑問を投げかけている。
ステーカーが撤退するなか、ビットマインは大規模購入：イーサリアムはサポートラインを試す展開
イーサリアム（ETH）価格はCoinMarketCapのデータによると、11日の日中に2.8%下落して3227ドルとなったが、週次では3.10%の上昇を維持している。とはいえ、相反する材料の間で苦戦を続けている。トレーダーは、DAT（Digital Asset Treasury）企業による保有の大規模な拡大の一方、マクロ経済の不確実性、継続的なステーキングの引き出しを目撃している。
この1週間、イーサリアムは12月の大部分を通じて維持されてきたレンジ、2800ドル〜3400ドルの間で推移した。
11日のDecryptとのライブインタビューにおいて、世界最大のイーサリアム保有企業BitMine（ビットマイン）の創業者Tom Lee（トム・リー）氏は、8日にイーサリアムが3000ドルを割った動きを「潜在的な底打ちシグナル」と表現した。同社は先週、約4億6000万ドルに相当する13万8452ETHを購入している。これは10月以降で同社最大の購入規模となった。10月には、イーサリアム流通供給量の5%を取得するという長期計画の一環として、20万ETH以上を買い集めた。
ビットマインは現在、総供給量の3.2%に相当する約386万4000 ETH（約128億5000万ドル相当）を保有し、世界第2位の暗号資産保有企業となっている。1位は610億ドル以上のビットコイン（BTC）を保有するStrategy（ストラテジー）だ。
だがビットマインの積極的な購入の一方で、オンチェーンデータが示唆するイーサリアムの価格見通しはトム・リー氏の強気見解とは完全には一致していない。
イーサリアムブロックチェーンにステーキングされているイーサリアムの総額を追跡するCryptoQuantのデータを見ると、11月下旬の価格下落後、ETHが継続的に引き出されていることがわかる。ステーカーは約40万ETHを引き出しており、その結果、ステーキング総量は12月11日時点で3630万ETHから3590万ETHに減少している。
現在の市場価格で換算すると、これは13億ドルに相当するETHが市場流通に戻ることに等しい。このような急速な流出は通常、リスク回避の再燃と短期的な流動性ニーズを示すもので、イーサリアムが決定的な「底打ち」を行ったという考え方とは矛盾する。ステーキングからの引き出しは、市場に売り圧を加えることになる。特に今、市場にはブレイクアウトを維持するための強力な材料が欠けている。
モメンタムが弱まる中、強気派はミドルレンジを守れるか
イーサリアムは当記事執筆時点、3227ドルで取引されているが、テクニカル指標は強気モメンタムが弱まっていることを示している。12時間足チャートを見ると、ETHは3125ドル付近にある20期間（20-SMA）のボリンジャーバンド中央値を上回っており、この水準が目先のサポートラインとなっている。ETHの日中のローソク足は、3363ドルにあるボリンジャーバンドの上限抵抗線より下に留まっているため、直近の上昇の試みは制限されている。
テクニカル指標であるRSI（相対力指数）は57で、緩やかな強気を示しているものの、相場が急騰するほどの勢い（ブレイクアウトのモメンタム）はまだない。一方、MACD（移動平均収束拡散）はゼロより上に位置しており、引き続き強気の傾向を示しているものの、ゼロ付近での横ばい推移が続いているため、ヒストグラム（勢いを示す棒グラフ）は短くなり、上昇の勢いが弱まっていることがわかる。これは、直近の3360ドル付近での反落の後、買い手の確信が薄れていることを反映している。
もし強気派が3125ドルのサポートを維持できれば、イーサリアムは3300ドルへの反発を試み、3360ドルのレジスタンスを再テストする可能性がある。このレンジを上抜けできれば、ボリンジャーバンドのボラティリティ拡大に支えられ、3450ドルへの道が開かれるかもしれない。
しかし、中央値のピボット（転換点）を維持できなければ、ETHは3000ドルに向かって押し戻される可能性がある。そこでは心理的なサポートが先週の保ち合いゾーンと一致している。3000ドルを下回ってブレイクダウンすれば、2886ドルへの下落リスクが高まる。そこはボリンジャーバンドの下限であり、より広範な弱気相場が続く前の最後防衛ラインだ。
MACDのモメンタムの弱まりと継続的なステーキングからの引き出しを考慮すると、イーサリアムの短期的な価格見通しは依然として脆弱だ。強気派はモメンタムを決定的に有利にするために、3360ドルのレジスタンスを確保しなければならない。それまでは、イーサリアム価格は中立から弱気を維持する傾向にあり、ボラティリティの上昇は、方向性のあるブレイクアウトよりも短期的なレンジ取引につながるだろう。
｜翻訳・編集：CoinDesk JAPAN編集部
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