人民元高がビットコイン価格を支える可能性
  • 中国人民元の上昇は、世界的な資金の流れに影響を与え、ビットコインにとってより強気な環境を作り出すかもしれない。
  • 人民元が上昇すれば、中国は経済刺激策を実施することができ、世界経済の変化の中で暗号資産に恩恵をもたらす可能性がある。
  • 人民元の上昇はドル安につながる可能性があり、歴史的に見て、ビットコインのようなドル建て資産の需要を押し上げる。

ビットコイン(BTC)の価格は、しばしば世界の資金の流れに合わせて動く。ある観測筋によれば、現在、人民元の堅調さが、この暗号資産(仮想通貨)にとってより強気な背景を整えつつある可能性がある。

12月17日早朝の人民元相場は1ドル=7.043元で、10月8日以来の高値を記録した。今四半期で約1%、4月の安値7.3504元からは4%上昇している。

[USD/CNYチャート。人民元が2カ月ぶりの高値に急騰した。:TradingView]

歴史的に見て、人民元がビットコイン価格に直接的な影響を与えることはほとんどなかった。人民元安が中国の資本を暗号資産市場に流入させるという噂(逆も同様)は長年囁かれてきたが、確固たる証拠は一切存在しない。

しかしニュースレターサービスの「LondonCryptoClub」によれば、人民元価値の変動はマクロ経済や外国為替市場を通じてビットコインに影響を与える可能性がある。同サービスの創設者は、人民元の継続的な上昇がビットコイン価格にとって好材料となり得ると述べた。

「人民元が上昇すれば、中国がデフレスパイラルに対処するための景気刺激策や金融緩和を強化する口実となる」と創設者はCoinDeskに語った。

通貨高は輸入品価格を押し下げ、国内インフレに抑制効果をもたらす。これにより政策当局は景気刺激策を実施する余地が生まれる。

偶然にも、今週初めに発表された小売売上高や企業投資の低迷データを受け、人民元高と並行して中国の景気刺激策を求める声が高まっている。

この刺激策は、日本やオーストラリアでの借入コスト上昇や、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペース鈍化の見通しを相殺し、暗号資産を含むリスク資産を支える可能性がある。

さて、外国為替の部分に移ろう。人民元の止まらない上昇は、中国人民銀行が人民元に対してドルを買い入れる介入を促す可能性がある。

これらのドルはただ放置されるわけではない。ドル、ユーロ、円など主要な通貨で構成される数兆ドル規模の準備金ポートフォリオの安定を維持するため、循環的に利用されたり、他の通貨に対して売却されたりする。

この操作は結局、ドル指数(DXY)を下落させる結果となる。周知の通り、ドル安はビットコインのようなドル建て資産の需要を押し上げ、金融環境の緩和(資金調達コストの低下)に寄与する傾向がある。

「人民元高を抑制する平滑化操作は、実質的に人民元を発行してドルを購入するため、マネーサプライの増加を意味する。これらのドルもまた『再流通』され、ポートフォリオ内の外貨比率を安定させるために他通貨に対して売却される」と創業者は述べた。

「これが広範なドル安を助長する。これらすべてが相まって流動性環境を緩和し、ビットコインにとって強気材料となるはずだ」と彼は付け加えた。

今後数週間で、これがビットコインの下落を食い止め、市場が再び足場を固める助けとなるかが明らかになるだろう。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:How China’s strengthening yuan could support bitcoin prices

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