現在の相場フェーズは「高値圏での調整後に形成されたレンジ局面」であり、方向性は条件付きでやや下向きと捉えられる。直近3カ月、金と銀は上昇を続けている一方で、ビットコインは横ばい推移に留まっている。この乖離は、地政学や政策を巡る不確実性の高まりによる安全資産志向、実質金利低下への期待、そして機関投資家資金が貴金属に入りやすい構造によって説明できる。銀は供給制約と投機資金の影響を受けやすく、金の動きを増幅させる形となっている。
一方、ビットコインは依然として「高ベータのリスク資産」として評価されやすく、純粋な安全資産とは見なされていない。リスクオフ局面では、資金はまず金や国債へ向かい、ビットコインは後回しになりやすい。金が中長期志向で価格感応度の低い買い主体を持つのに対し、ビットコインは短期ポジションや限界的な需要の影響を受けやすく、マクロ環境の追い風だけでは上昇が持続しにくい。
CryptoQuantのオンチェーンデータもこの構造を裏付けている。Bitcoin apparent demandは直近でマイナスに転じ、新規需要が価格水準に見合って拡大していないことを示唆する。

また、Short Term Holder SOPRは1を下回る時間が増え、短期保有者が含み損や損切りに近い状態で売却しやすい環境が続いている。金・銀に資金が向かう局面では、こうした需給構造がビットコインの上値を抑えやすい。

現時点のベースシナリオは、金・銀は安全資産フローにより底堅く推移し、ビットコインは需要の弱さと短期保有者の売り圧力によって上昇が限定される、というものだ。 ただし、apparent demandが持続的にプラスへ転じ、STH SOPRが1を安定して上回る状況が確認される場合、この見方は見直す必要がある。
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