ETFは記録的な資金流入、それでもビットコインが伸び悩む理由をオンチェーンで見る【エックスウィンリサーチ】
  • 相場は高値後の調整・停滞フェーズにあり、急落は一巡したが需要は弱い
  • ビットコイン現物ETFには流入が続く一方、米国スポット需要は鈍く、Coinbase Premiumはマイナス圏
  • 焦点は下落再開ではなく、ETFを含む長期資金がどの水準で吸収を始めるかにある

現在の相場フェーズは「史上最高値更新後の調整局面」と定義できる。方向性は条件付きで弱気が優勢であり、パニック的な売りというよりも、需要の減速が主因と考えられる。 2025年の米国ETF市場は、年初来で約1.4兆ドルの純流入を記録し、資金配分は株式・債券を中心に進んだ。

暗号資産ETFは全体では副次的な存在だが、一定の注目点もある。ビットコイン現物ETFは、価格が年初来でマイナス圏にあるにもかかわらず資金流入が続いており、一部投資家が短期の値動きより長期エクスポージャーを重視していることを示唆する。ただし、ETF市場全体を主導したのは依然として株式ETFであり、暗号資産ETFは構造的には周縁的な位置づけにとどまっている。

ビットコインの伸び悩みは、構造要因で説明できる。ETF定着というテーマは年央までに織り込まれ、追加的な需要材料が限定的だったことに加え、高金利環境がリスク許容度を抑制した。さらに、高値圏で積み上がったポジションが、相場の拡大局面から調整局面へ移行する中で整理されている。

オンチェーンデータもこの見方を支持する。Coinbase Premium Indexは、年央の上昇局面では米国由来の需要が安定していたことを示す一方、直近では継続的にマイナス圏で推移している。これは、米国のスポット需要が弱まっていることを示唆しており、積極的な売却よりも「買いの不足」が価格形成に影響している可能性が高い。

反対シナリオとしては、Coinbase Premium Indexが持続的に回復し、米国需要が供給を吸収できる水準まで戻るケースが考えられる。 現時点では需給調整がベースシナリオ。 ただし、プレミアムの安定回復が確認される場合、この見方は見直す必要がある。

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