- ステーブルコインによる米国債の需要は来年250億ドル(約3兆7000億円、1ドル148円換算)から750億ドル(約11兆1000億円)に達する可能性があるが、これが米短期国債の動向に大きな変化をもたらすことはなく、むしろマネーマーケットファンド(MMF)にとって大きな課題になるとバンク・オブ・アメリカは述べている。
- MMFは適応するための時間が限られており、MMFの一部の顧客は、ステーブルコインが利回りを提供する方法を見つける前に、防御策としてトークン化を検討していると同行は述べた。
- バンク・オブ・ニューヨーク・メロンとゴールドマン・サックスは最近、トークン化されたMMFを導入したとレポートは指摘。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の金利戦略チームは、米国債市場は2つの新興勢力、すなわちステーブルコインによる米短期国債(T-bills)の需要と国債関連資産のトークン化によってますます形作られつつあると述べた。
ステーブルコインは米国債にとってゲームチェンジャーとなるほどではないが、MMFにとっては、ステーブルコインの高利回りの可能性が競争上の課題となるとBofAはみていると、ウォール街の同行は18日のレポートで述べた。
同行のアナリストらは、ステーブルコインによる米短期国債の需要は今後12カ月で250億ドル(約3兆7000億円)から750億ドル(約11兆1000億円)程度に徐々に増加すると予想しているが、国債市場の動向を大きく変えるほどではないとしている。
ステーブルコインは、米ドルや金などの他の資産に価値が連動する暗号資産(仮想通貨)。ステーブルコインは、暗号資産市場において重要な役割を果たしており、とりわけ決済インフラの提供に加え、国際送金にも利用されている。
BofAによると、MMFの一部の顧客は、ステーブルコインに対する防御策としてトークン化への関心を高めているという。
レポートは、7月にバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(Bank of New York Mellon)がゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)と共同で、一部のMMFの所有権記録を管理するためのブロックチェーンベースの技術を導入したと指摘した。
ステーブルコインの成長とジーニアス(GENIUS)法に後押しされたこの取り組みは、トークン化されたMMFの初のロールオーバーとなった。
ステーブルコインは現在利回りの支払いが制限されており、MMFには、規制変更や回避策によってその優位性が損なわれる前に、トークン化して競争力のある金利を提供するための限られた時間しか残されていないと、レポートは付け加えた。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:Shutterstock
|原文:Stablecoins, Tokenization Put Pressure on Money Market Funds: Bank of America


