- バンク・オブ・アメリカ(Bank of America:BofA)は、トークン化を「ミューチュアルファンド(投資信託)3.0」と呼び、投資信託とETF(上場投資信託)に続く次なる進化と見ている。
- 同行のアナリストによると、トークン化MMF(マネーマーケットファンド)が成長を主導し、ブローカーのキャッシュ・スイープモデルに代わる革新的な選択肢を提供すると予想されている。
- 流通は依然として課題であるが、ブロックチェーンベースの金融が従来の市場と並行して構築されるにつれて、ロビンフッド(Robinhood)、パブリック(Public)、eToro、コインベース(Coinbase)のようなプラットフォームが有力なパートナーとなるだろう。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)は9月5日発表のレポートの中で、ブロックチェーン上に実際の資産と結びついた仮想的な投資ビークルを作成するトークン化を、投資商品の進化における次の段階と見ていると述べ、「ミューチュアルファンド(投資信託)3.0」と表現した。
ミューチュアルファンド(投資信託)が1924年に初めて登場し、ETFが2000年代に投資を再構築したように、ブロックチェーン技術は新世代の金融商品の基礎となり得ると、クレイグ・ジーゲンターラー(Craig Siegenthaler)氏が率いるアナリストらは述べた。
現実資産(RWA)のトークン化は急速に進んでいる。BofAは、セキュリタイズ(Securitize)のような企業が、ブラックロック(BlackRock)、アポロ(Apollo)、KKR、ハミルトン・レーン(Hamilton Lane)などの資産運用会社と連携して、トークン化ファンドを発行していると指摘した。
資産運用会社のウィズダムツリー(WisdomTree)は、独自のトークン化エンジンを開発し、10以上のトークン化されたファンドを提供する能力を獲得している。
データプロバイダーのRWA.xyzによると、オンチェーン上にあるRWA(現実資産)の価値は280億ドル(約4兆1000億円、1ドル=147円換算)を超えた。その大部分はプライベートクレジットと米国債だ。
それでも、規制は依然として逆風となっている。
米国のジーニアス(GENIUS)法とクラリティ(CLARITY)法案はステーブルコインには言及しているものの、トークン化ファンドに関する多くの疑問は未解決のままだ。
それでも、BofAは、米国の投資家のアクセスがまだ限られているにもかかわらず、トークン化のメリットが時間をかけて普及を促進するだろうと主張している。
アナリストらは、2019年のロビンフッド参入によるディスラプション後、米国市場のブローカーがすでに手数料無料の株式およびETFの取引を提供しているため、トークン化株式のニーズはあまり強くないと述べている。
BofAも、この変化は、顧客の現金と注文フローを収益化する方向へと業界を押しやったため、トークン化RAWは魅力を欠いていると述べた。
しかし、スマートコントラクトが実現するトークン化MMFは、そのようなキャッシュ・スイープ的経済学を覆し、新しい収益モデルを開く可能性がある。
流通は依然としてボトルネック。トークン化ファンドを提供するプラットフォームはまだ少ないが、ロビンフッド、eToro、パブリックのようなオンラインブローカーは、暗号資産(仮想通貨)事業を展開していることと、より若くセルフカストディ志向の顧客ベースを抱えていることを考慮すると、良い位置にある。
コインベースも、純粋な暗号資産分野を超えて拡大するにつれて、パートナーとして浮上する可能性があるとレポートは付け加えた。
BofAは、トークン化MMFが普及を主導すると予想している。その理由は、ジーニアス法の下では利息を支払うことができないステーブルコインと比較して、魅力的な利回りを持つためだ。プライベートクレジットとハイイールド債がそれに続くと見られている。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shubham Dhage/Unsplash
|原文:Tokenization Is ‘Mutual Fund 3.0,’ Bank of America Says


