次の金融フロンティアは「プライベート・マーケット(未公開市場)のトークン化」

トークン化はプライベート・マーケット(未公開市場)を根本から変えようとしており、その影響力はきわめて大きいとFission Labsのジョナサン・シャファー(Jonathan Shaffer)は語る。

◇◇◇

世界で最も価値のあるスタートアップ企業は公開市場で取引されていない。そうした企業は、厳しい投資要件、長いロックアップ期間、限られた取引機会の背後に閉じ込められている。歴史的に未公開市場は少数のエリートのものだった。すなわち、基金、ファミリーオフィス、少数の限られた機関投資家などだ。

閉ざされた未公開市場

現在も未公開市場は依然として閉ざされたままだ。伝統的なプライベート・エクイティ(未公開株投資)は25万ドル(約3700万円)〜2500万ドル(約37億円)の最低投資額を必要とし、ベンチャーキャピタルファンドはしばしば100万ドルを超える最低額を要求する。こうした適格投資家要件によって、基準を満たさない大多数のアメリカ人は締め出されている。

だが、こうした排他性はひび割れ始めている。

ブロックチェーン技術の成果で、私たちは新たな金融システムの登場を目撃しつつある──それは透明性、流動性、アクセス性を、従来の不透明で流動性の低いマーケットにもたらすものだ。トークン化は未公開市場を根本から変えており、その影響力はきわめて大きい。

つまり、トークン化は、有望なスタートアップの株式やプライベートファンドの持ち分といったRWA(現実資産)を、プログラム可能なデジタルトークンに変える。単にデジタル形式に変えるだけではない。コンプライアンスが組み込まれ、価格の不均衡なしに、幅広い投資家に分割されたエクスポージャーを提供する。

トークン化が拓く可能性

高成長で、ベンチャーが支援する企業のバスケットに、単一かつ流動性があり、ブロックチェーンネイティブな資産を通じてアクセスすることを想像してみてほしい。

投資家はもはやエグジットのために7〜10年も待つ必要はない。セカンダリー・マーケット(二次市場)と流動性プロトコルは、ポジションの取引や、ポートフォリオのりバランスを従来の未公開市場よりも、ダイナミックかつより公正な価格で実現している。

こうしたトークン化金融商品には、さらに進んでいるものもあり、例えば、ガバナンス権やパフォーマンスに連動したインセンティブを組み込んだり、アクセスが困難な資産へのエクスポージャーを提供するものもある。こうした動きは、多くの点で1990年代にETF(上場投資信託)がもたらした機会に似ている──ただし今回は、オープンネットワークとスマートコントラクトがけん引している。

そして、この変化は効率性だけの話ではなく、平等なアクセスについての話だ。トークン化は、小規模な投資家、グローバルな参加者、十分に金融サービスを享受できていない地域が、これまで閉ざされていた市場に資本を配分する機会をもたらす。長い間、現代のイノベーションのエンジンであったベンチャーキャピタルは、もはやシリコンバレーの関係者や政府系ファンドだけのものではない。

発行プラットフォームからセカンダリーマーケットまで、インフラが成熟するにつれて、未公開市場のリターンへのアクセスは、もはや一部に限られたものではなく、プログラム可能な権利となる世界が実現しつつある。

まだ未公開市場全体の約1%

決して理論的な話ではない。すでに起きていることであり、トークン化ファンド、スタートアップの株式、利回りを生むプライベート債権が、分散型プラットフォームで従来の中央集権型プラットフォームと同様に活発に取引されている。セカンダリーマーケットの取引高は2024年に1500億ドルを超え、7年前の約3倍の記録的な水準に達している。それでもなお、未公開市場全体の約1%に過ぎず、成長余地はきわめて大きい。

現在のトークン化された未公開RWAの価値は約140億ドル、約12兆ドルにのぼる未公開市場全体の規模と比べると、これらの資産をオンチェーン化するきわめて大きな機会が存在している。

〈出典:RWA.xyz
〈出典:S&P Global

もちろん、進化には課題が伴う。例えば、規制の明確化、投資家保護の枠組み、投資家教育などだ。だが、この勢いは否定できない。未公開市場はあまりに大きく、アクセス需要はあまりに強いため、もはや孤立したままで存在することはできない。

未来の金融システムは、公開か未公開か、アナログかデジタルか、先進国か途上国かという線引きを持たないだろう。相互運用可能で、コンポーザブルで、オープンなものになる。

トークン化されたプライベート資産は、単なる新しいアセットクラスではない。数兆ドル規模のチャンスが世界の大部分から壁で隠されているのではなく、包括的かつ流動的で、透明性の高いブロックチェーンの世界に織り込まれることを示している。

門は開かれている。未公開市場の未来はオンチェーンにある。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Micah & Sammie Chaffin/ Unsplash
|原文:The Next Frontier in Finance: Tokenized Access to Private Markets

PR

ボーナスで始めるのにおすすめな国内暗号資産取引所3選

取引所名特徴

Coincheck
500円の少額投資から試せる!】
国内の暗号資産アプリダウンロード数.No1
銘柄数も最大級 、手数料も安い
無料で口座開設する

bitbank
【たくさんの銘柄で取引する人向け】
◆40種類以上の銘柄を用意
◆1万円以上の入金で現金1,000円獲得
無料で口座開設する

bitFlyer
初心者にもおすすめ】
◆国内最大級の取引量
◆トップレベルのセキュリティ意識を持つ
無料で口座開設する