- SECのヘスター・パース委員は、トークン化資産に関して業界関係者と協力する用意があると表明し、従来の資産との相互作用の複雑さを強調した。
- トークン化された証券は、従来の紙の証券や電子証券と並んで、ブロックチェーンベースのトークンを通じて原資産の所有権を表す。
- トークン化市場は310億ドルと評価されており、金融機関が流動性と効率性の向上を目的として導入することで、2030年までに2兆ドルに成長する可能性がある。
アメリカ証券取引委員会(SEC)のヘスター・パース(Hester Peirce)委員は9月30日、規制当局がトークン化資産について業界関係者との対話に前向きだと述べた。同時にトークン化された資産が従来の資産とどう相互作用するかの複雑さを強調した。
パース委員はシンガポールで開催されたデジタル資産サミットで講演し、「我々はトークン化を望む人々との協働に意欲的だ。ぜひ我々と話し合ってもらいたい」と語った。
トークン化された証券とは、株式や債券などの原資産に対する所有権や権利をブロックチェーン上でデジタル表現したものだ。つまり同一の証券が、従来の紙の証券や電子証券としてだけでなく、ブロックチェーンベースのトークンとしても存在し得ることを意味する。
パース氏が指摘した核心的な課題は、同一証券の異なる形態が互いにどう関連し、どう相互作用するかを理解することだ。
「トークン化された証券が、その証券の他の形態や他のバージョンとどう関わるのかが問題だ」とパース氏は説明し、トークン化の規制には微妙なアプローチが必要だと訴えた。
「トークン化の方法次第で、さまざまな形態になり得る」と彼女は指摘した。
トークン化はステーブルコインと並び、現実世界での実用性が顕著な数少ない暗号資産(仮想通貨)サブセクターだ。世界中の金融機関が市場流動性と業務効率の向上を目的にトークン化を導入しており、グローバル金融システムにおける資産の発行・取引・管理方法に変革をもたらしている。
RWA.xyzによれば、30日時点でのオンチェーン・トークン化市場総額は310億ドル(約4兆6500億円、1ドル=150円換算)に達し、うち7億1400万ドル(約1071億円)がトークン化された株式だ。
マッキンゼー(McKinsey)の分析によれば、2030年までにトークン化資産の市場規模は約2兆ドル(約300兆円)に達する可能性がある。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:SECのヘスター・パース委員。(Nikhilesh De/CoinDesk)
|原文:SEC Willing to Engage With Tokenized Asset Issuers, SEC’s Hester Peirce Says


