野村ホールディングス(HD)が、日本国内で法人向け暗号資産(仮想通貨)取引事業に参入する計画であると、Bloombergが10月3日に報じた。
同報道によると、この計画は野村HD傘下でスイスを拠点とする「レーザー・デジタル・ホールディングス」が主体となって進められる。
同社は日本の金融機関などの法人顧客を対象として、金融庁に対し暗号資産交換業者としての登録を申請する準備を進めているという。これは同社の最高経営責任者(CEO)であるジェズ・モヒディーン氏が書面で明らかにしたもので、現在、当局との事前協議が行われている段階だとされている。
Bloombergは、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)のデータを引用し、国内の暗号資産取引額が今年1月から7月までの累計で約33兆7000億円に達し、前年同期比で倍増したと伝えている。また、市場の追い風として、税制改正や暗号資産を組み入れた上場投資信託(ETF)解禁への期待感があると指摘した。
登録が認可された場合、レーザー・デジタルは「ブローカー・ディーラー」として、金融機関や他の暗号資産取引業者などを対象に業務を開始する予定とのこと。
今年1月にCoinDesk JAPANが公開したインタビューで、レーザー・デジタル日本法人の工藤秀明代表取締役社長が、日本の将来性について言及していた。
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同氏はこの中で、「現時点で、多くの日本の機関投資家にとって、(暗号資産を組み入れた資産運用は)『検討中』ということになる。(市場が動くまでには)時間はかかるだろう」と慎重な見方を示した。その上で、「しかし次の2年、3年で、日本の市場がまったく形成されないということにはならないだろう」と述べ、中長期的な市場形成への期待感を示していた。
|文:栃山直樹
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