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ビットコイン(BTC)で利益が出たけれど、いくら税金がかかるのか分からない、確定申告のやり方が複雑で何から手をつければいいか困っている、最大55%も税金を取られるって本当なのか不安に感じていないだろうか。
ビットコイン(BTC)の税金は所得税法(e-Gov法令検索)において雑所得として総合課税の対象となり、他の所得と合算して最大55%(所得税45%+住民税10%)の税率が適用される。
申告を怠ると無申告加算税や延滞税が課され、取引所の情報は国税庁に把握されているため、「バレないだろう」という考えは通用しない。
正しい知識がなければ、余計な税金を払ったり、逆に申告漏れでペナルティを受けたりするリスクがある。
本記事では、ビットコイン(BTC)で税金がかかるタイミングから利益の計算方法(移動平均法・総平均法)、確定申告が必要な人の条件、具体的な申告手順までを網羅的に解説する。
さらに経費計上や利益確定のタイミング調整など税金を減らす合法的な方法、2025年に検討されている申告分離課税への税制改正情報、おすすめの損益計算ツールまで紹介している。
この記事を読めば、ビットコイン(BTC)の税金計算から確定申告まで自分で完結でき、税金対策を講じながら安心して暗号資産投資を続けられるようになる。
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ビットコイン(BTC)の税金っていくらかかる?
ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産で得た利益には、税金が発生する。
この利益は税法上「雑所得」に区分され、他の所得と合算して総合課税の対象となる点が大きな特徴である。
国税庁の所得税法(e-Gov法令検索)では、暗号資産を売却または使用することにより生じる利益については、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として雑所得に区分され、所得税の確定申告が必要となる。
この雑所得は給与所得や事業所得などと合算され、累進課税方式により課税される仕組みとなっている。
具体的な税負担としては、所得税が最大45%、住民税が一律10%となり、合計で最大55%の税率が適用される可能性がある。
これは株式投資や投資信託の利益に適用される申告分離課税(一律20.315%)と比較すると、非常に高い税率となっている。
- ビットコイン(BTC)で得た利益が20万円を超える給与所得者
- 48万円を超える所得がある場合
この申告義務を怠ると、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性があるため、取引記録の管理と適切な申告が重要である。
ビットコイン(BTC)で税金がかかるタイミング
ビットコイン(BTC)に関する税金は、単に保有しているだけでは発生しない。
課税対象となるのは、利益が確定した時点、つまり「利益確定行為」を行った瞬間である。
まず最も基本的な課税タイミングは、ビットコイン(BTC)を日本円に売却した時点である。
ビットコイン(BTC)を取得した際の価格(取得価額)と売却時の価格との差額が利益となり、この利益が課税対象となる。
例えば、100万円で購入したビットコイン(BTC)を150万円で売却した場合、50万円が課税対象の利益として計上される。
取得価額には購入時の手数料も含まれるため、正確な計算のためには取引履歴の保管が不可欠である。
次に見落としがちなのが、ビットコイン(BTC)で他の暗号資産を購入した場合である。
国税庁の指針によれば、保有する暗号資産Aを他の暗号資産Bと交換した場合、暗号資産Aで暗号資産Bを購入したことになり、この時点でビットコイン(BTC)の利益が確定し課税対象となる。
つまり、日本円に換金していなくても、暗号資産同士の交換時点で課税が発生するのである。
さらに、ビットコイン(BTC)で商品やサービスを購入した場合も課税タイミングとなる。
ビットコイン(BTC)決済に対応している店舗やオンラインサービスで買い物をした際、その時点でのビットコイン(BTC)の時価と取得価額との差額が所得として認識される。
決済という行為が利益確定とみなされるため、現金化していなくても申告が必要である。
- マイニング報酬を受け取った時点
- エアドロップで暗号資産を受け取った時点
- ステーキング報酬を得た時点
これらの収益についても、受け取った時点での時価が所得として計上され、雑所得として申告する必要がある。
一方で、ビットコイン(BTC)を単に保有しているだけの状態や、ウォレット間で移動させただけの場合は、利益が確定していないため課税対象とはならない。
含み益がいくらあっても、実際に売却や交換などの利益確定行為を行わない限り、税金は発生しないのである。
税率は最大55%?所得税の仕組み
ビットコイン(BTC)で得た利益は雑所得として扱われ、給与所得や事業所得などと合算した総所得金額に対して累進課税方式(国税庁)が適用される。
この累進課税制度により、所得が増えるほど税率も段階的に上昇する仕組みとなっている。
所得税法(e-Gov法令検索)に基づく所得税の税率は、課税所得金額に応じて7段階に区分されている。
195万円以下の部分には5%、195万円超330万円以下の部分には10%、330万円超695万円以下の部分には20%、695万円超900万円以下の部分には23%、900万円超1800万円以下の部分には33%、1800万円超4000万円以下の部分には40%、そして4000万円超の部分には最高税率45%が適用される。
所得全体に最高税率が適用されるわけではない点に注意が必要である。累進課税は超過累進税率方式を採用しており、各所得区分に該当する部分にのみそれぞれの税率が適用される。
例えば、課税所得が1000万円の場合、195万円までの部分は5%、195万円超330万円以下の部分は10%というように、段階的に計算されていく。
所得税の速算表
実際の計算を簡便化するため、速算表が用意されており、課税所得金額に税率を乗じた後、一定の控除額を差し引くことで税額を算出できる。
例えば、課税所得が900万円超1800万円以下の場合、税率33%を乗じた後、153万6000円を控除する形となっている。
| 課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超~330万円以下 | 10% | 9万7500円 |
| 330万円超~695万円以下 | 20% | 42万7500円 |
| 695万円超~900万円以下 | 23% | 63万6000円 |
| 900万円超~1800万円以下 | 33% | 153万6000円 |
| 1800万円超~4000万円以下 | 40% | 279万6000円 |
| 4000万円超 | 45% | 479万6000円 |
復興特別所得税の上乗せ
また、所得税には復興特別所得税(国税庁)が上乗せされる。
これは東日本大震災からの復興財源を確保するために導入された税金で、基準所得税額の2.1%が追加される。
そのため、実際の所得税負担は表面税率よりもわずかに高くなる。
最高税率45%の場合、復興特別所得税を含めると45.945%となる。
暗号資産の税負担が高い理由
ビットコイン(BTC)の利益が雑所得として総合課税の対象となることで、高額な利益を得た場合には非常に高い税負担が生じる。
給与所得が既に高い会社員がビットコイン(BTC)で大きな利益を得た場合、その利益部分が最高税率の適用範囲に入る可能性が高く、実質的に利益の半分近くが所得税として課税されることになる。
この点が、株式投資の譲渡所得に適用される申告分離課税(国税庁)(一律20.315%)との大きな違いである。
株式投資では所得の多寡にかかわらず一定の税率が適用されるのに対し、ビットコイン(BTC)を含む暗号資産では所得が増えるほど税率も上昇するため、特に高額所得者にとっては税負担が大きくなる構造となっている。
住民税も忘れずに
所得税法(e-Gov法令検索)に基づく所得税の計算に注目が集まりがちであるが、ビットコイン(BTC)で得た利益には地方税法(e-Gov法令検索)に基づく住民税も課税される点を見落としてはならない。
住民税は地方自治体が課税する税金であり、所得税とは別に納付する必要がある。
住民税の税率は、所得金額にかかわらず一律10%である。
この10%は都道府県民税4%と市区町村民税6%の合計であり、所得税のような累進課税ではなく比例税率が適用される。
つまり、ビットコイン(BTC)で得た利益が100万円であっても1000万円であっても、住民税率は変わらず10%となる。
この住民税と所得税を合わせると、ビットコイン(BTC)で得た利益に対する実質的な税負担が明確になる。
所得税の最高税率45%(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(e-Gov法令検索)に基づく復興特別所得税込みで45.945%)に住民税10%を加えると、合計で約55%となる。
これが「ビットコイン(BTC)の税金は最大55%」と言われる根拠である。
住民税の計算基礎は所得税と同じ所得金額となるため、確定申告で計上したビットコイン(BTC)の利益は自動的に住民税の課税対象となる。
確定申告を行えば、その情報は国税庁の管轄する税務署から各自治体に共有され、自治体が住民税額を計算して納税者に通知する仕組みとなっている。
そのため、住民税については別途申告する必要はない。
住民税の納付時期は所得税とは異なる点にも注意が必要である。
所得税は確定申告時に納付または還付が行われるが、住民税は翌年度の6月から納付が始まる。
具体的には、2024年中に得たビットコイン(BTC)の利益について、2025年3月15日までに確定申告を行い、所得税を納付する。
その後、2025年6月頃に住民税の納税通知書が届き、6月から翌年5月にかけて納付することになる。
給与所得者の場合
給与所得者の場合、住民税は通常、給与から天引き(特別徴収)される形で納付する。
会社員がビットコイン(BTC)で利益を得た場合、確定申告後に住民税額が再計算され、会社に通知される。
その結果、翌年6月以降の給与から天引きされる住民税額が増加することになる。
自営業者・フリーランスの場合
一方、自営業者やフリーランスの場合は、自治体から送付される納付書を使って自分で納付(普通徴収)する形となる。
年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて納付するのが一般的であるが、一括納付も可能である。
損失が出た場合の扱い
また、ビットコイン(BTC)で損失が出た場合の扱いにも注意が必要である。
雑所得内での損益通算は可能であるが、雑所得の損失を他の所得区分(給与所得など)から差し引くことはできない。
さらに、株式投資のように損失を翌年以降に繰り越すこともできないため、その年の雑所得内で損益を完結させる必要がある。
ビットコイン(BTC)に投資する際は、所得税だけでなく住民税も含めた総合的な税負担を考慮し、利益確定のタイミングや金額を慎重に判断することが重要である。
特に高額な利益を得た場合、所得税と住民税を合わせて利益の半分以上が税金として持っていかれる可能性があるため、税金分の資金を確保しておくことが賢明である。
ビットコイン(BTC)の利益はどうやって計算する?
ビットコイン(BTC)取引で得た利益は、原則として雑所得に区分され、確定申告の対象となる。
国税庁の暗号資産に関する税務では、暗号資産の所得金額は「総収入金額から必要経費を控除することにより算出」される。
多くの投資家が見落としがちなのは、ビットコイン(BTC)の利益計算が単なる売却時だけでなく、他の暗号資産との交換や商品購入時にも発生するという点である。
ビットコイン(BTC)の課税対象となる利益を正確に把握するには、取引の種類ごとに異なる計算方法を理解する必要がある。
2017年の国税庁の見解以降、暗号資産取引に関する税務上の取り扱いは明確化されており、すべての取引において利益が発生した時点で課税関係が生じることが確立している。
取引所での売買記録、ウォレット間の移動履歴、決済履歴など、すべての取引記録を正確に保管しておくことが、適切な所得計算の前提となる。
国税庁が提供する暗号資産の計算書を活用することで、複雑な計算も体系的に整理することができる。
売却したときの計算方法
ビットコイン(BTC)を日本円に売却した場合の利益計算は、最も基本的な課税所得の算出方法である。
計算式は「売却価額 – 取得価額 = 所得金額」となる。
具体的な計算例を挙げると、1BTC=200万円で購入したビットコイン(BTC)を1BTC=300万円で売却した場合、300万円 – 200万円 = 100万円が課税対象の所得となる。
この100万円が給与所得などの他の所得と合算され、総合課税として累進税率が適用される。
複数回にわたってビットコイン(BTC)を購入している場合、取得価額の計算には後述する移動平均法または総平均法を用いる必要がある。
例えば、最初に1BTC=200万円で0.5BTC、次に1BTC=250万円で0.5BTC購入していた場合、売却時の取得価額は単純な購入価格ではなく、選択した計算方法に基づいた平均取得単価を使用する。
暗号資産の取得価額計算には、移動平均法または総平均法のいずれかを選択する。国税庁が提供する計算書を利用すると便利である。
売却による所得は発生した年の1月1日から12月31日までの合計額を翌年の確定申告期間(通常2月16日から3月15日)に申告する。
売却時の手数料は必要経費として取得価額に加算できるため、実際の利益計算では「売却価額 – (取得価額 + 売却手数料)」となる点に注意が必要である。
他の暗号資産と交換したとき
ビットコイン(BTC)を他の暗号資産に交換した場合も、日本円に売却した時と同様に課税対象となる。
これは多くの投資家が見落としやすいポイントであり、「日本円に換金していないから課税されない」という認識は誤りである。
国税庁の見解では、暗号資産を他の暗号資産と交換した時点で、交換時の時価で利益が実現したものとみなされる。
計算式は「交換時の他の暗号資産の時価(円換算) – ビットコイン(BTC)の取得価額 = 所得金額」となる。
取得価額200万円のビットコイン(BTC)をイーサリアム(ETH)に交換した際、交換時のイーサリアム(ETH)の時価が300万円相当だった場合、300万円 – 200万円 = 100万円が所得として課税される。
この時点で日本円を受け取っていなくても、税務上は利益が確定したものとして扱われる。
交換によって取得した新しい暗号資産(この例ではイーサリアム)の取得価額は、交換時の時価である300万円となる。
この取得価額が、将来そのイーサリアム(ETH)を売却または交換する際の計算基礎となるため、各取引時点での時価を正確に記録しておくことが極めて重要である。
複数の取引所を利用している場合、各取引所での交換レートが異なる可能性があるため、実際に取引した取引所の記録に基づいて時価を算定する必要がある。
商品を買ったときも課税対象
ビットコイン(BTC)で商品やサービスを購入した場合も、売却や交換と同様に課税対象となる。
ビットコイン(BTC)決済が可能な店舗やオンラインショップが増加している中、この課税ルールを理解していないと思わぬ税負担が発生する可能性がある。
商品の購入時価額 – ビットコイン(BTC)の取得価額 = 所得金額
例:取得価額100万円のビットコイン(BTC)で150万円のパソコンを購入した場合
150万円 – 100万円 = 50万円が課税所得
実務上の注意点として、商品購入時のビットコイン(BTC)の時価は、購入した商品の価格(日本円表示)で判断される。
多くの店舗では日本円価格が基準となり、決済時の為替レートでビットコイン(BTC)の支払額が決定されるため、その日本円価格が時価となる。
ビットコイン(BTC)での少額決済を頻繁に行う場合、毎回の取引で所得計算が必要となり、記録管理が煩雑になる。
コーヒー1杯をビットコイン(BTC)で支払った場合でも、理論上は課税計算の対象となる。
ただし、所得税法(e-Gov法令検索)では生活用動産の譲渡による所得については一定の非課税規定があるものの、暗号資産は投資目的の資産とみなされることが一般的であり、非課税の適用は慎重に判断する必要がある。
ビットコイン(BTC)決済を利用する際は、正確な申告のために以下の情報を記録として残しておくことが不可欠である。
- 取引日時
- 商品価格(円建て)
- 使用したビットコイン(BTC)の数量
- その時点での取得価額
移動平均法と総平均法の違い
ビットコイン(BTC)の取得価額を計算する方法として、国税庁は「移動平均法」と「総平均法」の2つの方法を認めている。
どちらの方法を選択するかによって、各取引時点での所得金額が変わる可能性があるため、自身の取引スタイルに適した方法を選ぶことが重要である。
移動平均法は、暗号資産を購入する都度、その時点での平均取得単価を計算し直す方法である。
計算式は「(購入前の簿価総額 + 新規購入額)÷ (購入前の数量 + 新規購入数量)」となる。
例えば、1BTC=200万円で0.5BTC購入後、1BTC=300万円で0.5BTCを追加購入した場合、平均取得単価は(100万円 + 150万円)÷ 1BTC = 250万円となる。
各時点での正確な取得価額を把握できることが最大の利点である。
頻繁に売買を行うトレーダーにとって実態に即した利益計算ができる。
一方で、購入の都度計算が必要となるため、取引回数が多い場合は計算の手間が増加する。
総平均法は、1年間に取得した暗号資産の取得価額の総額を、その年に取得した数量の合計で割って平均取得単価を算出する方法である。
計算式は「年間の取得価額総額 ÷ 年間の取得数量合計」となる。
年末にまとめて計算できるため、計算の手間が少ないという利点がある。
計算が簡便である反面、年の前半に売却した場合でも、年の後半の購入価格が平均単価に影響するため、実際の取引実態とズレが生じる可能性がある。
長期保有を前提とし、取引回数が比較的少ない投資家に適している。
どちらの方法を選択するかは納税者の任意であるが、一度選択した方法は原則として継続して適用する必要がある。
変更する場合は、所轄の税務署に変更の届出を行わなければならない。
国税庁が提供する「暗号資産の計算書」は移動平均法用と総平均法用が別々に用意されているため、選択した方法に応じた計算書を使用することで、正確な所得計算が可能となる。
実務上は、利用している暗号資産取引所が提供する取引履歴や損益計算ツールを活用することで、計算の負担を軽減できる。
多くの主要取引所では、年間取引報告書の発行や、税務申告用のデータ出力機能を提供している。
確定申告が必要になるのはどんな人?
ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産取引で得た利益は、原則として雑所得に区分され、確定申告の対象となる。
国税庁は、暗号資産を売却または使用することにより生じる利益については、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、雑所得として所得税法(e-Gov法令検索)の課税対象になるとしている。
確定申告の必要性は、納税者の立場や年間の所得金額によって異なる。
会社員であれば給与所得以外の所得が20万円を超えた場合、個人事業主やフリーランスであればすべての所得を合算して申告する必要がある。
また、学生や主婦(主夫)といった被扶養者の場合も、一定の基準を超えれば確定申告が必要になるだけでなく、扶養から外れる可能性もあるため注意が必要である。
暗号資産取引による利益が発生した場合、自分がどの立場に該当し、どのような申告義務があるのかを正確に把握することが重要である。
申告を怠ると、後日税務署から指摘を受け、延滞税や加算税といったペナルティが課される可能性もある。
以下では、納税者の立場別に確定申告が必要となるケースについて詳しく解説する。
会社員で20万円以上の利益が出た人
会社員が副業として暗号資産取引を行っている場合、給与所得以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になる。
これは国税庁が定める給与所得者の確定申告要件に基づくもので、一般的に「20万円ルール」と呼ばれている。
具体的には、1月1日から12月31日までの1年間にビットコイン(BTC)などの暗号資産取引によって得た利益が20万円を超えた場合、翌年の2月16日から3月15日までの期間に確定申告を行い、所得税を納付しなければならない。
この20万円という基準は、暗号資産取引だけでなく、他の副業による雑所得やその他の所得と合算した金額で判断される点に注意が必要である。
例えば、暗号資産取引で15万円の利益があり、さらに別の副業で6万円の収入があった場合、合計21万円となるため確定申告が必要になる。
逆に、暗号資産取引の利益が19万円で他に副業収入がなければ、所得税の確定申告は不要である。
住民税の申告は別途必要
ただし、所得税の確定申告が不要であっても、住民税の申告は別途必要となる。
国税庁の規定では給与所得者の副業所得が20万円以下であれば所得税の確定申告は不要とされているが、住民税には20万円ルールが適用されない。
そのため、暗号資産取引で1円でも利益が出ている場合は、市区町村に対して住民税の申告を行う必要がある。
住民税の申告を怠ると、数年後に加算税などのペナルティが生じる可能性があるため、少額の利益であっても適切に申告することが推奨される。
年末調整と確定申告の関係
会社員の場合、勤務先で年末調整が行われるため、給与所得についての税務処理は完了している。
しかし、年末調整では給与所得以外の所得については処理されないため、暗号資産取引による利益については自分で確定申告を行う必要がある。
また、給与の収入金額の合計額から所得控除の合計額を差し引いた残りの金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額の合計額が20万円以下の場合は申告不要となる特例もあるが、多くの会社員はこの条件に該当しないため、基本的には20万円ルールで判断することになる。
個人事業主・フリーランスの場合
個人事業主やフリーランスとして活動している人は、会社員とは異なる基準で確定申告を行う必要がある。
給与所得者に適用される20万円ルールは個人事業主には適用されず、暗号資産取引による利益の金額にかかわらず、すべての所得を合算して確定申告を行わなければならない。
個人事業主やフリーランスは、事業所得や不動産所得などの本業の所得に加えて、暗号資産取引による雑所得も含めたすべての所得を申告する義務がある。
そのため、ビットコイン(BTC)などの暗号資産取引で1円でも利益が出ている場合は、その金額を雑所得として確定申告書に記載する必要がある。
暗号資産取引により生じた利益は、原則として雑所得に区分される。
ただし、所得税法(e-Gov法令検索)において、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合は、事業所得として扱われることもある。
例えば、暗号資産交換業を事業として営んでいる場合や、暗号資産のマイニングを事業として継続的に行っている場合などは、事業所得に該当する可能性がある。
この区分は税務上重要であり、事業所得として認められれば青色申告特別控除の適用を受けられるなどのメリットがある一方、雑所得として扱われる場合は損失の繰越控除ができないなどの制約がある。
個人事業主やフリーランスの場合、所得税法に定められた基礎控除48万円が適用されるため、すべての所得を合算した金額が基礎控除額を下回る場合は所得税が発生しない。
ただし、2025年は基礎控除の特例措置により、合計所得金額に応じて58万円から最大95万円まで段階的に控除額が引き上げられている。
これは2025年・2026年の暫定的措置であり、2027年以降は一律58万円の控除となる予定である。
国税庁が定める確定申告の期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までである。
個人事業主やフリーランスは、この期間内に前年1月1日から12月31日までの所得について確定申告書を作成・提出し、納税を行う必要がある。
青色申告を行っている場合は、暗号資産取引による雑所得についても適切に帳簿に記録し、他の所得と合わせて申告することが求められる。
国税庁では暗号資産に関する所得の計算に便利な計算書を提供しており、移動平均法用と総平均法用の2種類がある。
これらを活用することで、複雑な暗号資産取引の損益計算を正確に行うことができる。
学生や主婦でも申告が必要なケース
学生や主婦(主夫)といった被扶養者の場合も、暗号資産取引による利益が一定額を超えると確定申告が必要になる。
さらに、確定申告が必要になる基準を超えると、扶養控除(国税庁)や配偶者控除(国税庁)の対象から外れる可能性があるため、特に注意が必要である。
学生の場合、アルバイトなどの給与所得がない状態で暗号資産取引のみを行っているケースでは、雑所得が年間48万円を超えると所得税が発生し、確定申告が必要になる。
これは基礎控除(国税庁)48万円を超える所得に対して課税されるためである。
逆に言えば、暗号資産取引による利益が48万円以下であれば、基礎控除の範囲内となり所得税は発生しない。
しかし、アルバイトをしている学生の場合は状況が異なる。
給与所得がある場合、給与所得控除(国税庁)55万円と基礎控除48万円を合わせた103万円が所得税非課税の目安となる。
この場合、給与収入が103万円以下であれば給与所得はゼロとなり、暗号資産取引による雑所得が48万円以下であれば所得税は発生しない。
ただし、給与所得と雑所得以外に所得がない場合、暗号資産の利益が20万円以下であれば確定申告は不要となる。
給与所得がある学生は、暗号資産の利益が20万円以下であれば確定申告不要だが、20万円を超えると確定申告が必要となる。
一方で、給与所得がある学生が暗号資産取引で20万円を超える利益を得た場合は、会社員と同様に確定申告が必要になる。
この場合も、所得税の確定申告が不要であっても住民税の申告は必要となる点に注意が必要である。
主婦(主夫)で配偶者控除の対象になっている場合も、暗号資産取引による利益を含む年間の合計所得金額が48万円を超えると、配偶者控除の対象から外れる可能性がある。
配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が48万円以下である場合に適用される制度であるため、暗号資産取引で48万円を超える利益を得ると、配偶者控除が適用されなくなり、世帯全体の税負担が増加する可能性がある。
また、48万円を超えても95万円以下であれば配偶者特別控除(国税庁)の対象となる可能性があるが、控除額は段階的に減少していく。
暗号資産取引で大きな利益を得た場合は、配偶者特別控除も適用されなくなり、配偶者の勤務先での扶養手当の支給が停止されるなど、税金以外の影響も考慮する必要がある。
| 対象者 | 確定申告が必要となる基準 | 控除への影響 |
|---|---|---|
| 学生(給与所得なし) | 雑所得が48万円超 | 扶養控除対象外 |
| 学生(給与所得あり) | 雑所得が20万円超 | 扶養控除対象外の可能性 |
| 主婦(主夫) | 合計所得金額が48万円超 | 配偶者控除対象外 |
学生や主婦(主夫)の場合、扶養控除や配偶者控除の適用を受けるためには、年間の合計所得金額を48万円以下に抑える必要がある。
暗号資産取引を行う際は、この基準を意識しながら取引を行うことが重要である。
また、確定申告が必要となる基準を超えた場合は、速やかに申告を行い、適切に納税することが求められる。
被扶養者の場合、確定申告を怠ると本人だけでなく扶養者にも影響が及ぶ可能性がある。
扶養控除や配偶者控除を適用して申告した後に、被扶養者の所得が基準を超えていたことが判明すると、扶養者の確定申告をやり直す必要が生じ、追加の税金や延滞税が発生することもある。
そのため、暗号資産取引で利益が出た場合は、早めに税理士や税務署に相談し、適切な対応を取ることが推奨される。
- 被扶養者が確定申告を怠ると扶養者にも影響が及ぶ
- 扶養者の確定申告をやり直す必要が生じる可能性がある
- 追加の税金や延滞税が発生するリスクがある
いますぐボーナスで始めよう!おすすめの国内暗号資産取引所3選
ビットコイン(BTC)の確定申告のやり方
ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産で得た利益は、原則として雑所得に区分され、確定申告の対象となる。
国税庁では、暗号資産を売却または使用することにより生じる利益については、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、雑所得として申告する必要があるとされている。
給与所得者の場合、暗号資産による所得が年間20万円を超える場合には確定申告が必要となる。
一方、年間所得が20万円未満であれば、原則として確定申告の義務は発生しない。
ただし、住民税の申告は別途必要となる場合があるため注意が必要である。
ビットコイン(BTC)の利益計算には、移動平均法または総平均法のいずれかを用いる。
移動平均法は、暗号資産を購入するたびに平均単価を計算し直す方法であり、総平均法は一定期間内の購入代金の合計を購入数量の合計で除して平均単価を求める方法である。
一度選択した計算方法は、原則として継続して適用する必要がある。
計算方法を変更する場合は、事前に税務署への届出が必要となる。
確定申告の手続きは、国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用することで、自宅から電子申告(e-Tax)が可能である。
また、作成した申告書を印刷して税務署に郵送または持参する方法も選択できる。
確定申告の期間は、例年2月16日から3月15日までとなっているが、e-Taxを利用する場合は1月上旬から申告書の作成・提出が可能となる。
用意する書類
確定申告を行う際には、複数の書類を事前に準備する必要がある。
まず基本となるのが、各暗号資産取引所から取得した年間取引報告書または取引履歴データである。
これらの書類には、売買の日時、数量、価格などの詳細な取引情報が記載されており、所得計算の基礎資料となる。
給与所得者の場合は、勤務先から発行される源泉徴収票が必要である。
源泉徴収票には、年間の給与収入額や源泉徴収税額が記載されており、確定申告書の作成に不可欠な情報となる。
マイナンバーカードまたは通知カードも本人確認のために必要であり、e-Taxで電子申告を行う場合には特に重要である。
国税庁が提供する暗号資産の計算書(移動平均法用または総平均法用)も用意しておくと便利である。
この計算書はExcel形式で提供されており、取引履歴データを入力することで、自動的に所得金額を計算することができる。
ただし、この計算書を確定申告書に添付して提出する必要はない。
他の所得控除を受ける場合には、それぞれに対応する証明書類も必要となる。
- 医療費控除を受ける場合は医療費の領収書または医療費通知
- 生命保険料控除を受ける場合は保険会社から送付される控除証明書
- ふるさと納税を行った場合は寄附金受領証明書
銀行口座の情報も準備しておく必要がある。
還付金が発生する場合には、指定した口座に振り込まれるため、口座番号や金融機関名を正確に記入できるようにしておくことが重要である。
また、暗号資産を購入した際の入金記録や、売却代金の出金記録なども、必要に応じて確認できる状態にしておくことが望ましい。
取引履歴のダウンロード方法
暗号資産の確定申告において最も重要な作業の一つが、各取引所から取引履歴をダウンロードすることである。
国内の主要取引所では、それぞれ独自のインターフェースを提供しているが、基本的な手順は共通している。
bitFlyerでは、ログイン後にメニューから「取引レポート」または「取引履歴」を選択し、対象期間を指定してダウンロードする。
CSV形式またはPDF形式でのダウンロードが可能であり、確定申告用には全取引の詳細が記載されたCSV形式が推奨される。
対象期間は、確定申告の対象年である1月1日から12月31日までを指定する必要がある。
Coincheckの場合は、アカウントにログイン後、「取引履歴」のページから年間取引報告書をダウンロードできる。
確定申告シーズンには専用のページが設けられることもあり、そこから簡単に必要な書類を取得できる。
取引履歴には、売買だけでなく入出金の記録も含まれるため、全ての取引を漏れなく把握することができる。
GMOコインでは、会員ページの「明細・履歴」セクションから取引履歴をダウンロードする。
期間を指定してCSV形式でダウンロードできるほか、年間損益報告書も提供されており、これを利用することで計算の手間を省くことができる。
年間損益報告書には、売買損益が自動計算されて表示されるため、確認作業が効率化される。
DMM Bitcoinでも同様に、マイページから取引履歴のダウンロードが可能である。
取引所によっては、ダウンロードできる履歴の期間に制限がある場合もあるため、定期的にバックアップを取っておくことが推奨される。
特に取引量が多い場合は、月ごとまたは四半期ごとにダウンロードしておくと、年末の作業負担が軽減される。
複数の取引所を利用している場合は、全ての取引所から取引履歴をダウンロードし、それらを統合して計算する必要がある。また、海外の取引所を利用している場合も同様に取引履歴を取得する必要があるが、インターフェースが英語である場合が多いため、「Transaction History」や「Trade History」といったメニューを探すことになる。
取引履歴をダウンロードしたら、データの整合性を確認することも重要である。
取引所の残高と自分の記録が一致しているか、全ての取引が漏れなく記録されているかをチェックし、不明な点があれば取引所のサポートに問い合わせることが推奨される。
国税庁の確定申告書等作成コーナーの使い方
国税庁が提供する確定申告書等作成コーナーは、インターネット上で確定申告書を作成できる無料のシステムである。
このシステムを利用することで、紙の申告書に手書きで記入する手間を省き、計算ミスも防ぐことができる。
確定申告書等作成コーナーにアクセスするには、国税庁のウェブサイトから「確定申告書等作成コーナー」を選択する。
トップページでは、「作成開始」ボタンをクリックし、e-Taxで提出するか、印刷して提出するかを選択する。
e-Taxで提出する場合は、マイナンバーカードとICカードリーダーまたはマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォンが必要となる。
申告書の種類を選択する画面では、「所得税」を選択する。
次に、申告する年分を確認し、給与所得や雑所得など、該当する所得の種類を入力していく。
給与所得者の場合は、まず源泉徴収票の内容を入力する画面が表示されるため、手元に用意した源泉徴収票を見ながら正確に入力する。
暗号資産による所得を入力する際は、「雑所得」のセクションを選択する。
雑所得には「公的年金等」と「その他」があるが、暗号資産による所得は「その他」に該当する。
入力画面では、「種目」の欄に「暗号資産」と記入し、「名称」には取引所名または「ビットコイン(BTC)等」などと記載する。
収入金額の欄には、暗号資産を売却または使用して得た金額の合計を入力する。
必要経費の欄には、売却または使用した暗号資産の取得価額を入力する。
この計算には、事前に準備した暗号資産の計算書または取引所の年間損益報告書を参照する。
収入金額から必要経費を差し引いた金額が、雑所得の金額として自動計算される。
全ての所得情報を入力し終えたら、所得控除の入力画面に進む。
医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除など、該当する控除項目を入力していく。
これらの控除を適用することで、最終的な納税額を適正に抑えることができる。
入力が完了すると、システムが自動的に税額を計算し、納付すべき税額または還付される税額が表示される。
この金額を確認したら、住所・氏名などの基本情報を入力し、マイナンバーを記載する。
最後に、還付金の振込先口座情報を入力すれば、申告書の作成は完了である。
e-Taxで送信する場合は、マイナンバーカードを使って電子署名を行い、送信ボタンをクリックすれば申告が完了する。
印刷して提出する場合は、作成した申告書をPDF形式でダウンロードまたは印刷し、必要な添付書類とともに税務署に提出する。
提出期限と提出方法
確定申告の提出期限は、原則として申告する年の翌年2月16日から3月15日までである。
例えば、令和6年分(2024年分)の所得に対する確定申告は、令和7年(2025年)2月17日から3月17日までが申告期間となる。
ただし、2月16日または3月15日が土日祝日に該当する場合は、翌平日が期限となる。
この期限内に申告と納税を完了させる必要があり、期限を過ぎると無申告加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性がある。
無申告加算税は、原則として納付すべき税額の15%から20%が上乗せされ、悪質と判断された場合はさらに重加算税が課されることもある。
一方で、e-Taxを利用する場合は、1月上旬から確定申告書の作成・送信が可能となる。
早期に申告を済ませることで、還付金がある場合には早く受け取ることができるというメリットがある。
また、確定申告期間中は税務署が混雑するため、早めに手続きを済ませることで時間の節約にもなる。
確定申告の提出方法には、主に3つの選択肢がある。
第一に、e-Tax(電子申告)を利用する方法である。
e-Taxは、インターネットを通じて電子的に申告書を送信するシステムであり、マイナンバーカードとICカードリーダー、またはマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォンがあれば利用できる。
e-Taxのメリットとして、24時間いつでも送信可能であること、添付書類の一部を省略できること、青色申告特別控除額が優遇されることなどが挙げられる。
第二に、郵送による提出方法がある。
確定申告書等作成コーナーで作成した申告書を印刷し、必要な添付書類とともに所轄の税務署宛に郵送する。
郵送する際は、信書便として扱われる必要があるため、普通郵便または信書便事業者のサービスを利用する。
宅配便では送付できない点に注意が必要である。
郵送の場合、消印の日付が提出日とみなされるため、期限最終日の消印があれば期限内申告として扱われる。
第三に、税務署の窓口に直接持参する方法がある。
所轄の税務署に申告書と添付書類を持参し、窓口または時間外収受箱に提出する。
窓口で提出する場合は、その場で書類の不備などを確認してもらえるというメリットがあるが、確定申告期間中は混雑が予想されるため、待ち時間が長くなる可能性がある。
納税が必要な場合は、申告と同時に納付も行う必要がある。
納付方法には、金融機関や税務署の窓口での現金納付、振替納税、クレジットカード納付、インターネットバンキングを利用した電子納税などがある。
振替納税を選択した場合は、申告期限から約1か月後に指定口座から自動引き落としされるため、納付を忘れる心配がない。
還付申告の場合は、確定申告期間前の1月1日から申告が可能である。
還付金は、申告書を提出してから通常1か月から1か月半程度で指定口座に振り込まれる。
e-Taxで申告した場合は、処理が早く進む傾向にあり、3週間程度で還付されることもある。
確定申告が初めての場合や、複雑な取引がある場合は、税務署の相談窓口や税理士に相談することも有効である。
多くの税務署では、確定申告期間中に臨時の相談窓口を設けており、予約制で相談を受け付けている。
また、暗号資産に詳しい税理士に依頼することで、適正な申告と節税対策を両立させることが可能となる。
ビットコイン(BTC)の税金を減らす方法
ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産の利益は、雑所得として総合課税の対象となる。
所得税率は最大45%、住民税10%を合わせると最大55%もの税金が課される。
この高い税率に直面する投資家にとって、合法的な節税対策を理解することは資産形成において極めて重要である。
暗号資産の税負担を軽減するためには、経費の適切な計上、損失の活用、利益確定のタイミング調整、法人化の検討など、複数のアプローチが存在する。
これらの方法は国税庁が認める正当な節税手段であり、税務調査においても問題とならない。
ただし、各手法にはメリットとデメリットがあり、自身の取引規模や所得状況に応じて最適な方法を選択する必要がある。
- 取引規模と所得状況を把握する
- 各手法のメリット・デメリットを比較する
- 年間を通じた計画的な対応を行う
ビットコイン(BTC)の税金を減らす取り組みは、確定申告の直前に慌てて行うものではなく、年間を通じた計画的な対応が求められる。
特に、暗号資産取引の利益が給与所得などと合算されて累進課税が適用されるため、総合的な所得管理の視点が不可欠である。
以下では、具体的な節税方法について詳しく解説していく。
経費として認められるもの
暗号資産取引に関連して支出した費用のうち、取引による利益を得るために直接必要と認められるものは経費として計上できる。
これにより課税対象となる所得を減額し、税負担を軽減することが可能である。
詳しくは国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」を参照のこと。
経費として全額認められる代表的なものには、暗号資産の取得費用、取引所への入出金手数料、取引手数料、送金手数料などがある。
これらは取引に直接必要な支出であるため、疑義なく経費計上できる。
また、暗号資産取引に関する書籍代やセミナー参加費用、投資コンサルティング費用なども、取引の知識やスキルを高めるための支出として必要経費に該当する。
- 暗号資産の取得費用
- 取引所への入出金手数料
- 取引手数料・送金手数料
- 暗号資産関連の書籍代
- セミナー参加費用
- 投資コンサルティング費用
さらに、暗号資産取引専用のパソコンやスマートフォンを購入した場合、その費用も経費として認められる可能性がある。
ただし、プライベートとの兼用の場合は、使用時間や使用頻度に応じた按分計算が必要となる。
例えば、パソコンの使用時間の30%を暗号資産取引に充てている場合、購入費用の30%のみを経費計上することになる。
インターネット回線費用や電気代についても、暗号資産取引に使用している部分を合理的に按分すれば経費計上が可能である。
特にマイニングを行っている場合は、マイニング専用機器の購入費用や、その稼働に要する電気代は明確に経費として認められる。
ただし、按分の根拠は税務調査で説明できるよう、使用実態を記録しておく必要がある。
取引記録の管理のために使用する会計ソフトやポートフォリオ管理アプリの利用料金、クラウドストレージの費用なども経費である。
また、暗号資産関連のニュースサイトや情報サービスの有料会員費用も、投資判断に必要な情報収集費用として経費計上できる。
- 兼用のパソコン・スマートフォン購入費
- インターネット回線費用
- 電気代(マイニング専用機器を除く)
重要なのは、経費として計上する支出については領収書やレシートを必ず保管し、何のために支出したかを説明できる状態にしておくことである。
税務調査において経費の妥当性を問われた際、適切な説明と証拠書類の提示ができなければ、経費として認められない可能性がある。
損失が出たときの扱い
暗号資産取引で損失が発生した場合の税務上の扱いは、株式投資などとは大きく異なるため注意が必要である。
暗号資産取引による所得は所得税法(e-Gov法令検索)において雑所得に分類されるため、損失が発生しても給与所得や事業所得などの他の所得区分との損益通算はできない。
これは暗号資産取引における大きなデメリットの一つである。
ただし、同じ雑所得の区分内であれば損益通算が可能である。
例えば、ビットコイン(BTC)で100万円の利益が出て、イーサリアム(ETH)で50万円の損失が出た場合、これらを相殺して雑所得は50万円となる。
複数の暗号資産を取引している場合や、複数の取引所を利用している場合は、年間の全ての取引を集計して損益を計算することで、課税所得を圧縮できる。
副業による収入や、公的年金以外の年金収入、講演料、原稿料なども雑所得に該当するため、これらの所得と暗号資産取引の損失を相殺することは可能である。
例えば、副業で30万円の収入があり、暗号資産取引で20万円の損失が出た場合、雑所得は10万円となる。
注意すべき点は、暗号資産取引の損失は翌年以降に繰り越すことができないことである。
株式投資の場合、譲渡損失は3年間繰り越して翌年以降の利益と相殺できるが、暗号資産にはこの制度が適用されない。
そのため、年末に大きな含み損を抱えている銘柄がある場合は、年内に損失を確定させて、同年の利益と相殺する戦略が有効である。
損失を確定させる際は、損切りのタイミングが重要となる。
単に税金対策のためだけに損切りするのではなく、その暗号資産の将来性や市場環境を総合的に判断する必要がある。
税金を減らすことだけに焦点を当てると、本来保有し続けるべき資産を手放してしまう可能性もある。
損失が発生した場合でも、国税庁の確定申告制度において申告は行うべきである。
雑所得がマイナスの場合は申告義務はないが、申告することで取引記録を正式に税務署に提出したことになり、後の税務調査においても透明性を示すことができる。
また、他の雑所得との相殺により還付が受けられるケースもある。
利益確定のタイミングを調整する
暗号資産取引において、利益確定のタイミングを戦略的に調整することは、合法的な節税対策として非常に有効である。
暗号資産の課税は、売却時や他の暗号資産と交換した時点で利益が確定し、その年の所得として計算される。
保有しているだけでは課税されないため、この仕組みを理解して利益確定の時期をコントロールすることが重要である。
最も基本的な戦略は、年末の時点で含み益がある場合、翌年1月まで売却を待つことで、課税を1年先送りにする方法である。
特に年末近くに大きな利益が出た場合、その年の所得が急増して高い税率が適用される可能性がある。
翌年に利益確定を延ばすことで、所得を複数年に分散させ、累進課税の影響を緩和できる。
給与所得者の場合、年間の暗号資産取引による利益を20万円以下に抑えることで、確定申告自体が不要になる。
この20万円ルールを活用するために、年末時点で利益が20万円を超えそうな場合は、含み損のある銘柄を売却して損失を確定させ、利益を圧縮する方法がある。
あるいは、利益が20万円を超える分の売却を翌年に持ち越す選択も有効である。
給与所得者で給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下の場合、原則として確定申告は不要となる。詳細は国税庁タックスアンサーを参照。
年間の所得が累進課税(国税庁)の境界線付近にある場合は、特に慎重なタイミング調整が求められる。
例えば、課税所得が695万円を超えると税率が20%から23%に上がり、900万円を超えると33%、1800万円を超えると40%、4000万円を超えると45%となる。
この境界線を意識して、利益確定を複数年に分散させることで、適用される税率を低く抑えることができる。
逆に、年内に大きな損失が確定している場合は、含み益のある銘柄を年内に売却して利益を確定させ、損失と相殺する戦略も考えられる。
これにより、トータルの課税所得を減らすことができる。
ただし、売却後も引き続き保有したい場合は、売却後に再度購入することも可能である。
ただし、利益確定のタイミング調整は、あくまでも税務上の最適化であり、投資判断を歪めてはならない。
税金を減らすことだけを考えて、本来売却すべき時期を逃したり、購入すべきでないタイミングで再購入したりすると、税金以上の損失を被る可能性がある。
税務戦略と投資戦略のバランスを取ることが肝要である。
法人化するメリット・デメリット
暗号資産取引の規模が大きくなった場合、法人を設立して法人名義で取引を行うことで、税負担を大幅に軽減できる可能性がある。
個人と法人では適用される税制が根本的に異なるため、それぞれのメリットとデメリットを十分に理解して判断する必要がある。
法人化の最大のメリットは税率の違いである。
個人の場合、暗号資産の利益は雑所得として総合課税され、所得税法(e-Gov法令検索)に基づく所得税と地方税法(e-Gov法令検索)に基づく住民税を合わせて最大55%の税率が適用される。
一方、法人の場合は法人税法(e-Gov法令検索)が適用され、所得800万円以下の部分は約22%、800万円超の部分でも約30%の実効税率となる。
年間利益が800万円を超える場合、法人化による節税効果は極めて大きい。
さらに、法人の場合は暗号資産取引で発生した損失を最大10年間繰り越すことができる。
個人では損失の繰越ができないため、これは大きなアドバンテージである。
暗号資産市場は価格変動が激しく、ある年は大きな利益が出ても翌年は損失になることも珍しくない。
損失の繰越控除により、利益が出た年に過去の損失を相殺して税負担を軽減できる。
法人は損失を10年間繰り越せるが、個人は繰越不可。価格変動が激しい暗号資産取引では大きなアドバンテージとなる。
法人化により、役員報酬として自分自身に給与を支払うことで、給与所得控除(国税庁)を受けられる点もメリットである。
また、家族を役員にして報酬を支払うことで、所得を分散させ、全体の税負担を下げることも可能である。
さらに、退職金を支給することで、退職所得控除(国税庁)を活用した節税も実現できる。
法人では経費の範囲が個人よりも広く認められる傾向がある。
事務所の賃料、自動車の購入費やリース料、接待交際費、出張費用なども事業関連性が認められれば経費計上できる。
また、生命保険料の一部を経費として計上できるなど、個人にはない節税手段が利用可能である。
一方、法人化にはデメリットも存在する。
まず、法人設立には登記費用や定款認証費用などで最低でも20万円程度の初期費用がかかる。
また、税理士への顧問料、法人住民税の均等割(年間約7万円、赤字でも課税される)など、継続的なコストが発生する。
これらのコストを考慮すると、年間利益が500万円から800万円程度ない場合は、法人化のメリットが薄い。
法人の場合、会計処理が複雑になり、決算書の作成や税務申告を自分で行うことは困難である。
税理士に依頼するのが一般的だが、その顧問料は年間30万円から50万円程度かかる。
また、法人は帳簿の保存義務が厳格であり、すべての取引を適切に記録する必要がある。
社会保険への加入義務も発生し、役員報酬を受け取る場合は健康保険料や厚生年金保険料の負担が生じる。
これらは会社と個人で折半するため、実質的には会社負担分も自己負担となる。
社会保険料は給与額に応じて増加するため、役員報酬を高く設定すると相応の負担になる。
| 項目 | 個人 | 法人 |
|---|---|---|
| 税率 | 最大55%(所得税+住民税) | 約22~30%(法人税) |
| 損失繰越 | 不可 | 最大10年間可能 |
| 経費範囲 | 限定的 | 広範囲 |
| 初期費用 | 不要 | 約20万円~ |
| 継続コスト | 少ない | 税理士費用等で年間30~50万円 |
法人化のタイミングとしては、年間の暗号資産取引による利益が継続的に800万円を超える見込みがある場合が一つの目安となる。
ただし、取引の規模、利益の安定性、他の所得の有無、将来の事業展開計画などを総合的に考慮して判断すべきである。
法人化を検討する際は、税理士や公認会計士などの専門家に相談し、自身の状況に応じたシミュレーションを行うことが推奨される。
節税効果だけでなく、運営コストや管理の手間を含めた総合的な判断が必要である。
税金を払わないとどうなる?
ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産の取引で利益を得た場合、確定申告を行い適切に納税する義務がある。
しかし、この義務を怠ると、本来納めるべき税金に加えて重いペナルティが課されることになる。
国税庁は暗号資産取引に関する監視を年々強化しており、申告漏れや無申告に対する税務調査も増加傾向にある。
実際に、暗号資産関連の税務調査では1件あたりの申告漏れ所得金額が2356万円にも上るというデータが公表されている。
これは他の所得区分と比較しても極めて高額であり、暗号資産取引における申告漏れが深刻な問題となっていることを示している。
税金を払わなかった場合に科されるペナルティは、単なる追加課税だけではない。
悪質と判断されれば刑事罰の対象となり、懲役刑や罰金刑が科される可能性もある。
所得税法(e-Gov法令検索)では、不正行為による脱税(ほ脱罪)に対して10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、あるいはその両方が科される可能性があると規定されている。
さらに、故意に申告を行わなかった場合(単純無申告ほ脱)でも、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科される可能性がある。
「暗号資産は匿名性が高いから税務署にはバレない」という誤った認識を持つ人もいるが、これは完全な誤解である。
国内の暗号資産取引所は税務署に対して支払調書を提出する義務があり、取引の実態は税務当局によって把握されている。
海外取引所を利用していたとしても、CRS(共通報告基準)やFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)といった国際的な情報交換制度により、税務署は海外での取引情報も入手できる体制が整っている。
また、税金を払わないことで生じるのは金銭的なペナルティだけではない。
税務調査が入れば、過去数年分の取引記録や帳簿の提出を求められ、膨大な時間と精神的負担を強いられることになる。
さらに、悪質な脱税と認定されれば、社会的信用を失うことにもつながる。
暗号資産取引で得た利益は原則として雑所得に区分され、総合課税の対象となる。
所得が増えるほど税率も上がる累進課税制度が適用されるため、高額な利益を得た場合は税負担も大きくなる。
しかし、適切に申告を行わず、後になって税務調査で指摘されれば、本来の税額に加えて最大で40%を超える追徴課税が科される可能性がある。
結果として、正直に申告していた場合よりもはるかに重い経済的負担を背負うことになるのである。
無申告加算税と延滞税
確定申告を行わなかった場合や、申告期限に遅れた場合には、無申告加算税が課される。
無申告加算税は、本来納めるべき税額に対して一定の割合で加算される税金であり、申告義務を怠ったことに対するペナルティである。
令和6年1月1日以降に法定申告期限が到来する国税については、無申告加算税(国税庁)の税率が引き上げられている。
具体的には、納付すべき税額が50万円以下の部分については15%、50万円を超えて300万円以下の部分については20%、300万円を超える部分については30%の無申告加算税が課される。
この税率は従来よりも厳格化されており、高額な申告漏れに対してはより重いペナルティが科されるようになっている。
税務署から調査通知を受ける前に自主的に期限後申告を行った場合は、無申告加算税の税率が5%に軽減される。申告漏れに気づいた時点で速やかに自主申告を行えば、ペナルティを最小限に抑えることができる。
さらに、申告期限から一定期間内に自主的に申告し、かつ過去5年間に無申告加算税や重加算税を課されたことがない場合など、一定の要件を満たせば無申告加算税が課されないこともある。
しかし、この特例が適用されるケースは限定的であり、基本的には期限内に適切に申告することが求められる。
延滞税の仕組みと計算方法
無申告加算税に加えて課されるのが延滞税(国税庁)である。
延滞税は、法定納期限までに税金を納付しなかった場合に、納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて自動的に課される利息的な性質を持つ税金である。
延滞税の税率は、納期限からの経過期間によって異なる。
| 期間 | 税率(令和6年) |
|---|---|
| 納期限の翌日から2ヶ月以内 | 年率2.4% |
| 納期限の翌日から2ヶ月経過後 | 年率8.7% |
この税率は毎年見直されており、特例基準割合に基づいて決定される。
延滞税は日割り計算で増加していくため、納税が遅れれば遅れるほど負担額が増大する。
仮に100万円の税金を1年間滞納した場合、2ヶ月目までの延滞税が約3945円、それ以降の10ヶ月分の延滞税が約7万1671円となり、合計で約7万5616円もの延滞税が発生することになる。
重加算税について
さらに悪質なケースでは、無申告加算税や延滞税に加えて国税通則法(e-Gov法令検索)に基づく重加算税が課されることもある。
重加算税は、意図的に所得を隠蔽したり、虚偽の帳簿を作成したりするなど、悪質な仮装・隠蔽行為があった場合に課される最も重いペナルティである。
無申告の場合の重加算税は、納付すべき税額の40%にも達する。
具体的な計算例
例えば、ビットコイン(BTC)取引で1000万円の利益を得たにもかかわらず無申告だったケースを考えてみよう。
所得税率を33%(住民税を含めると約43%)と仮定すると、本来納めるべき税額は約430万円となる。
これに対して無申告加算税が課されると、300万円超の部分に対しては30%の税率が適用されるため、追加で約82万円の無申告加算税が課される。
さらに延滞税が数年分累積すれば、総額で500万円を超える税負担となる可能性がある。
無申告や申告遅延によるペナルティは非常に大きく、「後で払えばいい」という安易な考えは極めて危険である。暗号資産取引で利益を得た場合は、必ず期限内に確定申告を行い、適切に納税することが重要である。
暗号資産の取引はバレる?
「暗号資産は匿名性が高いから、税務署に取引を把握されることはない」と考える人は少なくない。
しかし、この認識は完全に誤っている。
実際には、税務署は複数の仕組みを通じて暗号資産取引を詳細に把握しており、申告漏れや無申告は高い確率で発覚する。
最も重要な把握手段が、国内暗号資産取引所による「支払調書」の提出である。
国内の暗号資産取引所には、顧客の年間取引に関する支払調書を税務署に提出する法的義務が課されている。
支払調書には、利用者の氏名、住所、マイナンバー、年間の取引内容、損益情報などが詳細に記載される。
この支払調書は、取引所が税務署に対して直接提出するものであり、利用者本人が申告しなくても、税務署は取引所を通じて取引の実態を把握できる仕組みになっている。
つまり、国内取引所でビットコイン(BTC)を売買して利益を得た場合、その情報は自動的に国税庁に報告されているのである。
税務署は提出された支払調書と個人の確定申告内容を照合し、申告漏れがないかをチェックしている。
暗号資産取引で利益を得ているにもかかわらず申告していない場合や、申告額が支払調書の内容と大きく乖離している場合は、税務調査の対象となる可能性が高い。
令和3年(2021年)以降、暗号資産交換業者には、顧客の取引に関する支払調書を税務署に提出する義務が法制化されている。これにより、暗号資産取引の透明性が大幅に向上した。
「海外の取引所を使えばバレないのでは?」と考える人もいるが、これも誤解である。
近年、国際的な税務情報の透明性を高めるため、CRS(Common Reporting Standard:共通報告基準)という制度が導入されている。
CRSは、OECD(経済協力開発機構)が策定した国際基準であり、各国の税務当局が自動的に金融口座情報を交換する仕組みである。
日本はCRS(共通報告基準)に参加しており、海外の金融機関や暗号資産取引所が保有する日本居住者の口座情報が、相手国の税務当局を通じて日本の国税庁に提供される。
主要な海外暗号資産取引所の多くはCRSの報告義務を負っており、日本人利用者の取引情報が日本の税務署に報告される可能性が高い。
また、アメリカのFATCA(Foreign Account Tax Compliance Act:外国口座税務コンプライアンス法)も、海外口座の把握に活用されている。
これらの国際的な情報交換制度により、「海外取引所だから安全」という考えは通用しなくなっているのである。
さらに、税務署は銀行口座の入出金記録も調査できる権限を持っている。
暗号資産を日本円に換金して銀行口座に入金した場合、その資金の出所を税務署から問われることになる。
多額の入金があるにもかかわらず、それに見合う収入が申告されていなければ、税務調査の対象となる。
暗号資産取引では、取引所間の送金やウォレットへの移動など、複数の取引を経由することが多い。
このような複雑な取引経路についても、税務署は取引所の記録やブロックチェーンの取引履歴を追跡することで、資金の流れを解明することができる。
ブロックチェーンは公開台帳であり、すべての取引が記録されているため、専門的な解析ツールを使えば取引の追跡は可能である。
SNSやインターネット上の情報も、税務調査のきっかけになることがある。
暗号資産で大きな利益を得たことをSNSで公表したり、派手な生活ぶりを投稿したりすると、それが税務署の目に留まり、申告内容との整合性を確認するために調査が入ることもある。
税務署は、確定申告書、支払調書、金融機関の取引記録、国際的な情報交換制度など、多角的な情報源を駆使して納税者の所得を把握している。
暗号資産取引についても例外ではなく、むしろ近年は重点的な監視対象となっている。
「バレないだろう」という甘い考えは極めて危険であり、必ず適切に申告することが求められる。
税務調査の実態
暗号資産取引に関する税務調査は、年々増加傾向にある。
国税庁は暗号資産の普及に伴い、この分野への監視体制を強化しており、専門的な知識を持った調査官を配置して組織的に取り組んでいる。
国税庁が公表しているデータによると、暗号資産取引に関する税務調査では、1件あたりの申告漏れ所得金額が2356万円と極めて高額になっている。
これは他の所得区分と比較しても突出して高い金額であり、暗号資産取引で多額の利益を得ながら適切に申告していない納税者が多数存在することを示している。
所得税に係る調査全体では、年間数万件の調査が実施されており、そのうち申告漏れ等の非違があった割合は約7割から8割に達している。
暗号資産関連の調査についても同様に高い非違割合が推測され、税務調査が入れば高確率で申告漏れが指摘される状況にある。
税務調査は、通常、税務署からの事前通知によって開始される。
調査対象者には、調査の日時、場所、調査対象となる税目や期間などが電話や文書で通知される。
ただし、不正の証拠隠滅が懸念される場合などには、事前通知なしに突然調査が行われる「無予告調査」が実施されることもある。
悪質な暗号資産取引の無申告案件では、無予告調査の対象となる可能性も高い。
調査では、暗号資産取引の記録、取引所の取引履歴、ウォレットの残高、銀行口座の入出金記録、帳簿、領収書など、あらゆる資料の提出を求められる。
暗号資産取引は記録が複雑になりやすく、複数の取引所を利用していたり、海外取引所やDeFi(分散型金融)を利用していたりする場合、すべての取引を正確に説明することは容易ではない。
調査官は暗号資産取引の仕組みや税務上の取り扱いについて専門的な知識を持っており、ブロックチェーンの取引履歴を解析するツールも活用している。
取引所間の送金、ウォレットへの移動、DeFiでの運用など、複雑な取引であっても、資金の流れを追跡して所得を算定することが可能である。
調査の過程で申告漏れが発覚すれば、修正申告を求められる。
この時点で自主的に修正申告を行えば、無申告加算税や過少申告加算税は軽減されることがある。
しかし、仮装・隠蔽行為があったと認定されれば、重加算税が課される。
重加算税は、単なる申告ミスや認識不足ではなく、意図的に所得を隠したり、虚偽の帳簿を作成したりするなど、悪質な行為があった場合に課される。
暗号資産取引では、複数の取引所やウォレットを使い分けて取引を分散させたり、海外取引所のみを利用して国内での把握を逃れようとしたりする行為が、仮装・隠蔽と認定される可能性がある。
無申告の場合の重加算税は40%であり、本来の税額に加えてこの重加算税と延滞税が課されると、納税負担は極めて大きくなる。
さらに、悪質性が高いと判断されれば、刑事罰の対象となることもある。
所得税法(e-Gov法令検索)では、偽の領収証を用いるなど不正行為による脱税(ほ脱罪)に対して10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、あるいはその両方が科されると規定されている。
故意に申告を行わなかった場合(単純無申告ほ脱)でも、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科される可能性がある。
実際に、暗号資産取引の所得を隠して脱税したとして起訴され、有罪判決を受けた事例も報道されている。
税務調査に対応するためには、日頃から取引記録を正確に保管しておくことが不可欠である。取引所の取引履歴、ウォレットの送受金記録、取引の目的や経緯を説明できるメモなどを整理しておくことで、調査時にスムーズに対応できる。
また、暗号資産取引の税務処理は複雑であるため、税理士などの専門家に相談することも有効である。
税務調査は精神的にも時間的にも大きな負担となる。
調査が長期化すれば、通常の業務や生活にも支障をきたす。
最も重要なのは、税務調査を受けないようにすることではなく、適切に申告して調査を受けても問題のない状態を維持することである。
暗号資産取引で利益を得た場合は、必ず期限内に正確な申告を行い、適切に納税することが求められる。
2025年の税制改正で何が変わる?
ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産の課税制度は、2025年以降、大きな転換期を迎えようとしている。
金融庁は2024年8月29日、2026年度税制改正要望において、暗号資産取引に対する申告分離課税の導入を正式に盛り込んだ。
これは、現在の総合課税方式から申告分離課税方式への移行を意味し、実現すれば、暗号資産投資家にとって税負担が大幅に軽減される可能性がある。
現行制度では、ビットコイン(BTC)の売買益は「雑所得」として扱われ、給与所得など他の所得と合算して課税される総合課税の対象となっている。
このため、累進課税制度により所得が増えるほど税率が上昇し、最高で55%(所得税45%+住民税10%)もの税金が課される。
この高税率は、日本の暗号資産市場の成長を阻害する要因として、業界関係者や投資家から長年にわたり見直しを求める声が上がっていた。
2024年12月に閣議決定された「令和7年度税制改正大綱(財務省)」では、検討事項として「暗号資産取引に係る必要な法整備と併せて、分離課税の導入を含めた暗号資産取引等に係る課税の見直しを行うこと」と明記された。
この記載は、政府が暗号資産税制の抜本的改革に向けて本格的に動き出したことを示している。
こうした税制改正の動きは、日本政府がWeb3産業の育成と国際競争力の強化を目指す政策の一環である。
自民党デジタル社会推進本部が発表したWeb3ホワイトペーパーでも、暗号資産の税制改正は優先課題として位置づけられており、シンガポールやアメリカなどの主要国と比較して不利な日本の税制を是正する必要性が指摘されている。
海外では、暗号資産の利益を株式と同様にキャピタルゲイン課税として扱う国が多く、日本の現行税制は国際的に見ても厳しい水準となっている。
税制改正の実現には、金融商品取引法(e-Gov法令検索)などの関連法整備が前提条件とされている。
金融庁は、暗号資産を金融商品取引法の枠組みで扱うための法改正も同時に進める方針を示しており、制度全体の整合性を保ちながら改革を進める姿勢である。
ただし、具体的な施行時期については、法整備の進捗状況や政治的な議論の行方に左右されるため、現時点では確定していない。
申告分離課税の導入予定
申告分離課税とは、特定の所得を他の所得と分離して、一定の税率で課税する制度である。
株式や投資信託、FX取引などの金融商品には既にこの制度が適用されており、一律20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)の税率となっている。
暗号資産取引にこの制度が導入されれば、どれだけ利益が出ても税率は一律20.315%に固定されることになる。
現在の総合課税方式では、所得金額に応じて税率が5%から45%まで段階的に上昇し、住民税10%を加えると最高55%に達する。
例えば、年間で1000万円のビットコイン(BTC)売買益がある場合、現行制度では給与所得などと合算した課税所得に応じて、33%~55%の税率が適用される可能性がある。
一方、申告分離課税が導入されれば、所得金額に関係なく20.315%の税率が適用されるため、高額所得者ほど大きな恩恵を受けることになる。
総合課税:最高税率55%(所得税45%+住民税10%)
申告分離課税:一律20.315%
具体的な節税効果のシミュレーション
具体的な計算例を見てみよう。
ビットコイン(BTC)取引で年間500万円の利益を得た場合、現行の総合課税(他の所得との合計が900万円超~1800万円以下と仮定)では、税率33%が適用され、約165万円の税金が発生する。
これが申告分離課税になれば、約101万円(500万円×20.315%)となり、約64万円の節税効果が生まれる。
さらに利益額が大きくなるほど、この差は顕著になる。
| 年間利益 | 総合課税(税率33%) | 申告分離課税(20.315%) | 節税額 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 約165万円 | 約101万円 | 約64万円 |
| 1000万円 | 約330万円 | 約203万円 | 約127万円 |
| 5000万円 | 約1650万円 | 約1016万円 | 約634万円 |
損益通算と損失繰越控除の可能性
申告分離課税の導入により期待されるもう一つの重要な変化が、損益通算と損失の繰越控除の可能性である。
現行制度では、ビットコイン(BTC)で損失が出ても、他の所得と通算することはできない。
また、損失を翌年以降に繰り越すこともできない。
しかし、株式やFXなどの申告分離課税が適用される金融商品では、損益通算や最大3年間の損失繰越控除が認められている。
暗号資産にも同様の制度が適用されれば、投資家にとってリスク管理がしやすくなり、より健全な投資環境が整うことになる。
- 損益通算:複数の暗号資産取引間で損益を相殺できる
- 損失繰越控除:損失を最大3年間繰り越して、翌年以降の利益と相殺できる
法整備の前提条件と今後の展開
ただし、金融庁の税制改正要望では「暗号資産取引に係る必要な法整備と併せて」という条件が付されている点に注意が必要である。
これは、暗号資産を金融商品取引法(e-Gov法令検索)の規制対象として位置づけるための法整備が先行条件となることを意味している。
現在、暗号資産は資金決済に関する法律(e-Gov法令検索)で規制されているが、金融商品取引法の枠組みに移行することで、投資家保護の水準を高めるとともに、税制上も金融商品として扱う正当性を確保する狙いがある。
移行スケジュールの見通し
申告分離課税への移行スケジュールについては、2026年度税制改正での実現を目指して議論が進められているが、法整備の複雑さや関係省庁間の調整、業界団体との協議など、クリアすべき課題は多い。
最も早いシナリオでは、2026年度中(2026年4月~2027年3月)に法改正が行われ、2027年分(2028年の確定申告)から新制度が適用される可能性がある。
しかし、議論の進捗によっては、実施時期がさらに後ろ倒しになる可能性も否定できない。
| 時期 | 想定される動き |
|---|---|
| 2025年度 | 税制改正要望の提出、議論の継続 |
| 2026年度 | 法改正の実施(最速シナリオ) |
| 2027年分~ | 申告分離課税の適用開始(最速の場合) |
今後の税率はどうなる?
暗号資産課税の今後について、最も有力なシナリオは、株式やFXと同じ20.315%の申告分離課税への移行である。
金融庁の税制改正要望や令和7年度税制改正大綱の記載内容から判断すると、政府はこの方向で制度設計を進める意向を明確にしている。
実現すれば、現行の最高税率55%から約65%もの税率引き下げとなり、日本の暗号資産市場に大きなインパクトを与えることは間違いない。
20.315%という税率は、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%の合計である。
このうち復興特別所得税は、東日本大震災からの復興財源を確保するために2013年から2037年末まで課される時限措置である。
したがって、2038年以降は復興特別所得税が廃止され、税率は20%(所得税15%+住民税5%)になる見込みである。
ただし、暗号資産への申告分離課税が2037年末までに導入された場合に限られる。
一方で、税率設定については、必ずしも株式やFXと完全に同じになるとは限らないという見方もある。
暗号資産の特性や投機性の高さ、価格変動の大きさなどを考慮して、独自の税率設定がなされる可能性も議論されている。
例えば、25%や30%といった、現行より低いが株式より高い中間的な税率が採用されるシナリオも理論上は考えられる。
しかし、現時点での政府や金融庁の方針を見る限り、金融商品としての整合性を重視し、他の金融商品と同等の20.315%が採用される可能性が最も高いと考えられる。
今後の税率を考える上で重要なのが、保有期間による税率の差別化の有無である。
アメリカでは、暗号資産を1年以上保有した場合と1年未満で売却した場合とで、適用される税率が異なる仕組みが採られている。
日本でも、長期保有を促進するために保有期間に応じた税率の軽減措置を導入すべきだという意見が一部にある。
しかし、令和7年度税制改正大綱や金融庁の要望文書には、保有期間による区別についての言及はなく、当面は一律の税率が適用される見込みである。
最も楽観的なケースでは、2025年中に関連法案が国会で審議・可決され、2026年度から新税制が適用される可能性がある。ただし、金融商品取引法(e-Gov法令検索)の改正など関連法整備が複雑であるため、2027年度以降の施行となる可能性も十分にある。
税制改正の実現時期については、複数のシナリオが想定される。
最も楽観的なケースでは、2025年中に関連法案が国会で審議・可決され、2026年度から新税制が適用される可能性がある。
この場合、2026年1月1日以降の暗号資産取引から新しい税率が適用され、2027年の確定申告時に20.315%の税率で計算することになる。
ただし、金融商品取引法(e-Gov法令検索)の改正など関連法整備が複雑であるため、2027年度以降の施行となる可能性も十分にある。
政策動向を見ると、与党である自民党・公明党は、Web3産業の育成を成長戦略の柱の一つに位置づけており、税制改正への意欲は高い。
2024年から2025年にかけて、自民党のWeb3プロジェクトチームやデジタル社会推進本部が相次いで提言を発表し、暗号資産税制の見直しを強く求めている。
また、業界団体である一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)や一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)なども、税制改正の実現に向けたロビー活動を積極的に展開している。
こうした官民の動きを総合すると、申告分離課税の導入は時間の問題であり、実現する方向で議論が進んでいると判断できる。
ただし、具体的な実施時期や制度の詳細については、今後の国会審議や政治情勢、パブリックコメントの内容などによって変動する可能性がある。
投資家としては、税制改正の動向を注視しながら、現行制度に基づいた適切な納税を行うとともに、新制度への移行に備えた投資戦略を検討しておくことが重要である。
国際的な観点からも、日本の税制改正は注目されている。
シンガポールでは暗号資産の売買益に課税されず、アメリカでは長期保有の場合、最大20%のキャピタルゲイン税率が適用される。
イギリスでも最大20%の税率となっており、日本の現行税率55%は主要国の中で突出して高い水準である。
申告分離課税が実現すれば、日本の税制は国際的に見ても競争力のある水準に改善され、国内外の投資家や暗号資産関連企業の日本市場への参入が促進されることが期待される。
最後に、税制改正が実現した場合の影響について整理しておきたい。
- 個人投資家にとっては、税負担の軽減により手取り額が増加し、より積極的な投資が可能になる
- 企業にとっては、日本市場の魅力が高まることで、暗号資産関連ビジネスの展開がしやすくなる
- 日本経済全体としては、Web3産業の成長が加速し、新たな雇用創出やイノベーションの促進につながる可能性がある
暗号資産税制の改正は、単なる税率の変更にとどまらず、日本のデジタル経済の未来を左右する重要な政策課題であると言えるだろう。
よくある質問
ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産の税金については、さまざまな取引形態や運用方法が存在するため、多くの投資家が疑問を抱えている。
ここでは、特に問い合わせの多い特殊ケースの税務上の取扱いについて、国税庁の見解や税法の規定に基づいて詳しく解説する。
海外取引所の利用、マイニング、ステーキング、NFT取引など、一般的な売買以外の取引についても正確な知識を持つことで、適切な申告と納税が可能となる。
海外の取引所を使っても税金はかかる?
海外の暗号資産取引所を利用した場合でも、日本の居住者である限り日本の税法に基づいて課税される。
取引所の所在地がどこにあるかは課税判断に影響を与えず、あくまでも取引を行った個人の居住地が基準となる。
所得税法(e-Gov法令検索)では、居住者が国内外を問わず全世界で得た所得に対して課税する「全世界所得課税」の原則を採用している。
したがって、海外取引所で暗号資産を売却して利益を得た場合、その利益は雑所得として日本の所得税の課税対象となる。
取引所が海外にあるからといって申告が不要になるわけではない。
具体的には、海外取引所でビットコイン(BTC)を売却した際の取得価額と売却価額の差額が所得金額として計算される。
この計算方法は国内取引所を利用した場合と同じであり、国税庁の定める移動平均法または総平均法を用いて取得価額を算出する必要がある。
海外取引所に保有している暗号資産の残高が年末時点で100万円を超える場合には、確定申告とは別に国税庁が定める「国外財産調書」の提出が必要となる可能性がある。
さらに、海外取引所から日本の銀行口座への送金が100万円を超える場合は、金融機関から税務署への支払調書が提出されるため、無申告は発覚するリスクが高い。
海外取引所を利用する際は、取引履歴のダウンロードや保存を確実に行い、円換算のレートも記録しておくことが重要である。
取引所が突然サービスを終了したり、日本からのアクセスを制限したりする事例もあるため、定期的にデータをバックアップしておくべきである。
マイニング報酬の税金は?
ビットコイン(BTC)のマイニングによって得た報酬は、原則として雑所得に区分され、所得税の課税対象となる。
国税庁の見解では、マイニング、ステーキング、レンディングなどにより暗号資産を取得した場合、その取得に伴い生ずる利益は所得税法(e-Gov法令検索)の課税対象と明確に示されている。
マイニング報酬の所得金額は、取得した暗号資産の時価から必要経費を差し引いて計算される。
時価とは、マイニング報酬として暗号資産を取得した時点での市場価格を指す。
例えば、0.1BTCをマイニング報酬として取得した時点でビットコイン(BTC)の価格が500万円であれば、50万円が収入金額となる。
マイニングにかかるコストは、適切に記録すれば必要経費として計上できる。
必要経費として認められるものには、以下がある。
- マイニングに使用したコンピューターやGPUなどの機器の減価償却費
- 電気代
- インターネット通信費
- マイニングプールへの手数料
- 冷却設備の費用
特に電気代はマイニングにおける主要なコストであり、使用電力量を適切に記録して経費として計上することが重要である。
マイニング活動の規模や継続性によっては、雑所得ではなく事業所得として認められる場合もある。
事業所得と認められれば、青色申告特別控除の適用や損失の繰越控除などの優遇措置を受けられる可能性がある。
ただし、事業所得として認められるには、営利性、継続性、反復性などの要件を満たす必要があり、個別の状況に応じて税務署が判断する。
マイニングで取得した暗号資産を売却する場合、マイニング時と売却時の両方で所得が発生する。
マイニングで取得した暗号資産をその後売却した場合は、別途売却時点での所得計算が必要となる。
この場合、取得価額はマイニング報酬として取得した時点の時価となり、売却価額との差額が新たな所得として計上される。
つまり、マイニング時と売却時の二度にわたって課税されることになる。
個人でマイニングを行う場合、収入金額や経費の記録を詳細に残すことが極めて重要である。
取得日時、取得した暗号資産の数量、その時点での価格、必要経費の内訳などを証拠書類とともに保管しておくことで、税務調査にも対応できる体制を整えておくべきである。
ステーキング報酬の課税タイミング
ステーキング報酬の課税タイミングは、報酬として暗号資産を取得した時点である。
国税庁の見解では、ステーキングにより暗号資産を取得した場合、その取得に伴い生ずる利益は所得税法(e-Gov法令検索)の課税対象となると明示されている。
ステーキングとは、特定の暗号資産を保有してブロックチェーンのネットワークに参加することで、その対価として新たな暗号資産を報酬として受け取る仕組みである。
この報酬を受け取った時点で所得が発生したとみなされ、その時点での市場価格に基づいて所得金額が計算される。
具体的な課税タイミングは、ステーキング報酬がウォレットやアカウントに入金された時点となる。
多くのステーキングサービスでは、日次、週次、月次など定期的に報酬が付与されるため、それぞれの付与時点で課税所得が発生する。
年間を通じて複数回にわたって報酬を受け取る場合は、各回の取得時点での時価を合計して年間の所得金額を算出する必要がある。
ステーキング報酬の所得区分は、原則として雑所得となる。所得金額の計算は、取得した暗号資産の時価から必要経費を差し引いて行う。
ただし、ステーキングは暗号資産を保有しているだけで報酬が得られるため、マイニングのように多額の設備投資や電気代が発生するケースは少なく、経費として計上できる項目は限定的である。
ステーキング報酬として取得した暗号資産をその後売却する場合は、マイニング報酬と同様に、取得時と売却時の二度にわたって課税される。
取得価額は報酬として受け取った時点での時価となり、売却価額との差額が新たな所得として計上される。
取引所やDeFiプラットフォームでステーキングを行う場合、報酬の付与履歴を詳細に記録しておくことが重要である。
報酬が付与された日時、数量、その時点での価格を記録し、円換算での所得金額を計算できるようにしておく必要がある。
一部の取引所では、ステーキング報酬の履歴をダウンロードできる機能を提供しているため、これを活用して記録を残すことが推奨される。
ロックアップ期間中で報酬を引き出せない状態であっても、アカウント上で報酬が確定した時点で課税されるという見解が一般的である。したがって、引き出し可能時期と課税タイミングは必ずしも一致しないことに注意が必要である。
NFT売買との違い
NFT(非代替性トークン)の売買と暗号資産の売買では、税務上の取扱いにいくつかの重要な違いがある。
両者の違いを正確に理解することで、適切な申告と納税が可能となる。
NFTを暗号資産で購入する場合の課税
まず、NFTを暗号資産で購入する場合、その購入行為自体が暗号資産の売却とみなされ、課税対象となる点が重要である。
例えば、当初2万円で取得したイーサリアム(ETH)が5万円に値上がりした時点でNFTを購入した場合、差額の3万円が暗号資産の売却益として雑所得に計上される。
つまり、NFTを購入する行為は、暗号資産を売却して日本円を得てからNFTを購入したのと同じ税務上の扱いとなる。
ビットコイン(BTC)などの暗号資産同士を交換する場合も同様の考え方が適用される。ビットコイン(BTC)でイーサリアム(ETH)を購入する場合、ビットコイン(BTC)の売却益が課税対象となる。この点は、NFT購入時の課税と同じ仕組みである。
NFT売却時の課税区分
NFTを売却して利益を得た場合の課税区分は、その取引の性質や頻度によって異なる。
個人が趣味や投資目的でNFTを売却した場合、譲渡所得または雑所得として課税される可能性がある。
譲渡所得として扱われる場合は、50万円の特別控除が適用される可能性があるが、雑所得として扱われる場合は特別控除の適用がない。
| 所得区分 | 適用される場合 | 特別控除 |
|---|---|---|
| 譲渡所得 | 個人の趣味・投資目的の売却 | 50万円の特別控除の可能性あり |
| 雑所得 | 個人の趣味・投資目的の売却 | 特別控除なし |
| 事業所得 | 制作者が継続的に販売 | 青色申告特別控除等の適用可能 |
| 雑所得 | 制作者が単発で販売 | 特別控除なし |
NFT制作者の課税
NFTの制作者が自ら制作したNFTを販売する場合は、事業所得または雑所得として課税される。
デジタルアーティストやクリエイターが継続的にNFTを制作・販売している場合は事業所得とみなされる可能性が高く、この場合は青色申告特別控除などの優遇措置を受けられる。
暗号資産売買との主な違い
暗号資産の売買は基本的に雑所得として一律に扱われるのに対し、NFT取引は取引の態様によって所得区分が変わる可能性がある点が大きな違いである。
また、NFTは美術品や収集品としての性質も持つため、税務上の判断がより複雑になるケースがある。
- 暗号資産売買:基本的に雑所得として一律に処理
- NFT取引:取引の態様によって所得区分が変動
- NFT:美術品・収集品としての性質による複雑さ
NFTを暗号資産で売却する場合
NFTを暗号資産で売却した場合も、暗号資産の取得とみなされる。
このとき、取得した暗号資産の時価で収入金額を計算し、NFTの取得価額を差し引いて所得金額を算出する。
その後、取得した暗号資産を売却する際には、別途売却益の計算が必要となる。
記録の複雑さの違い
NFT取引と暗号資産取引のもう一つの違いは、記録の複雑さである。
NFTは個別性が高く、一つ一つの取引履歴を詳細に記録する必要がある。
取得日、取得価額、売却日、売却価額に加えて、使用した暗号資産の種類や取得時の価格なども記録しておかなければならない。
- 取得日・取得価額
- 売却日・売却価額
- 使用した暗号資産の種類
- 暗号資産の取得時の価格
最新情報の確認と専門家への相談
税務当局はNFT取引についての見解をさらに明確化していく可能性があるため、最新の情報を常に確認することが重要である。
不明な点がある場合は、税理士などの専門家に相談して適切な申告方法を確認することが推奨される。
ビットコイン(BTC)の税金計算ツール・アプリ
ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産の取引で利益が発生した場合、確定申告が必要となる。
しかし、複数の取引所での売買、送金、交換など取引履歴が膨大になると、手計算での損益計算は非常に困難である。
特に、年間で数百件から数千件の取引を行っている投資家にとって、正確な損益計算は大きな負担となる。
こうした課題を解決するために開発されたのが、暗号資産の税金計算ツール・アプリである。
これらのツールは、取引所から取得した取引履歴データを自動的に読み込み、国税庁が定める計算方法(移動平均法または総平均法)に基づいて損益を算出する機能を持つ。
多くのツールは国内外の主要取引所に対応しており、API連携による自動データ取得も可能である。
国税庁も暗号資産の計算書(Excelファイル)を公式サイトで提供している。ただし、取引件数が多い場合や複雑な取引を行っている場合には、専用の損益計算ソフトの利用が効率的である。
これらのツールを活用することで、計算ミスのリスクを軽減し、確定申告の準備時間を大幅に短縮できる。
また、近年ではDeFi(分散型金融)やNFT取引など、従来の取引所取引以外の取引形態も増加している。
こうした新しい取引形態に対応したツールも登場しており、取引の多様化に伴い、より高度な計算機能を備えたツールの需要が高まっている状況である。
Gtax(ジータックス)
Gtaxは国内で広く利用されている暗号資産の損益計算ソフトである。
70以上の国内外取引所に対応しており、初心者から上級者まで幅広いユーザー層に支持されている。
API連携による取引履歴の自動取得に対応しているため、手動でのデータ入力の手間を大幅に削減できる。
料金プランは無料プランから用意されており、取引件数に応じて有料プランへの切り替えが可能である。
サブスクリプション型の新料金プランでは、複数年度の計算を行う際に、年度ごとの決済が不要となり、より効率的な運用が可能となっている。
シンプルなインターフェースで操作しやすく、初めての確定申告でも迷わず使用できる設計となっている。
Cryptact(クリプタクト)
Cryptactは無料プランでも充実した機能を提供している損益計算ツールである。
無料のFreeプランでは、国内外の取引所に自動対応し、10万件の取引履歴データの取り込みが可能である。
初心者でも上級者でも気軽に始められる点が大きな特徴である。
Cryptactは対応取引所の数も豊富で、定期的に対応取引所を追加している。
DeFi取引やNFT取引にも対応しており、多様な取引形態を行っているユーザーにとって有用なツールである。
有料プランではさらに高度な機能や、優先サポートなどのサービスが提供される。
CryptoLinC(クリプトリンク)
CryptoLinCは個人向けだけでなく、法人向けのプランも充実している点が特徴である。
法人向けプランは年間1万9800円から利用でき、国内・海外取引所はもちろん、DeFi取引にも対応している。
法人での暗号資産取引を行っている事業者にとって、コストパフォーマンスの高い選択肢となっている。
個人向けプランも用意されており、取引規模に応じた柔軟な料金設定がなされている。
APIやアドレス指定による履歴の自動取得にも対応を拡大しており、履歴を取得できない取引にも柔軟に対応できる仕組みが整っている。
選択のポイント
損益計算ソフトを選択する際には、いくつかの重要なポイントがある。
まず、自分が利用している取引所に対応しているかを確認する必要がある。
次に、年間の取引件数に応じた料金プランを比較し、コストパフォーマンスを検討することが重要である。
また、DeFi取引やNFT取引、エアドロップなど、特殊な取引を行っている場合には、それらに対応しているツールを選択する必要がある。
API連携機能の有無も、作業効率に大きく影響するため、確認しておくべきポイントである。
サポート体制やユーザーインターフェースの使いやすさも重要な選択基準である。初めて損益計算ツールを使用する場合には、無料プランやトライアル期間を利用して、実際の使用感を確認してから有料プランに移行することを推奨する。
税務申告の重要度や取引の複雑さ、予算などを総合的に考慮し、自分の取引スタイルに最適なツールを選択することで、確定申告の負担を大幅に軽減できる。
国税庁が定める計算方法に準拠したツールを使用することで、正確な申告が可能となり、税務リスクを最小限に抑えることができる。


