- シティ(Citi)のレポートによると、ステーブルコインは依然として主に暗号資産(仮想通貨)への入り口として使用されており、全体の銀行預金への影響はほとんどないが、資金調達のコストに潜在的な圧力がかかる可能性がある。
- イーサリアムはステーブルコインブームから恩恵を受けているが、ドルに裏付けられたコインが引き続き主導する中で、新しいネットワークがイーサリアムの優位性を侵食する可能性があると、シティは警告した。
シティによると、7月に米国でジーニアス(GENIUS)法が可決されて以来、ステーブルコインはより広範な暗号資産市場と歩調を合わせて上昇した。これを受けてシティのアナリストらは先月、2030年の時価総額の見通しを1兆9000億ドル(約290兆円、1ドル=151円換算)に引き上げた。
ステーブルコインは主に、暗号資産へのオンランプのままであり、一貫して暗号資産の総市場時価総額の5%〜10%を占めてきたと、シティは10月17日発表のレポートで述べた。
シティのアナリストらは、近い将来の成長がより広範なデジタル資産市場と歩調を合わせて進むことを予想している。
ステーブルコインは、米ドルや金などの他の資産に価値が連動した暗号資産である。暗号資産市場で主要な役割を果たし、決済インフラを提供したり、国際的な送金にも使用されている。
テザー(Tether)のUSDTが時価総額最大のステーブルコインであり、サークル(Circle)のUSDコイン(USDC)がそれに続いている。
シティは、銀行預金への影響はおそらく穏やかであるだろうと主張した。資金調達コストと貸出意欲は変化する可能性があるものの、レポートは1980年代のマネーマーケットファンドの台頭との類似点を指摘し、当時も全体的な貸出に重大な混乱は生じなかったと述べた。
ステーブルコインのブームはイーサリアムブロックチェーン上の活動を復活させたが、アナリストらはステーブルコイン発行事業者が独自のネットワークを開発するにつれて、この優位性が薄れる可能性があると警告した。
ネットワーク効果によって当面、イーサリアムの地位が維持される可能性があるが、その地位はもはや保証されてはいない。
シティは、ステーブルコイン採用の主な推進力は、インフレに直面している新興市場における「価値の保存手段」としての役割であると見ている。
これは、ドル資産へのさらなる需要を刺激する可能性があるが、ドル化を制限するための政策的な対応を引き起こす可能性もある。
対照的に、決済は依然としてニッチなユースケースのままであり、ほとんどが小額の取引である。 米ドルは市場を支配し続けているが、ユーロ建てのステーブルコインは小規模な基盤から利益を得ている。
香港の新しい規則は、米国外の規制がこの状況をどのように再構築する可能性があるかを浮き彫りにしていると、レポートは指摘した。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Unsplash(CoinDeskが加工)
|原文:Wall Street Bank Citi Sees Stablecoins Powering Crypto’s Next Growth Phase


