LN Trends 2025年10月(vol.12)

暗号資産(仮想通貨)取引所bitbankを運営するビットバンクが公開した「LN Trends」最新号を転載してお届けします(LN:Lightning Network)。

LN市場の概況

参照:AMBOSS

概要:今月は先月に引き続き、ノード・チャネル・キャパシティのすべてが増加傾向にあり、ネットワーク活動が再び活発化しています。

ノードの増加は、新規参加者や運用者の参入を示し、ネットワーク全体の分散度合いが向上していると考えられます。一方で、接続の広がりに比べてチャネル数の伸びは緩やかであり、参加者の多くが少数のチャネルのみを保有する小規模ノードである可能性が高いです。

これは、ライトニングネットワークの利用が一部のルーティングノードやサービス事業者に依存する構造を保ちつつも、周辺参加者が増えている過渡期を示唆しています。

キャパシティの増加は、既存ノードによるチャネルの拡充や、より大きな金額を扱う決済需要の高まりを反映しているとみられます。

日付ノード数キャパシティ数(BTC)チャネル数
10/3115,042(+1.31%)4,165(+4.51%)46,398(+0.79%)
9/3014,8473,98546,034
8/1514,4763,82745,555
7/1513,9783,83945,295

用語説明

  • ノードとは
    ・ネットワークに接続しているライトニングノードソフトウェアの数を指しています。
    ・決済の中継や決済チャネルの開設・維持を行う、ネットワークの基本単位です。
    ・ネットワークの広がりと分散度合いを示す指標です。
  • キャパシティとは
    ・ライトニングネットワーク全体で送金に利用できるビットコインの総量を指しています。
    ・資金の厚み・流動性・経済的規模を示す指標です。
  • チャンネルとは
    ・2つのノード間で開設される、オフチェーン上の決済通路の数を指しています。
    ・このチャネルを通じて、ビットコインを即時かつ低コストで送受信できます。
    ・接続性・経路の多様性・ネットワーク密度を示す指標です。

ライトニングネットワーク上でRGB資産の初のアトミックスワップが実現

参照:ATLAS21

概要:KaleidoSwapは、ライトニングネットワーク上でRGB資産であるtUSDTを用いた初のアトミックスワップをメインネットで実現した分散型取引所です。約12,000サトシと13 tUSDTの交換が、実際に運用されているチャネルと実際のRGB資産を用いて、即時かつトラストレスに完了しました。本取引はプライバシーを完全に保持しながら処理されました。

説明:KaleidoSwapは、従来の実験環境ではなく、本番環境におけるライトニングネットワーク上でRGB資産スワップを成功させた初の事例となります。取引に使用された両ノードは、Raspberry Pi 4(4GB RAM)上でビットコインフルノードおよびElectrumサーバーを同時に稼働させており、低スペックな環境でも安定してスワップ処理が可能であることを示しました。

この成果により、RGB資産を活用したライトニングネットワーク上での実用的なスワップが、低コストかつ容易に実現できる可能性が示されました。特に、即時決済、トラストレス性、プライバシー保護といったRGB・Lightningの強みを活かした運用の実用性が確認された点が重要です。

Breez、「Time2Build」プログラムを開始 — ライトニング開発の恒久的採用を促進

参照:COINTELEGRAPH

概要:Breezは、開発者が既存のオープンソースアプリにライトニングネットワーク機能を組み込み、その成果に応じて報酬を得られる新プログラム「Time2Build」を開始しました。本プログラムは、ハッカソンや一時的なバウンティとは異なり、持続的な機能統合とユーザーへの実利用の拡大を目的として設計されています。

説明「Time2Build」は、開発者がライトニングネットワーク機能を既存のFOSS(自由かつオープンソースソフトウェア)プロジェクトに実装し、そのコードが正式に採用された場合にのみ報酬が支払われる仕組みを採用しています。これにより、単なる提出ではなく、「ライトニング機能が実際のユーザーに届くこと」を最重視する構造になっています。

対象となるプロジェクトは、FOSSライセンスを持ち、活発なコミュニティと実際のユーザーベースを備えていることが条件です。Breezはこの取り組みを通じて、ライトニングネットワークの恒久的かつ実用的な採用を促進し、より多くのユーザーが日常的にライトニングを利用できる環境づくりを目指しています。

南アフリカで暗号資産決済が普及

参照:TECHCENTRAL

概要:南アフリカでは、「Scan to Pay」と「MoneyBadger」の提携により、約65万店舗(実店舗・オンライン含め約70万カ所)で暗号資産による直接支払いが可能となりました。ユーザーはBinance、Luno、Blink、VALRなどの取引所アカウントやライトニングウォレットを用い、ビットコインやステーブルコインで即時決済ができます。加盟店は従来どおり南アフリカ・ランド(ZAR)で受け取れるため、追加設定は不要です。

説明:南アフリカにおける暗号資産決済の普及は、「Scan to Pay」と「MoneyBadger」の連携によって大きく進展しました。ユーザーはQRコードをスキャンするだけで決済が完了し、主要取引所ウォレットやライトニングネットワーク経由でビットコインやステーブルコイン決済が利用可能です。Checkers、Shoprite、Makro、Vodacomなどの大手チェーンでも導入が広がっており、法定通貨への変換を介さずに直接支払いができるようになりました。

これにより、従来よりも低い手数料で迅速な決済が可能となり、ユーザー体験と加盟店側の導入容易性の両立が実現しています。さらに、MoneyBadgerのCEOは「南アフリカではビットコイン保有から日常利用への移行が進み、金融包摂が拡大している」と述べています。

今回の提携により、Scan to Payは南アフリカ最大級の暗号資産決済ネットワークへ成長し、暗号資産の実用化と経済インフラ統合の加速に寄与しています。この事例は、アフリカ全体のデジタル決済普及における新たなマイルストーンとして注目されています。

Voltage Payments on Mainnet — クレジット担保型ライトニング決済が始動

参照:Voltage

概要:ライトニングインフラ企業のVoltageは、新たな決済モデル「Voltage Payments」をメインネットで正式に公開しました。このモデルにより、企業はライトニングネットワーク上で事前に資金をチャネルへロックすることなく、即時決済を行えるようになりました。Voltageは、従来の流動性確保モデルを信用枠(Line of Credit)ベースへ転換し、企業は与えられた信用枠を使用して送金し、請求サイクルの末にドルまたはビットコインで清算できます。

説明:従来のライトニングネットワーク決済は、企業側がチャネルに資金を事前配置して流動性を確保する必要があり、運転資金の拘束や流動性管理の手間が課題となっていました。Voltage Paymentsはこの問題を解消するため、信用枠を用いた新モデルを採用しています。企業は信用枠を利用して即時のライトニング決済を実行し、後日まとめて清算することで、資金を拘束することなく高い決済即時性を維持できます。

この仕組みにより、企業は資本効率を向上させながらライトニング決済を簡便に導入できます。APIはシンプルで、ダッシュボードも直感的に利用できるため、数日で運用を開始できる点も特徴です。

米国企業との初期導入では、決済処理の高速化、運用コストの削減、顧客信頼の向上などの成果が確認されています。現在は米国内企業を対象にサービスを提供していますが、2026年までに段階的なグローバル展開を予定しており、ライトニングネットワークの商用利用拡大に大きく寄与する取り組みとして注目されています。

Square、米国のコーヒーチェーンで初のライトニングネットワーク決済を実現

参照:decrypt

概要:ワシントンD.C.のコーヒーチェーン「Compass Coffee」が、SquareのPOS端末を通じて世界で初めてライトニングネットワークによるビットコイン決済を処理しました。10種類のウォレットによるテスト決済はすべて即時に完了し、高速かつ低コストのBTC決済が実証されました。本実証は、Squareの親会社であるBlock社が発表した新しいビットコイン決済システムの初採用事例であり、2025年11月10日から全世界の加盟店に展開される予定です。

説明:Compass Coffee(全27店舗)は、従来のSquareレジをそのまま利用しながらライトニングネットワーク経由のBTC決済を受け付け、全テストウォレットで決済が即時処理されました。これにより、速度・信頼性・ユーザー体験の高さが実証され、ライトニングネットワークが実店舗決済に十分対応できることが示されました。

新しいSquareのビットコイン決済システムでは、カード決済における発行銀行・受取銀行・カードネットワークといった三層構造が不要となり、取引は数秒で完了します。加盟店は高額な手数料から解放されつつ、売上の最大50%を自動的にBTCへ変換でき、導入初年度は決済手数料が無料という利点もあります。

Block社はCompass Coffeeでの成功を踏まえ、商用展開に向けた最終準備を進めています。正式ローンチ後は、加盟店がBTC受け取りと法定通貨への変換を同時に行えるようになり、決済スピードの向上、運用コストの削減、ユーザーへの新たな付加価値サービスの提供など、幅広いメリットが期待されています。

ShakepayとLightspark、ビットコインによる決済をカナダにもたらすため提携

参照:lightspark

概要:カナダ最大級のビットコイン取引プラットフォームであるShakepayは、Lightspark社との提携を発表しました。この提携により、ライトニングネットワークを活用した即時・低コスト・常時稼働型のビットコイン決済が、カナダ国内で初めて本格的に導入されました。Shakepayユーザーは数秒以内にBTCを送受信でき、従来のオンチェーン取引に比べてスピードと手数料の両面で大きな改善が実現しています。

説明:ShakepayはLightsparkの「Connect」ソリューションを採用し、自社でライトニングノードやチャネルを直接運用することなく、スケーラブルなリアルタイムBTC決済を提供できる環境を整えました。これにより、24時間365日稼働する高速な決済インフラが実現し、ユーザーはインターネットの速度でのビットコイン送受信を利用できます。

Lightsparkは企業向けに、流動性管理、自動ルーティング、APIツールセットなどをワンストップで提供しており、Shakepayはこれらを活用することで技術的負担を大幅に軽減し、ユーザー体験の向上に集中できるようになりました。また、この事例は他の金融機関やフィンテック企業にとっても、ライトニングネットワーク統合を容易にするモデルケースとなります。

本提携によって、カナダでは初めてライトニングネットワークを基盤とした決済環境が整備され、国内でのビットコイン利用の実用的拡大が期待されています。

AIでビットコイン決済をスケール:MPFlowを発表

参照:AMBOSS

概要:AmbossとStillmarkの研究チームは、ライトニングネットワークにおける最大の課題である「流動性の最適配置」を解決するために、AIベースの流動性最適化エージェント「MPFlow」を発表しました。MPFlowはディープグラフ強化学習を用いてネットワーク全体の構造を学習し、流動性を動的かつ効率的に再配分します。従来のヒューリスティック手法では解決が難しかった流動性偏在や経路混雑の問題を克服し、決済成功率とスループットを大幅に向上させます。

説明:ライトニングネットワークは、即時性・低コスト・トラストレス性を備えたビットコインのレイヤー2決済基盤として注目されています。しかし、ネットワーク内の流動性が適切に配置されなければ、決済失敗や経路混雑が発生し、性能が大きく制限されてしまいます。MPFlowはこの問題に対処するため、ネットワークをグラフ構造として捉え、ノード間の接続やチャネル容量を継続的に学習して最適な流動性分布を判断する仕組みを採用しています。

技術面では、Message Passing Neural Network(MPNN)を基盤としたグラフニューラルネットワークと、Proximal Policy Optimization(PPO)による安定した強化学習を組み合わせています。報酬にはネットワークの最大流量を基準とするmax-flow理論を用い、Max-based aggregation技術によりネットワークのボトルネックを効率的に検出します。このモデルは軽量な2層MPNNで実装されており、実ネットワークでも高効率に動作する点が強みです。

約5,000ノードのネットワークスナップショットを使用した評価実験では、MPFlowはAutopilot比で最大11.3%のスループット向上を記録し、既存手法を一貫して上回りました。すでにAmbossのRails Clusterで実運用されており、リアルタイムかつ自律的な流動性再配分が実現されています。

StillmarkのVikash Singhは、AI経済における巨大小取引量を支えるのは新たなブロックチェーンではなく、ライトニングネットワークのようなレイヤー2ソリューションであり、幾何学的ディープラーニングによる最適化はその未来を象徴していると述べています。MPFlowはAIと分散型金融を融合させた先進的な成功事例であり、ライトニングネットワークの資本効率、スケーラビリティ、自律性を高める重要なマイルストーンとなっています。

今後は、流動性配分にとどまらず、チャネルリバランス、手数料最適化、経路選択などを統合した「ライトニングインテリジェンス」への発展も構想されており、さらなる高機能化が期待されています。

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