暗号資産業界、市場構造法案めぐり米主要上院議員と会談
  • 暗号資産(仮想通貨)業界は、市場構造法案に取り組む米上院議員らと再び会合を持った。
  • 同法案は1月に交渉が再開される予定であり、今回の会合は、業界代表者が立場を明確にする今年最後の大規模な機会となった。

米上院が暗号資産市場構造法案(業界にとって最重要政策目標)をめぐる交渉を一休みする直前となる12月17日、暗号資産業界の主要リーダーが、主要議員らと会合を行なった。

「超党派の関心と前進の勢いが見られた」と、会合に出席した後、CoinDeskの取材に応じたCoinbase(コインベース)の米国政策担当副社長Kara Calvert(カラ・カルバート)氏は述べた。

カルバート氏は、会合について、「マークアップ(法案の逐条審査)を行う予定であり、それを実現するために妥協点を見つける必要がある」と説明した。

この法案の推進を主導している上院銀行委員会のティム・スコット委員長は、議員たちが法案の詳細について交渉を続ける中、複数の業界関係者やロビー団体との会合を主催してきた。

今回の会合には、コインベースや、Kraken(クラーケン)、Ripple(リップル)、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ:a16z)、Chainlink(チェーンリンク)などの暗号資産関連企業に加え、Blockchain Association(ブロックチェーン・アソシエーション)、Digital Chamber(デジタル・チャンバー)、DeFi Education Fund(DeFiエデュケーション・ファンド)などの業界団体、民主党議員、Goldman Sachs Group(ゴールドマン・サックス・グループ)、BNY、Securities Industry and Financial Markets Association(証券業界金融市場協会:SIFMA)も参加した。

スコット氏は声明で、上院議員らが「慎重に、熟慮を重ねながら法案の文案を検討中」と述べた。

出席者らはCoinDeskに対し、今回の会合が2025年における最終調整の場であり、DeFiがソフトウェア開発者を擁護する立場など、各陣営の姿勢を明確化する機会だったと説明。新たな合意は生まれなかったものの、1月に予定される次回の協議に向けた土台が築かれたと語った。

デジタル・チャンバーのCody Carbone(コディ・カーボーン)CEOは、会合を次のように評した。

「解決すべき重要な政策課題は依然として複数残っているが、休暇のためワシントンを離れる前に本日我々と面会する時間を割いてくれた上院指導部が、米国におけるデジタル資産のルールを定義する共通基盤を見出すことにコミットしているため、これらの障壁は乗り越えられると楽観視している」。

両党の議員が、今年前半に米国のステーブルコイン発行体を規制する法案成立に成功した流れを受け、市場構造法案で共通基盤を見出そうと取り組む中、多くの経営陣がここ数週間、議会事務所を頻繁に訪れている。

業界は、銀行委員会や、法案を承認する必要がある上院農業委員会による委員会マークアップなど、今年中に法案に関するより具体的な行動が取られることを期待していたが、年末という目標は1月に延期された。

これには、来月末の予算期限など、いくつかの潜在的な問題がある。議会は、政府を数週間にわたる閉鎖に追い込んだ連邦支出計画に関する交渉を、再び行わなければならない。

これまでのところ、DeFiの扱い、および主にドナルド・トランプ大統領を念頭に置いた、政府高官と業界との個人的なビジネス関係の禁止を求める民主党の提案などの問題で、法案に関する協議は行き詰まっている。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:ティム・スコット米上院銀行委員会委員長(Jesse Hamilton/CoinDesk)
|原文:Crypto industry insiders met with key senators on market structure bill negotiation

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