【イーサリアム価格分析】トレーダーは5億4000万ドルを失うリスクに直面──重要なレバレッジクラスターを守れるか
  • イーサリアム価格は月次安値を更新し、2780ドル付近まで下落、主要なレバレッジサポートを脅かしている。
  • ・イーサリアムETFからは5日間で5億3300万ドルが流出し、機関投資家の需要低下を示している。
  • 2700ドル付近に5億4000万ドル規模のショートクラスターが存在し、サポート割れした時に次の値動きを左右する可能性がある。

機関投資家の資金流出がイーサリアムを圧迫、2700ドルが攻防ラインに

イーサリアム(ETH)は12月18日、イーサリアム現物ETFでの資金流出が続くなか、月次安値を更新し、2800ドル付近まで下落した。CoinMarketCapのデータによると、取引高は前日比14%減の289億ドルに低下。一方、デリバティブのヒートマップでは、推定5億3500万ドル規模のレバレッジ取引が集中する2700ドル付近で清算リスクの高まりが示されている。

〈イーサリアムETFの資金フロー|出典:FarsideInvestors〉

Farside Investorsのリアルタイムデータによると、17日にはイーサリアムETFから2240万ドルが流出し、その大半はブラックロックの1960万ドルだった。12月11日以降の5営業日連続での流出総額は5億3300万ドルに達した。これは、17日に4億5730万ドルという異例の資金流入を記録したビットコインETFの思いがけない動きとは対照的だ。

データは、主要機関投資家が2800〜3000ドルのレンジでETHを積み増すことに慎重で、方向感が明確になるまで様子見となっていることを示唆している。デリバティブのポジショニングもこの見方を裏付けている。Coinglassの清算マップによると、ETHの未決済ショートポジションは総額17億8000万ドルに達する一方、直近の清算を受けてロングポジションは6億6200万ドルまで減少している。

〈イーサリアム清算マップ|出典:Coinglass〉

また、5億4000万ドル規模のショートレバレッジが2700ドル水準に集中しており、全ショートポジションの82%を占めている。このゾーンをETHが下抜けた場合、連鎖的な清算が発生し、次の重要なテクニカルおよび心理的サポートである2500ドル方向への下落が加速する可能性がある。

一方、最大のイーサリアムDAT(デジタルアセットトレジャリー)企業であるBitMine Immersion(ビットマイン・イマージョン)は今週初め、4万8049ETH(約1億4060万ドル)を購入したことを明らかにし、保有量は397万ETH、評価額は約116億ドルに達した。同社創業者のTom Lee(トム・リー)氏は、DecryptMediaの最近のインタビューで、さらなる市場下落に賭けることに警鐘を鳴らし、利益を上げ続けるショートトレーダーはまれであると強調した。

イーサリアム価格見通し:強気派は2700ドルを守れるか、それとも2500ドルへ下落するか

イーサリアムの4時間足チャートでは、2780ドル付近でダブルボトムを形成しており、買い手がサポートを維持できれば反転の可能性を示唆している。この下限は、ボリンジャーバンドの下限である2779.63ドルと一致しており、過去には売られ過ぎ局面で反発につながった水準だ。

強気派が2780〜2800ドルのゾーンを維持できれば、ETHはボリンジャーバンドのミッドラインにあたる2900ドル付近まで反発し、さらに上限およびダブルボトムのネックラインである3020〜3040ドルを試す展開が考えられる。3050ドルを明確に上抜ければ、上値目標が示すとおり、強気への反転が確認される。

〈イーサリアムのテクニカル価格分析|出典:TradingView〉

一方、2780ドルを維持できなければ、弱気派が再び主導権を握る。MACDはゼロラインを下回ったままで、ヒストグラムも拡大しており、モメンタムが依然として売り手に有利であることを示している。日足終値で2770ドルを明確に割り込めば、チャート上の58.9%フィボナッチ・エクステンションと重なる次の流動性ゾーンである2500ドル方向への下落が進む可能性がある。

現時点では、イーサリアムの方向性は、2700ドルのレバレッジクラスターが防衛線として機能するのか、それともさらなる清算を引き起こす引き金となるのかにかかっている。短期的な反発余地は残るものの、ETFからの資金流入やリスクセンチメントの改善が見られない限り、強気派にとって3000ドル水準の回復は容易ではない状況が続く。

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