英財務省は、金融行動監視機構(FCA)の監督下にある一連の基準を満たすことを暗号資産(仮想通貨)関連企業に義務付ける規則を策定していると、英紙Guardian(ガーディアン)が報じた。この規則は2027年に施行される予定。
暗号資産は現在、株式などの伝統的な金融商品と同様の規制対象となっておらず、多くの場合、消費者は同水準の保護を享受できていない。
新規則の施行に伴い、暗号資産取引所やデジタルウォレットなどを運営する暗号資産関連企業は、英国のマネーロンダリング規制の対象となるサービスを提供する場合、FCAへの登録が義務付けられ、透明性基準などが他の金融商品と同様に適用されることになる。
政府は、新規則により暗号資産業界の透明性が高まり、消費者からの信頼が向上すると同時に、不審な活動の検出、制裁措置の実施、企業への説明責任の追及が容易になるとしている。
Rachel Reeves(レイチェル・リーブス)財務相は、「暗号資産を規制の対象範囲に含めることは、デジタル時代において、英国が世界をリードする金融センターとしての地位を確保する上で極めて重要な一歩だ」と述べ、企業に明確なルールを示すことで、消費者保護を強化し、怪しい事業者を英国市場から排除することにつながると付け加えた。
ロンドン金融都市担当大臣のLucy Rigby(ルーシー・リグビー)氏は、「成長を目指す暗号資産企業にとって、英国が第一の選択肢となることを望んでおり、新規則は、企業が長期的な計画を立てる上で必要な明確性と一貫性を提供する」と述べた。
10月に発表された銀行業界のデータによると、英国の消費者が投資詐欺で失った金額は1年間で55%急増し、偽の暗号資産による被害が最も多いと見られている。
英国で進む規制整備
英国は現在、暗号資産分野における規制整備を進めている。
9月には米国と共同で、資本市場とデジタル資産に関する協力を強化することを目的とした「トランスアトランティック・タスクフォース」を設立。11月にはイングランド銀行(英中央銀行)が、個人と企業に対してステーブルコイン保有上限を設ける内容を含むステーブルコイン規制案を発表した。
|文・編集:廣瀬優香
|画像:Shutterstock
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