イーサリアムのアップデート「ロンドン」実行、アナリストの見解は?

イーサリアムの大規模アップデート「ロンドン」は、8月5日12時34分(協定世界時:UTC=日本時間5日21時34分)、ブロック高1296万5000で実行された。

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ロンドンは、過去のアップデートに比べて、大きな注目を集めている。事実、ロンドンが稼働した後、5日の暗号資産市場ではイーサリアムが上昇し、暗号資産アナリストはアップデートの影響についてさまざまに述べている。

ロンドンに対するアナリストの見解

CrossTowerのリサーチアナリスト、マーティン・ガスパール(Martin Gaspar)氏

■アップグレードの明らかな成功は織り込み済み。

■「イーサリアムは将来、デフレ型の暗号資産になるという概念が具体的なものになり、イーサリアムの価値評価に与える影響は大きなものになる可能性がある」

Nansenの共同創業者兼CEO、アレックス・スヴァネヴィク(Alex Svanevik)氏

■アップデートの実際の影響が分かるまでに、しばらく、もしかすると数週間かかるかもしれない。

■EIP1559のトランザクションの割合を見る指標に注目しており、現在は非常に低くなっている。

■「ウォレットやボットなどがEIP1559の機能を利用し始めれば、今回のアップデートが長期的にどのような影響をイーサリアムに与えるかが、一段と明確になるだろう」

Synergia Capitalのリサーチ責任者、デニス・ビノコウロフ(Denis Vinokourov)氏

■「全体的に反応はおおむね予想通り。このようなアップデートの後にイーサリアムがすぐに価格上昇の恩恵を受けることはきわめて稀だが、時間の経過とともに動きは具体化するだろう」

■こうした状況は、各種のフォーラムやカンファレンスでの透明性の高い議論を考えると、一般的にはすでに十分に言い尽くされている。

■「たとえば、言葉の微妙なニュアンスがさまざまな資産クラスの反応に大きな影響を与える、米連邦準備制度理事会(FRB)の会議とは違う」

21シェアーズのETP(上場取引型金融商品)担当マネージングディレクター、ローラン・クシス(Laurent Kssis)氏

■ネットワークの安定化に伴って短期的な調整が行われた後、上昇トレンドが再開する可能性がある。

■短期的には明確なトレンドは見えないが、イーサリアムとビットコイン(BTC)の間で相対的な動きとなる可能性がある。

クオンタム・エコノミクスのアナリスト、アレクサンドル・ロアース(Alexandre Lores)氏。

■イーサリアムの希少性の増加は、需給要因に長期的な価値をもたらすだろう。「短期的には、強気の新しい理由となる」。

■ビットコインも強気になっており、「イーサリアム上昇のもう1つのサポート要因と考えているが、今回は支配的な要因ではないようだ」。

■通常、ビットコインが主な影響要因となるが、今回は「強気の炎」に燃料を加えているに過ぎない。

バイトツリーのデジタル資産アナリスト、トム・サルター(Tom Salter)氏

■「今回はここ数年で最も大規模なアップデートとなった。イーサリアム至上主義者は、今回のアップデートが実装されるとは思っていなかったのではないかと思うこともある」

■次の展開として、イーサリアムコミュニティでの複数の議論が決着するだろう。つまり、EIP1559によってイーサリアムの供給量は削減するのか、手数料は「強欲なマイナー」にとって十分なものになるのかどうかが明らかになる。

Bensignor Investment Strategies社長、リック・ベンシニョー(Rick Bensignor)氏

■ロンドンの後でのイーサリアムの上昇は「ハードフォーク(アップデート)」による理論的な強気姿勢が影響している。

■また上昇は、トレーダーがその日のニュースによって取引する傾向があることが理由となっており、「長期的ファンダメンタルズが本当はどうなっているのかを知るには、市場はまだ十分に発達していない」。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:What Crypto Analysts Are Saying About the Ethereum Hard Fork