人気メタバース、ユーザー数が伸びず──市場の期待を下回る

メタバースは、ベンチャーキャピタル(VC)や世界の大手ブランドから高い関心を集めているが、ユーザー獲得に苦戦しており、トークン価格にもそうした状況が表れ始めている。

3大メタバースのネイティブ暗号資産──ディセントラランド(MANA)、アクシー・インフィニティ(AXS)、ザ・サンドボックス(SAND)──はいずれも年初から下落し、ビットコインのパフォーマンスを大きく下回っている。

3大メタバースの暗号資産とビットコインの年初からの価格推移(TradingView)

3つのメタバースはいずれもVCからの関心は高く、VCはメタバースやGameFiに数億ドルの資金を投下しているが、日々のアクティブユーザー数(DAU)は投資レベルを反映していないとの指摘がある。

「フォートナイト、GTA、キャンディークラッシュのような従来のゲームとは異なり、プレーを続けるために喜んでお金を支払いたくなるような、ユーザーを引き留めるオーガニックなエンゲージメントは現状、存在しない」とWeb3.0のアナリスト、DeFi Vaderはアクシー・インフィニティ(Axie Infinity)について論評した2021年8月のブログに記している。

DappRadarによると過去30日、アクシー・インフィニティの1日あたりの平均ユーザー数は30%減少して約10万7240人、ザ・サンドボックスは29%減少して1180人、ディセントラランドは15%減少して978人になっている。

メタバースと人気PCゲームのアクティブユーザー数(DappRadar, Steam)

さらにアクシー・インフィニティでは、プレーヤーのうちの何人が、投資家のために利回りを稼ぐためにプレーするギルドのスタッフとしてではなく、ただ楽しむために参加しているかを判断することは不可能。開発チームはその状況を理解しているようで、オーガニックな成長には、ゲームを改善する必要があると認識している。

ゲーマーはGameFiを望まない?

ゲーマーは、GameFiというコンセプトと敵対しているに思える。ゲーム大手UbisoftのNFTへの取り組みは失敗に終わり、ある調査では、ほとんどのゲーム会社は暗号資産やNFTに関心がないことが明らかになった。

ゲームプレーのマネタイズは、プレーヤーにとって魅力的ではないと、ゲーム業界の大多数は考えているようだ。データサイトのMessariは、こうしたゲームを楽しいと感じている人に会ったことがあるだろうかとレポートに書いている。

「第一に、NFTやゲーム内通貨を購入できることは、事実上、ペイ・ツー・ウィン(勝つためにお金を出す)の仕組みを作り出すことになる」とMessariのメイソン・ナイストロム(Mason Nystrom)氏は述べた。

「最も成功しているゲームは、スキルを共有して、何人もの強いプレーヤーが競い合う体験を作り出し、『勝つまでクレジットカードを使い続ける』という選択肢を避けていることが多い」

それでも、クオリティの高いゲームはGameFiやメタバースと相性が良いと言う業界関係者も存在する。Red Door DigitalのSee Wan Toong氏は今年初めのインタビューで、暗号資産を使った資金調達モデルは、大手ゲーム会社の資金に依存する現状を解消する方法と述べた。

問題は、この見解がメインストリームになるかどうかだ。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:AxieInfinity
|原文:Metaverse Majors Struggle as User Base Falls Short of Market Expectations