【ダボス会議 2日目】暗号資産を超えたユースケースに注目

【ダボス会議 2日目】暗号資産を超えたユースケースに注目

世界経済フォーラム(WEF)の年次大会(ダボス会議)2日目は、気候変動対策からウクライナへの人道支援、FTXの衝撃的な破綻からの脱却まで、暗号資産(仮想通貨)そのものよりも、その基盤となるテクノロジーの可能性に焦点を当てた議論が展開された。

ブロックチェーンの危機ではない

2日目はまず、伝統的金融の関係者によるパネルディスカッションが行われ、FTXスキャンダルについて、暗号資産業界の危機ではあっても、ブロックチェーン技術をベースにした他のツールの危機ではないと線引きが試みられた。

「暗号資産と中央銀行デジタル通貨(CBDC)、ステーブルコイン、ブロックチェーン技術を混同しないことが重要(中略)これらはまったく異なっている」とPayPal社長兼CEOのダン・シュルマン(Dan Schulman)氏は語った。

暗号資産価格の下落にもかかわらず「基盤となるテクノロジーは完璧に機能している。ブロックチェーンのメリットは、より速く、より安く、中間事業者なしに同時に取引を決済できること。重要なことだ」(シュルマン氏)

さらに重要なことは、従来、しばしば使われた「ビットコインではなくブロックチェーン」という表現(しかも、ほぼパーミッションド・ブロックチェーンに言及していた)とは異なり、17日の議論はイーサリアムやステラなどのパブリックブロックチェーンを扱っていたことだ。

ニューヨーク証券取引所のリン・マーティン(Lynn Martin)社長も「ブロックチェーンは、株式発行の効率化や、金融取引の決済を数日後ではなく瞬時に行えるようにするなど、さまざまなメリットをもたらす可能性がある」と発言した。

インドの元中央銀行総裁、ラグラム・ラジャン(Raghuram Rajan)氏も語った。

しかし結局のところ、伝統的金融のこの分野への取り組みには限界があるかもしれない。シュルマン氏、マーティン氏、米銀ステート・ストリート(State Street)の会長兼CEO、ロナルド・オハンリー(Ronald O’Hanley)氏は皆、最も期待している技術はブロックチェーンではなく、人工知能(AI)と答えている。

UNHCR、気候変動ソリューション

メイン会場から通りを隔てた歴史的な教会は、未来についてのディスカッションを行う場に変わり、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のカルメン・ハット(Carmen Hutt)氏は、ブロックチェーンの使用例を詳しく解説した。

ステラ(Stellar)ブロックチェーンを使って12月に行われたパイロットプロジェクトは、予想よりもはるかに進んだ段階にあると、米CoinDeskのチーフ・コンテンツオフィサー、マイケル・ケイシーが司会を務めたパネルディスカッションで述べた。支援金をブロックチェーン上に置くことで「透明性と可視性」を実現し、支援を即座に展開できるプラットフォームを整えることができたという。

「驚くべき提案です(中略)仮に5億ドルを展開するとしても、今日1日で実際に展開できる。つまり、何週間、何カ月もかかるようなプロセスではなくなった」とハット氏(この日はまた、ウクライナの副首相がロシアとの紛争における暗号資産の貢献を称えた)。

さらに有名なプロメナーデ(メイン会場の外の中心街)では、ソラナ(Solana)やリップル(Ripple)、グローバル・ブロックチェーン・ビジネス・カウンシル(GBBC)など、業界の大手企業が集結し、ブロックチェーンの透明な記録管理を利用し、二酸化炭素排出量とクレジットの追跡を改善する取り組みを発表した。

気候変動ソリューションのパネルディスカッション(画像:GBBC)

消費者保護

規制当局はこれまで、金融の安定性を脅かす暗号資産の影響力に注目してきた。昨年、数十億ドルの個人投資を灰にした破綻の数々(特にFTXの破綻)は、その焦点を転換する必要性を浮き彫りにしたのかもしれない。つまり、個人消費者が暗号資産詐欺に騙されるリスクにもっと注目する必要がある。

「規制当局が(金融イノベーションを)を無視するわけではない。システミックリスクにつながらないのであれば、そこに注目するつもりはないだろう」とステート・ストリートのオハンリー氏は述べた。

「FTXは2兆ドルから3兆ドルの価値を破壊し、100万人の投資家や参加者が損害を被った。規制当局の考え方を改める必要がある」(オハンリー氏)

現在、暗号資産をいかに規制するかを検討しているイギリスをはじめとする規制当局は、その焦点を変えるかもしれないという考え方は、ステーブルコインを手がける米サークル(Circle)が主催した別のパネルディスカッションでも取り上げられた。

「今年は消費者保護が本当に強調されている。残念ながら、イギリスは詐欺や不正の大きな拠点であり、政府もそのことを深刻に認識している」とTRM Labsのシニア・ポリシーアドバイザー、イザベラ・チェイス(Isabella Chase)は語った。

イギリスの規制当局はすでに、投資家が暗号資産を購入する際には明確な警告が必要と述べている。有権者でもある顧客への影響を懸念する議員らは、FTX崩壊に強く影響されるかもしれない。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:スイス・ダボス(Nikhilesh De/CoinDesk)
|原文:Blockchain’s Non-Crypto Applications Take Center Stage on Davos Day 2

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