グッチとクリスティーズが提携、NFTコレクションをリリースへ

大手オークションハウスのクリスティーズ(Christie’s)がイタリアの高級ファッションブランド「グッチ(Gucci)」と提携し、デジタルアートのNFTコレクション「未来の周波数:ジェネレーティブ(生成)アートとファッションの探求」をオークション形式で販売する。

AIアーティスト等が参加

このコレクションには、人工知能(AI)アーティストのクレア・シルバー(Claire Silver)氏、ジェネレーティブ・アーティストのエミリー・シー(Emily Xie)氏、分散・自律型AIアーティストのボット(Botto)などが作成した21個のNFTが含まれる。オークションは、クリスティーズのデジタルアートプラットフォーム「クリスティーズ 3.0」で7月18日から25日にかけて行われる。

NFTコレクションは、グッチのテキスタイルやカラーパレット、そしてグッチの特徴であるバンブーハンドルを備えた象徴的なハンドバッグシリーズの「バンブー 1947」コレクションからインスピレーションを得たものになる。アルゴリズムやAIなどのジェネレーティブ・システムを採用しており、アートやファッション、テクノロジーを融合させて創造性を広げることを目的としている。

Web3テクノロジーの活用を目指す

クリスティーズのデジタルアートセールス部門のマネージャーであるセバスチャン・サンチェス(Sebastian Sanchez)氏はCoinDeskに対し、今回の提携はアーティストとファッション業界の両方にWeb3テクノロジーの活用を促すものだと述べた。

サンチェス氏は、「このオークションでの私の目標は、交わる点を示すことだ。それは現在スペクトラム(連続体)になっている」とし、「テキスタイルや衣服、パターンの研究に取り組んでいるジェネレーティブ・アーティストが非常に多く、実際に3Dの衣服を制作している人もいる。我々が提示するのはそうした範囲のいたるところにあるものだ」と述べた。

サンチェス氏は、グッチと提携することでコレクションが特に感動的なものとなり、アート収集家とファッション愛好家の両方をさまざまなテーマが織り交ざったアートの探求にいざなうと説明した。

サンチェス氏は、「グッチの名前には非常に大きな力があり、独自のファンがいて、そのファンはおそらく我々のファンと大きく異なることは明らかだ」とし、「そこに我々の提携の美しさがあると思う。クリスティーズはアートの専門家で、グッチはファッションの専門家だ。我々はちょうどその中間にいるようなものだ」と述べた。

クレア・シルバー氏は2点を出品

NFTマーケットプレイス「SuperRare」のニューヨークギャラリーで最近個展を始めた匿名のNFTアーティスト・クレア・シルバー氏は、このコレクションに作品2点を出品している。

シルバー氏は、「AIや3D、フィルム、高度な数学関数と、中国や日本、東欧・西欧のアンティーク絵画やタペストリーを組み合わせており、どちらの作品もAI時代を祝うことを意図している。洗練された経験、新しいものの無邪気な喜び、文化遺産の奥深さ、未来の光だ」と述べた。

クリスティーズとグッチのNFT活動

クリスティーズは、2021年3月にアーティスト「ビープル(Beeple)」のNFT「EVERYDAYS」を史上最高額の6900万ドル(約96億6000万円、1ドル140円換算)で販売して以来、Web3分野に深く参入している。一方、グッチはデジタルファッションとアートの取り組みにおいて徐々に存在感を高めている。

グッチは2022年2月、メタバース(仮想世界)「ザ・サンドボックス(The Sandbox)」の土地を購入し、デジタル体験のできる空間「グッチ・ヴォールト(Gucci Vault)」を作成した。2022年6月には、SuperRareのネイティブトークン「RARE」に2万5000ドル(約350万円)を投資して分散型自律組織(DAO)に参加。NFTアートを展示する「ヴォールト・アート・スペース(Vault Art Space)」を立ち上げた。また、今年の初めには人気NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」などを手がけるYuga Labs(ユガラボ)と提携し、Yuga Labsのメタバース「Otherside」にハイファッションを提供すると発表した。

|翻訳:CoinDeskJAPAN
|編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:Auction House of Gucci: Christie’s Teams Up With Luxury Brand on NFT Collection