7月、NFT取引高は低下、取引数は今年最低水準:DappRadar
  • NFT取引高は2023年1月から7月にかけて49%低下
  • トップ10コレクションに、ユガラボ(Yuga Labs)のコレクションは3つのみ

7月は地球の歴史上、最も暑い月だったようだ。しかし、NFT市場は長引く「暗号資産の冬」のなかで冷え切ったままだ。Web3データプラットフォームのDappRadarが8月3日に発表したレポートによると、NFT取引高は前月から29%低下、取引数も23%低下して今年最低水準となった。

人気NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」や「Azuki」のようなトップクラス・コレクションのフロア価格は2年ぶりの低水準に沈んだ。「Gods Unchained」と「CryptoPunks」だけがわずかに上昇したものの、伸び率はいずれも1%未満だった。

2023年初頭の数字と比較すると、見通しはさらに暗い。2023年1月のNFT取引数は736万件、7月は370万件と49%も低下した。同様に、1月の取引高は11億ドル(約1540億円、1ドル140円換算)、7月は6億ドルと3カ月連続で10億ドルを下回った。

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明るい材料

しかし、暗いデータの中にも明るい材料はあった。ポリゴン(Polygon)ネットワークでは、77万2424人のトレーダーが取引を行い、7月の取引高の27%を占めた。ポリゴンの取引手数料はイーサリアム・ブロックチェーンよりもはるかに低く、スターバックス、レディット、ナイキなどのブランドがWeb3デジタル・コレクタブルの取り組みに採用している。米人気投稿サイトのレディット(Reddit)は7月下旬に限定版NFTコレクション「コレクタブル・アバター(Collectible Avatar)」シリーズの第4弾「Retro Reimagined」をリリース、これが最近の取引高急増の一因となったようだ。

CryptoSlamのデータによると、ポリゴンはソラナ(Solana)やカルダノ(Cardano)とともにかつてはイーサリアムからシェアを奪ったが、イーサリアムは依然として取引高トップのブロックチェーンだ。一方、ビットコインNFTは輝きを失いつつあるかもしれない。7月の取引高は3300万ドル、前月から65%低下した。

取引高と取引の変化は「『参入障壁の低い』NFTの人気が出てきたこと」に一部、起因しているかもしれないとDappRadarのレポートは指摘。「こうした資産は、個々の価格が低く、より大勢の人に受け入れられる」「NFT市場の広範なシフトは、手頃で、手に入れやすい選択肢を提供するプラットフォームへと向かっている」と述べた。

トップ10コレクションに大きな変化

同レポートが発見した「興味深い展開」の1つは、ユガラボのBAYCが取引高No.1を維持したものの、そのほかにトップ10に入ったのは「Mutant Ape Yacht Club」と「CryptoPunks」のみだったこと。これは「数カ月前、ユガラボのNFTコレクションがランキングの50%以上を占めていたこととは対照的」とレポートは述べた。

Azukiもトップ10に3つのコレクションをランクインさせたが、6月に発行した新コレクション「Elementals」がオリジナルのAzukiと「基本的に同じ」と批判された影響から回復できていない。Azukiは一時、フロア価格が44%下落した。Elementals自体の取引高は55%増加したが、「重要な注意点は、これらの取引高の大部分がトレーダーによるものであること」とレポートは強調している。

|翻訳:吉見朋子
|編集:増田隆幸
|画像:DappRadar
|原文:July Was a Terrible, No Good, Very Bad Month For NFTs, DappRadar Report Shows