バイナンスジャパン、暗号資産取扱数100を目指す──ステーブルコインは「伝統的な金融分野」との融合を想定

暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)の日本法人バイナンスジャパン(Binance Japan)は8月30日、メディア向けの説明会を開催。日本代表の千野剛司氏は「暗号資産交換業にとどまらず、ブロックチェーンを中心にしたエコシステムの拡大を目指している」と語った。

短・中期的な展開としては、バイナンスのエコシステムと他のエコシステムとの接続を念頭に、早期に取り扱い通貨数100を目指すという。そのためにはグローバルで取り扱っている350以上の暗号資産から選別することに加えて、日本独自の取り組みとして、日本のユーザー向けに「面白いプロジェクトを発掘して、上場していく」。さらに日本で上場した後、グローバルに上場する可能性も探り、日本のプロジェクトにとって世界への「ゲートウェイ的な役割」を果たしていきたいと述べた。その観点から、国内の同業他社とは競争に加えて、連携を想定していると付け加えた。

6月の改正資金決済法の施行で注目が高まっているステーブルコインについては、「バイナンスジャパンで発行ビジネスを手がけることは難しいが、複数のパートナーと議論」を進めており、体制が整い次第、「仲介業の申請を行いたい」と述べた。

ステーブルコインのユースケースとしては、まずは暗号資産取引での利用が進み、その後「伝統的な金融分野との融合が進む」と考えているとし、具体的には、ペイメント、外国為替、伝統的な金融資産のトークン化をあげた。

「収益をどこで確保するか」が大きな課題だが、いずれは法人利用が進み、セキュリティ・トークン(デジタル証券)をはじめ、現実資産(RWA)をトークン化したものなど、「ブロックチェーン上の資産を、ブロックチェーンベースにしたステーブルコインで決済する」動きが登場するだろうと述べた。さらには貿易金融(トレードファイナンス)のデジタル化が実現できれば、ステーブルコインのユースケースは大きく広がると考えているとの考え方を示した。

世界中で暗号資産への規制が厳しくなるなか、日本はひと足先に規制を整備した「パイオニア的な見方」をされており、バイナンス本体も日本市場には「予見可能性のある状況」が作られていると認識、「追い風をどう捉えていくか」をバイナンス本体と議論していると述べた。

|文:増田隆幸
|画像:同社資料より