包括的な暗号資産禁止は機能しない:IMFとFSBの共同文書が指摘
  • IMFとFSBが発表した暗号資産に関する共同文書は、暗号資産セクターに関連するリスクを軽減するために包括的な禁止措置を実施することに反対し、代わりに対象を絞った規制と健全な金融政策を推奨すると各国政府に通知した。
  • 安定した価値を保持するように設計されているグローバルなステーブルコインは、突然不安定になる可能性があり、他の暗号資産よりも金融の安定性に大きなリスクをもたらすと同文書は述べている。

暗号資産(仮想通貨)を禁止するだけでは、そのリスクは解消されないと、世界的な基準の設定主体が9月7日に発表したロードマップで述べている。

インドが議長国を務める政府間フォーラムG20が委託したこの政策ペーパーは、金融安定理事会(FSB)、国際通貨基金(IMF)、その他の国際的な基準設定機関が暗号資産セクターに対して設定した規範を1つの報告書にまとめたもので、「暗号資産に対する包括的な規制・監督上の監視は、マクロ経済と金融の安定リスクに対処するための基本であるべきだ」としている。

IMFとFSBの共同文書は今週末のG20に提出される予定であり、2022年の数多くの暗号資産企業の破綻を受けて、業界に対するグローバルな規範を導入しようとする国際機関による取り組みの一環だ。

文書によると、暗号資産によるマクロ経済リスクに対処するため、各国は「金融政策の枠組みを強化し、資本フローの過度な変動を防止し、暗号資産に対する明確な税制措置を採用する」必要があるという。

報告書では、暗号資産の全面禁止は関連リスクの軽減には役立たないというIMFのスタンスが改めて強調され、特に新興経済国には的を絞った規制が有効だと付け加えている。

インドのような国々は、暗号資産の普及が新興国の金融政策に与える脅威の増大について懸念を示しており、政策機関に対し、より強力な禁止を勧告するか、特定の懸念に対処するよう求めている。

対象を絞った規制

ある司法管轄区において、取引やマイニングを含むすべての暗号資産活動を違法とする包括的な禁止を課すことは、費用がかかり、技術的に困難であるだけでなく、「活動が他の司法管轄区に移行し、リスクの波及を引き起こす可能性もある」と報告書は述べている。

さらに「規制は、暗号資産によってもたらされるマクロ経済および金融リスクに対する防御の最前線である、強力なマクロ経済政策、信頼できる制度的枠組み、包括的な規制と監視に取って代わるべきではない」と付け加えている。

しかし、だからといって、すべての禁止事項が検討のテーブルから外されるべきというわけではない。IMFとFSBは、各国がストレスの多い時期や、各国がより良い内部修正を見つけている間に、いくつかのリスク要因を管理するために、対象を絞った一時的な制限を検討する可能性があるとしている。この文書は、ドバイなどでの匿名性を高める「プライバシー」コインを対象とした規制や、ナイジェリアの銀行が暗号資産企業にサービスを提供することの禁止など、そのような規制が行われているいくつかの例について言及しているようだ。

「一部の国・地域、特に新興市場国や発展途上国(EMDEs)は、特定のリスクに対処するため、グローバルな規制の基準値を超える追加的な、対象を絞った措置を講じることを望むかもしれない」と報告書は付け加えている。

ステーブルコイン

IMFとFSBの規制のロードマップは、他の資産や通貨の価値に対して紐付けられた仮想通貨であるステーブルコインの普及が新興国の通貨交換や銀行の存在を脅かしているというG20諸国のもう一つの懸念に対処している。

文書は「外貨建てのステーブルコインが外貨建ての銀行口座に比べて大量に保有しやすく安価になれば、急速な資本逃避(または資本反転)が実現する可能性がある」と述べている。

また、ステーブルコインは幅広い取引を促進する可能性がある一方で、安定した価値の維持や民間発行者への依存に伴う明確なリスクを抱えている可能性があると述べており、これは2022年にアルゴリズムによるステーブルコイン、テラUSD(UST)が米ドルからペッグが外れた際に数日で数十億ドルが市場から消え去ったことを指している。

さらに、複数の司法管轄区で採用されるグローバルステーブルコインは「他の暗号資産よりも急激にボラティリティを伝達する可能性があり、金融の安定に重大なリスクを引き起こす可能性がある」と付け加えた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Blanket Crypto Bans Won’t Work, Joint IMF, FSB Paper Warns