ビットコインでRunes(ルーンズ)プロトコルがローンチ、ユーザーがミントに殺到し送金手数料が高騰

(少なくともGoogleの検索履歴によると)これまでで最も期待されていたビットコインの半減期だったにもかかわらず、注目を集めたのはビットコインの有名開発者、ケイシー・ロダモール(Casey Rodamor)氏の最新作「ルーンズ(Runes)」のローンチだった。ビットコインブロックチェーン上でミント(生成)できるデジタルトークンを嫌ってきた古株のブロックチェーン開発者の間でも注目を集めている。

ルーンズはミームコインに似た機能

ロダモール氏は、オーディナルズ(Ordinals)をリリースしたことで知られている。Ordinalsとは、ビットコインの最小単位であるサトシにデータを「インスクライブ(刻み込む)」し、ビットコインネットワーク上に非常に価値の高い資産を作成できるようにするプロトコル。ビットコインネットワークの開発者エコシステムの刷新にインスピレーションを与えたことで高く評価されている。

ルーンズは、オンチェーンで「エッチ(刻み込む)」してトークンをミントできるという点でオーディナルズに似ている。主な違いは、オーディナルズが「代替不可能」(つまり、唯一無二)であるのに対し、ルーンズは、最近暗号資産(仮想通貨)市場を席巻しているミームコインにより似た形で機能することだ。

最初にミントされるルーンズのプロジェクトは、ロダモール氏自身のUNCOMMON•GOODSというプロジェクトだ。このプロジェクトは半減期のかなり前に発表されたものであり、非常に需要のあるサトシにエッチを行おうとしているほかの多くのプロジェクトも同様だ。

しかし、不足しているサトシにほかのプロジェクトがスペースを見つけることができるかどうかを事前に知ることは不可能だ。すでに文字通り何百ものルーンズのプロジェクトが存在しており、現在ミントされ、買い手候補を探している。

半減期から約9ブロック経過した段階で、ルーンズをミントする人は、最も珍しいものを購入するためにすでに78.6BTC(約495万ドル)の手数料を支払っている。これは、オーディナルズと同様に、ルーンズのプロトコルがビットコインの急成長する手数料経済に恩恵をもたらす可能性があることを示唆している。

どのプロジェクトが発展するかに議論

個別のルーンズのプロジェクトが発展可能なものになる要因が何であるかは、ある程度主観的な尺度になる。栄誉とされる「ルーン番号3」のDOG•GO•TO•THE•MOONのように、リストに入った初期のプロジェクトであることは1つの尺度だ。しかし、買い手はティッカーの「品質」に基づいてプロジェクトを判断することもある。

runebtc.xyzによると、DOG•DOG•DOG•DOG•DOG、MEME•ECONOMICS、SHORT•THE•WORLD、PEPE•WIT•HONKERSなど数多くのルーンズのプロジェクトが、半減期が起きる前からすでにミントされ始めていた。

半減期のブロックがマイニングされる前に、人気のオーディナルズのコレクターであるレオニダス(Leonidas)氏が主催したX(旧Twitter)のスペースで、買い手候補やユーザー、投機家らがどのルーンズをミントするか議論し、ティッカー名の取引を行っていた。

挙げられた名前の中には、初期からビットコインに関わっていたインフルエンサーのエリック・ウォール(Eric Wall)氏とウディ・ヴェルトハイマー(Udi Wertheimer)氏が共同で作成したオーディナルズのプロジェクトであるTaproot Wizardsや、ビットコインの創始者にちなんで名付けられたサトシ・ナカモトというプロジェクトが含まれていた。サトシ・ナカモトのプロジェクトでは、本記事執筆時点では保有者が5000人を超えており、約19000個のトークンがミントされていた。

どのプロジェクトが実際に長期的な価値があることが証明されるかを判断するのは困難だ。

あるトレーダーは、「良いミームは見当たらない。つまり、自分はただそれを理解しようとしているだけだ」とし、「正直に言うと、まだ何もミントしていない」と語った。

別のトレーダーは、「私は今、この分野を全般的に理解しようとしているところだ」とし、「こうしたプロジェクトは初期のルーンズのようなものだ。これらが実際に最も価値のあるものになると思うか?」

「それらに何が起こるかによると思う」とある人が答えた。

作成者による事前マイニングも

考慮すべきもう1つの側面は、どれだけのトークンが「事前マイニング」されたか、つまりプロジェクトの作成者が後に市場にリリースする可能性のある備蓄として保有しているかだ。半減期に先立ち、レオニダス氏はトークン供給量の10%以上を事前マイニングするプロジェクトは「貪欲」であるとするガイドラインを共有した。

あるトレーダーは「事前マイニングが勝つのではないかと思う」と指摘。「13文字という制限で良いミームを考えるのはとても難しいからだ」とし、ロダモール氏が「ティッカー・スクワッター(ティッカーの不法占拠者)」を防ごうとしてルーンズのソースコードに追加した命名システムについて言及した。

ルーンズのティッカーは、時間が経つにつれてより短い名前でリストに入ることができる仕組みになっている。たとえば、3年以内に3文字のティッカーを持つルーンズのプロジェクトが登場する可能性がある。

ただし、この戦略がどれほどうまくいくかは不明だ。データソースのOrdiscanによると、先見の明のある開発者がすでにZZZZ(2年以内にミントされる「初の4文字のルーン」となる)、ZZとZ(3年以内にミントされる初の2文字のルーンと1文字のルーン)、A(4年以内にミントされる最後の1文字ルーン)などの一連のティッカーをブロックしている。

言い換えれば、あまりにも新しいものがあると、何に価値を置くべきかを判断するのが難しいということだ。

レオニダス氏は、「一体何が起こっているのか皆が理解しようと躍起になっている中、私は少しだけ時間を割いて、皆と一緒にここにいることが素晴らしいと言いたいと思う」と聴衆に語った。「これは本質的に、約30分前に幕が上がった新しいプロトコルの始まりだ。それでは、何が起こるか見てみよう。非常に混沌とした状況になると思う」と述べた。

|翻訳・編集:林理南
|画像:DOG•GO•TO•THE•MOON
|原文:Runes Protocol Launches on Bitcoin, Sending Fees Soaring as Users Rush to Mint Tokens