
- 米上院銀行委員会の委員長であるティム・スコット(Tim Scott)上院議員は、銀行規制当局が銀行の事業上の選択を検討する際に「レピュテーションリスク(評判リスク)」を用いることを廃止する法案を支持している。
- 暗号資産(仮想通貨)業界は、たとえその事業が法律の範囲内で運営されていたとしても、過度にリスクが高いと見なされる顧客を排除するよう規制当局が銀行に対して圧力をかけることに異議を唱えてきた。
連邦銀行規制当局が銀行を顧客から遠ざける理由として「レピュテーションリスク」を利用できなくする法案に対して、ティム・スコット上院議員が支持を表明した。暗号資産企業や業界リーダーたちのデバンキング(口座強制解約)に反対する暗号資産業界の継続的な取り組みが実を結んだ形だ。
デバンキングは、共和党が最近の議会公聴会で問題点として挙げていた。この公聴会では、連邦準備制度理事会(FRB)、連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)などの規制当局が望まないという理由から、デジタル資産企業が米国の銀行システムから組織的に排除されてきた問題が検証された。
サウスカロライナ州選出のスコット氏は上院銀行委員会の委員長として、同委員会の共和党議員をまとめ、銀行の安全性と健全性に関する規制当局の評価から「レピュテーションリスク」という言葉を削除する法案(Financial Integrity and Regulation Management Act:FIRM Act)を支持した。
「連邦政府の規制当局が、レピュテーションリスクという言葉を悪用し、合法的な企業に対して政治的意図を持って行動してきたことは明らかだ」と、スコット氏は法案に関する声明の中で述べ、デバンキングを終わらせることが最優先事項のひとつであるとした。
「規制監督においてレピュテーションリスクを完全に排除するこの法案は、デバンキングをきっぱりと終わらせる第一歩である」と、スコット氏は語った。
デジタル資産小委員会のリーダーであるワイオミング州選出のシンシア・ルミス(Cynthia Lummis)上院議員も先日、FRBの監督にまつわる懸念として、この具体的な点を挙げていた。
「アメリカ国民は、政府の行き過ぎでデジタル資産のイノベーションを抑圧するのではなく、それを促進する透明性のある規制の枠組みを必要としている」と、ルミス氏は声明で述べた。
消費者保護団体や、エリザベス・ウォーレン上院議員を含む複数の民主党議員は、複数の大手企業の破綻、業界リーダーの詐欺容疑、デジタル資産プラットフォームに対する大規模かつ日常的なハッキング、概して不安定な市場が投資家の安全に対して脅威をもたらすことを考えれば、規制当局がデジタル資産に焦点を当てることは正当化されると主張してきた。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:米上院議員公委員会のティム・スコット委員長(Jesse Hamilton/CoinDesk)
|原文:U.S. Senate’s Banking Chair Pushes Debanking Bill After Crypto Uproar