ステーブルコイン、米国の規制進展後、2025年に主流に:ドイツ銀行

- ドイツ銀行は、米国での規制の進展を受け、今年中にステーブルコインが主流になると述べた。
- 先週の米上院での反対にもかかわらず、2025年には規制面での進展が見込まれると、ドイツ銀行は予測している。
- ステーブルコインは急速に戦略的資産になりつつあり、ドルの優位性を強めていると、ドイツ銀行は指摘している。
トランプ政権が画期的な暗号資産(仮想通貨)法の制定を推進する中、ステーブルコインは今年、主流になりそうだと、投資銀行のドイツ銀行は5月12日発表の調査報告書で述べた。
米上院では先週、若干の抵抗があったものの、今年もステーブルコインの規制面で何らかの進展が見られるだろうと、ドイツ銀行は予想している。
ステーブルコインとは、価値が米ドルや金などの他の資産と結びついている暗号資産である。暗号資産市場で主要な役割を果たし、国際的な送金にも利用されている。
米上院に提出された「Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins(GENIUS:米国ステーブルコインのための国家的イノベーションのガイドと確立)法」は、時価総額が100億ドル(約1兆4800億円、1ドル=148円換算)を超えるステーブルコインについて連邦規制を義務付けるもので、連邦規則と整合性があれば州規制の可能性もある。下院のSTABLE法は、州による規制を無条件で求めている。
ステーブルコインの時価総額は過去5年間で爆発的に増加した。ステーブルコイン全体の時価総額は現在、2460億ドルで、2020年の200億ドルから大きく跳ね上がっていると、ドイツ銀行は指摘している。最大手のテザー(Tether)社のUSDTの時価総額は約1500億ドルである。
アナリストのマリオン・ラブール(Marion Laboure)氏とカミラ・シアゾン(Camilla Siazon)氏は、ステーブルコインは現在、「暗号資産取引の3分の2以上を支えており、比類のないスピード、24時間365日のアクセス、低コストのプログラム可能な決済を提供している」と書いている。
ステーブルコインはますます戦略的資産になりつつあるとして、ドイツ銀行の報告書は次のように指摘している。
「その83%が米ドルにペッグされ、テザー社は米国債の最大保有者のひとつにもなっており、ステーブルコインは 断片化された世界でドル支配を強化している」。
GENIUS法は今後数カ月のうちに米国で可決されると見込まれており、それが引き金となってステーブルコインの供給量が10倍近くに跳ね上がる可能性があると、投資銀行のスタンダードチャータードは先月の調査報告書で述べている。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Stablecoins to Go Mainstream in 2025 After U.S. Regulatory Progress: Deutsche Bank