JPモルガンのKinexys、初のパブリックチェーン決済──オンド・チェーンのテストネットと接続

- JPモルガンのKinexys Digital Paymentsは、オンド・チェーン(Ondo Chain)のテストネット上でトークン化された米国債取引を決済した。
- これは、Kinexysがパブリックブロックチェーンネットワークに関与する初めての動きとなる。
- チェーンリンク(Chainlink)のインフラがクロスチェーン決済を可能にするために使用された。
JPモルガン(JP Morgan)は、「Kinexys Digital Payments」プラットフォームを通じてパブリックブロックチェーンネットワークでの第一歩を踏み出し、オンド・チェーンのテストネット上でトークン化された米国債の取引を決済した。
プレスリリースに詳述されているこの試験的な取引は、機関投資家グレードの現実資産をサポートするために設計された新しいレイヤー1ブロックチェーンであるオンド・チェーンのテストネット上でのDVP(Delivery Versus Payment)取引のデビューとなった。
プレスリリースによると、1日平均20億ドル(約2940億円、1ドル=147円換算)以上の取引高を処理するKinexysが決済を担当し、オンド・ファイナンス(Ondo Finance)のトークン化された短期米国債ファンド(OUSG)が資産となった。
クロスチェーンのワークフローを調整するシステムである「Chainlink Runtime Environment」が、2つのネットワーク間の決済を保護した。
JPモルガンのパーミッションドネットワークであるKinexysがパブリックブロックチェーン上で取引を実行したのはこれが初めてである。
この動きは、JPモルガンがその機関投資家向け決済インフラを、現実資産トークン化という成長市場へと拡張する方法を模索していることを示すものだ。
「弊社の機関投資家向け決済ソリューションを外部のパブリックおよびプライベートブロックチェーンインフラストラクチャと安全かつ思慮深い形でシームレスに接続することで、弊社の顧客やより広範な金融エコシステムに、取引決済のための幅広いメリットとスケーラブルなソリューションを提供することができる」と、Kinexysの決済ソリューション責任者であるネリ・ザルツマン(Nelli Zaltsman)氏は声明の中で述べている。
伝統的金融は、決済を遅らせる断片的なシステムや手作業によるステップのために、有価証券の受け渡し前または受け渡しと同時に支払いを行う必要があるDVP取引で苦労することが多い、とプレスリリースは指摘している。
同プレスリリースは、支払いと決済の失敗により、市場参加者が過去10年間で9000億ドル以上の損失を被ったことを示唆するデータを挙げている。ブロックチェーン技術を活用すれば、チェーンをまたいだ同時取引が可能になるという。
JPモルガンは最近、英ポンド建て口座のサポートを追加するなど、ブロックチェーンベースの決済ネットワークを拡大している。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:ADRIAN3388 / Shutterstock.com
|原文:JPMorgan’s Kinexys Connects With Public Blockchain on Ondo Chain Testnet Debut