50万ドルに達すれば、ビットコインは資産クラスとして決定的なものに:スカラムッチ氏【Consensus 2025】

- ビットコインが50万ドルに達すれば、資産クラスとしての完全な地位を確立するとスカイブリッジ・キャピタルのアンソニー・スカラムッチ氏は語った。
- パネリストたちは、メインストリーム化を後押しする主要因として、ビットコインETFの拡大、規制の進展、機関投資家の理解の深化をあげた。
- ビットコインの支配的地位を認めつつも、ブロックチェーンインフラやレイヤー1技術が持つ広範な可能性にも目を向けるべきと強調した。
「時価総額3兆ドルは “マグニフィセント7(テック大手7社)” 銘柄のレベルだが、20兆ドルなら “資産クラス” だ」とスカイブリッジ・キャピタル(SkyBridge Capital)の創業者兼CEOであるアンソニー・スカラムッチ(Anthony Scaramucci)氏は語った。
「ビットコインが50万ドルに達すれば、人々は “ビットコインは資産クラス” と書くようになるだろう」
スカラムッチ氏の挑発的な発言をきっかけに、「Consensus 2025」のステージでは活発な議論が展開された。ステージでは、スカラムッチ氏に加え、ウィズダムツリー(WisdomTree)のジョナサン・スタインバーグ(Jonathan Steinberg)CEO、3iQのパスカル・サン=ジャン(Pasqual St-Jean)プレジデント兼CEO、CoinDesk Indicesのアンディ・ベア(Andy Baehr)氏が「暗号資産、特にビットコインはついに真の資産クラスになったのか?」をテーマに意見を交わした。
パネリストたちは、その方向に近づいていることにほぼ同意しつつも、資産クラスとして機関投資家が認めるには、価格の上昇以上の要素が必要と指摘した。
ビットコインが先導
3iQのサン=ジャン氏は、ビットコインはすでに「投資可能な資産」として、金のような伝統的資産と同様の基準をクリアしていると主張。「ビットコインにはヘッジ機能があり、(ETFのような)ラッパーもあり、理解もしやすい。デジタル時代のデジタル・ゴールドだ」と述べた。
その一方で、ガバナンストークンやユーティリティトークンのような他の暗号資産は、機関投資家にとっては理解が依然として難しいと指摘。
「ガバナンストークンについて話をすると、機関投資家は理解に苦労する。何を保有しているのかわからないからだ」
ETFの影響
パネリストたちは、特に米国におけるビットコイン現物ETF(上場投資信託)の登場が、機関投資家にとっての暗号資産のポジションを後押しする転換点になったと強調した。
ウィズダムツリーのスタインバーグ氏は、皮肉にもSEC(米証券取引委員会)のゲーリー・ゲンスラー前委員長による強硬な取り締まり姿勢が、競争力があり、成熟した市場を生み出したと指摘。
「ゲンスラー氏は、米国にまさに彼が望まなかったものを作り出した。今ではビットコインETPの数は、S&P500 ETFを上回っている。彼は、ビットコインのための非常に競争力があり、成熟した基盤を作った。資産クラスに相応しいものだと思う」
サン=ジャン氏もこれに同意。ETFという仕組みが「ゲーム・チェンジャー」となり、法務部門やコンプライアンス部門にとっては、通常の投資対象として扱えるようになって、機関投資家への広範な普及のきっかけとなったと述べた。
重要な課題は教育と分散化
ただし、CoinDesk Indicesのベア氏は、ビットコインの支配的な地位が暗号資産エコシステム全体の発展を妨げている可能性を指摘した。
「暗号資産クラスは、まずこの1つの巨大な対象(=ビットコイン)を理解しなければならないという事実に少し縛られている。だから、深く掘り下げなければ、ブロックチェーン技術、レイヤー1、インフラ、DeFi(分散型金融)といった本質的な要素を見逃してしまう」と警告した。
また、現在の状況をネット証券の登場で投資家層が拡大した1999年に似ているとし、その時のように、ETFのような流動性商品が暗号資産市場における資産配分エンジンとなり、短期投資から長期投資への移行を促進するだろうと述べた。
だがパネリストたちは、成長に課題があることも理解していた。スタインバーグ氏は、多くの機関投資家はまだデューデリジェンスの初期段階にあると指摘。一部のヘッジファンドはすでに積極的に取り組んでいるが、大手機関投資家はまだ学んでいる段階と述べた。
最後のひと押しに必要なこと
パネリストたちは、資産クラスとして完全に確立するには、インフラの発展、規制の明確化、機関投資家に対応した商品が欠かせないと強調した。
「インフラの問題が解決されれば、どの資産クラスが投資対象かを決めるのは規制当局ではないと、我々は機関投資家に教える必要がある」とサン=ジャン氏は述べた。
今後は、ステーキング商品、レイヤー1への投資、多様なインデックス商品が重要になるとし、「今はまだ HTTPの段階だ」と基本的なインターネット・プロトコルを例にあげた。
「ビットコインはすでに理解されている。今、レイヤー1も理解され始めている」
スカラムッチ氏は、相変わらず強気姿勢で、「我々はまだ十分に強気ではないかもしれない」と述べ、資本流入の急拡大、ストラテジー(Strategy)社がリードするビットコイン保有を模倣する戦略の拡大、ウォール街の 大手金融機関がビットコインや暗号資産ETFに力を入れている現状に触れた。
また、政治的リスクは残るものの、特に米国の政治において暗号資産が主要争点となっている中、超党派の支持が集まるインセンティブが整ってきていると述べた。
「ビットコインが50万ドルに達すれば、人々は “資産クラスだ” というだけでなく、“資産クラス“ として扱うようになるだろう」
50万ドルに達するかどうかはさておき、パネリストたちは一致した見解を示した。つまり、基盤は整い、ETFのような商品は揃い、機関投資家は動き始めている。暗号資産が「好奇心の対象」から「資産クラス」に変わるのは、「もし」ではなく、「いつか」の問題に過ぎない。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:アンソニー・スカラムッチ氏(CoinDesk)
|原文:‘$500K Bitcoin Would Seal It’: Scaramucci Says Crypto Is on the Cusp of Becoming an Asset Class