ライバルは米セキュリタイズ、元UBS銀行マンがデジタル証券プラットフォームをローンチへ

世界有数の金融機関であるUBS銀行の元銀行員が立ち上げたスタートアップ企業は、ブロックチェーンを使ったデジタル証券プラットフォームという、ますます競争が激化している分野に進出している。

社名は「トークナイズ(Tokenyz)」

世界中の超富裕層や機関投資家を対象としたポートフォリオ・アドバイザリー部門の責任者を務めていたクロード・ウェルクリ(Claude Waelchli)氏は7月にUBS銀行を辞めた。12年間の銀行生活で、ウェルクリ氏はブロックチェーン領域を研究し、その過程でデジタル資産について学んだ。

「銀行が新しい技術を少し実験していることは周知の事実だと思う」とウェルクリ氏は述べた。

「現段階では銀行が行っていることに、ほとんど中身はない」

目下のライバルである米セキュリタイズ(Securitize)と同様に、ウェルクリ氏のスタートアップ「トークナイズ(Tokenyz)」も意図的にスペルを間違えているものの、動詞が社名の由来となっている。ほかに類似の企業としては、シェアーズポスト(SharesPost)やオープンファイナンス(OpenFinance)などがある。

ローンチすれば、トークナイズはクライアントとして言及しているブローカー・ディーラーから仲介手数料を、そして取引の構築について技術料を受け取ることになる。

機関投資家の採用はこれから

ここ6カ月間、チームはイーサリアム・ブロックチェーン(ethereum blockchain)上で既存の資産をトークン化するために必要なインフラと、認定を受けた個人投資家と機関投資家のためのユーザー・エクスペリエンスを開発してきた。現在、チームはデジタル証券の標準規格、具体的にはERC-1400トークンに取り組んでいる。

「我々が現在、検討していることは、一流の専門家による国際的なアライアンスを作り出すこと。誰もが会話でき、最終的に共通規格に向けて取り組んでいくことができる対話のためのオープン・フォーラムの場を提供していく」とウェルクリ氏は述べた。

理想としては、証券のトークン化は所有権の移動を簡単にし、流通市場での流動性を高め、小規模な取引と決済時間の短縮を実現する。しかし、トークン化は機関投資家にほとんど受け入れられておらず、まだスタートしたばかりの状態であることをトークナイズは認めた。

トークナイズは現在、計17名。コインセキュア(Coinsecure)の元創業者兼CTO(最高技術責任者)のベンソン・サミュエル(Benson Samuel)氏、キャップジェミニ(Capgemini)の元コンサルタントのハッシュ・パテル(Harsh Patel)氏らが在籍している。

翻訳:石田麻衣子
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Former UBS Banker Launches Digital Securities Platform Tokenyz