サークルの時価総額、コインベースに迫る史上最高を記録
  • サークルの株価は23日に史上最高値を更新した後、上昇幅を縮小し、IPO後の上昇幅は750%に達した。
  • 同社の時価総額は、主力トークンUSDCの時価総額610億ドル(約8兆8000億円、1ドル145円換算)にほぼ到達し、暗号資産取引所大手コインベースの時価総額に迫っている。
  • 高いバリュエーション倍率にもかかわらず、サークルの株価は、米議会がこのセクターの規制に向けて前進する中で、急成長するステーブルコイン市場に対する投資家の強い関心を反映している。

ステーブルコイン発行企業サークル(Circle)の株価は23日に史上最高値を更新し、新規株式公開(IPO)以来の爆発的な上昇が続き、同社の時価総額は主力トークンの時価総額にほぼ匹敵する水準となった。

株価は23日の朝に一時22%上昇し、299ドルをわずかに下回る史上最高値を記録した後、上昇分の一部を失った。株価の終値は約263ドルで、この日9%上昇した。今月初めに31ドルでIPOされて以来、株価は750%も上昇した。

サークルの時価総額はピーク時に約600億ドル(8兆7000億円)に達し、同社のステーブルコインであるUSDコイン(USDC)の時価総額613億ドル(約8兆9000億円)とほぼ同額になった。また、約780億ドル(約11兆3000億円)の時価総額を持つ暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)に迫る水準となっている。

サークルの今月の急騰は、急成長するステーブルコイン市場に対する投資家の意欲の高まりの証拠である。ステーブルコイン市場は、上場している専門企業がほとんど存在しない暗号資産セクターだ。USDCは依然として流通量が世界第2位のドル連動型トークンであり、取引所や分散型金融(DeFi)プロトコルで広く使用されており、決済や国境を越えた取引でますます人気が高まっている。

先週、米上院がいわゆるGENIUS法案を可決し、今後数年間で数兆ドル規模に達するとの考え方もある資産クラスの規制が前進したことが、株価上昇を促進するきっかけとなった。

それでも、一部のアナリストは、今回の上昇がファンダメンタルズを上回っている可能性があると警告している。

暗号資産分析会社アルテミス(Artemis)のCEO、ジョン・マー(Jon Ma)氏によると、サークルの時価総額は今回の上昇により、時価総額680億ドル(約9兆9000億円)のロビンフッド(Robinhood)、590億ドル(約8兆6000億円)のヌーバンク(NuBank)、380億ドル(約5億5000万円)のブロック(Block)といった老舗フィンテック大手と同水準となり、780億ドル(約11兆3000億円)のコインベースからもそれほどかけ離れていないという。

サークルはまた、フィンテックや暗号資産の同業他社ではめったに見られない、予想以上のバリュエーション倍率で取引されている。売上高の32倍、粗利益の80倍、EBITDA(利払前・税引前・減価償却前利益)の152倍、利益の285倍だとマー氏は指摘した。

「現在のモデルでは、上昇余地はあまりない」と同氏は19日の投稿で述べた。

|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:サークルのCEO、ジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏
|原文:Circle Hits New Record With Market Cap Nearing That of Coinbase