暗号資産市場、トランプ大統領の新たな関税の脅威に動じず
  • 暗号資産(仮想通貨)市場は、新たな関税の脅威にもかかわらず安定を保ち、ビットコインは0.7%安の10万6700ドルとなった。
  • 暗号資産関連株は大幅な下落を記録し、コインベース(Coinbase)とサークル(Circle)はそれぞれ、6%と16%下落した。
  • トランプ米大統領は、カナダが米国テクノロジー企業を対象としたデジタルサービス税を導入したため、カナダとの貿易交渉の終了を発表した。

暗号資産市場は6月27日、関税の脅威が再燃したにもかかわらず、比較的穏やかな一日となった。

CoinDeskの市場データによると、ビットコイン(BTC)は過去24時間で0.7%下落し、当記事執筆時点で10万6700ドルで取引されている。

ビットコインのパフォーマンスは、ステーブルコイン、ミームコイン、取引所コインを除く時価総額上位20の暗号資産を指数化したCoinDesk 20 Indexとほぼ一致し、CoinDesk 20 Indexも過去24時間で、0.7%下落した。

インデックスに含まれる中で最も大きな価格変動を記録したトークンはスイ(SUI)だが、それでもわずか3.3%の上昇にとどまった。

暗号資産関連株はより大きな変動を記録し、コインベースとサークルは、それぞれ6%と16%下落した。ステーブルコイン発行企業のサークル社の株は、23日にほぼ300ドルでピークを記録して以来、40%下落している。

ビットコインマイナーは、AIハイパースケーラーのコアウィーブ(CoreWeave)が買収を検討しているという報道を受けて26日には30%以上値上がりしたコア・サイエンティフィック(Core Scientific)を含め、27日は比較的横ばいで推移した。しかし、ハットエイト(Hut 8)は6.5%下落した。

この穏やかな値動きは、米政権の関税戦略が再び本格化する見通しとは対照的だった。ドナルド・トランプ米大統領は、カナダが米国のテクノロジー企業にデジタルサービス税を課そうとしていることを踏まえ、同国とのすべての貿易協議を打ち切ると発表した。

トランプ氏は、「カナダに対して、米国とビジネスを行うために支払うべき関税額を今後7日以内に通知する」と投稿した。

相互関税の一時停止も7月9日に終了する予定だが、コインベース(Coinbase)のアナリストらは、伝統的市場も暗号資産市場も特にこれを懸念していないようだと、リサーチレポートで指摘している。

「(市場は)この状況から生じる潜在的な経済リスクをほとんど無視している…その一因は、この状況が経済データに必ずしも反映されていないためだ」と、コインベースのアナリストらは述べている。

関税は以前予想されていたほどインフレを引き起こす可能性が低いため、関税に関する無頓着な姿勢はおそらく継続するだろうと、アナリストらは主張した。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:6月27日のビットコインの値動き(CoinDesk)
|原文:Market Wrap: Crypto Markets Shrug Off New Trump Tariff Threat as July Deadline Looms