USDコイン(USDC)の今後とは?最新の価格予想や見通しを徹底解説!やばいという噂は本当?

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米ドルと連動するステーブルコイン、USDコイン(USDC)は、暗号資産(仮想通貨)市場においてその存在感を急速に高めている。価格の安定性という特性から、単なる取引媒体にとどまらず、国際送金や企業決済、分散型金融(DeFi)の基盤として、その活用領域は拡大の一途をたどる。
一方で、過去には価格の安定性が一時的に揺らいだ事例もあり、「USDコインは本当に安全なのか」「将来性はあるのか」といった疑問を持つ投資家も少なくない。
このような疑問に答えるべく、USDCの基本的な仕組みから、その将来性を左右する最新の動向、規制環境、そして今後の価格見通しに至るまで、専門的かつ客観的な視点から徹底的に分析・解説する。
当記事を通じて、新規購入を検討している投資家、既に保有している投資家、そしてその安全性に懐疑的なすべての人々が、USDCに関する正確な知識と深い洞察を得ることを目的とする。
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USDコイン(USDC)とは?基本情報と仕組み
USDコイン(USDC)の基本情報
USDコイン(以下、USDC)は、その価値が常に1米ドル(USD)と等しくなるように設計された、暗号資産の一種である「ステーブルコイン」である。
ビットコイン(BTC)のような、市場の需要と供給によって価格が大きく変動する暗号資産とは異なり、USDCの価値は現実世界の資産によって裏付けられている。この仕組みが、USDCの価格安定性の根幹をなしている。
この価値の安定性は、「法定通貨担保型」と呼ばれる仕組みによって実現される。これは、市場に流通しているUSDCの総量と同等か、それ以上の価値を持つ米ドル建ての資産を「準備金(リザーブ)」として保有することにより、常に1USDC=1米ドルの価値を保証するものである。
さらに、これらの貴重な資産はCircle社の事業運営資金とは法的に完全に分離されて管理されており、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNY Mellon)や世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)といった、世界的に信頼性の高い金融機関がその保管・管理を担っている。
この厳格な分別管理体制が、発行体であるCircle社の経営状態から独立した形で、USDC保有者の資産を保護しているのである。
Circle社について
USDCの発行と運営を担うCircle社は、2013年にジェレミー・アレール氏とショーン・ネビル氏によって設立された米国の金融テクノロジー企業である。当初はP2P決済技術を手掛けていたが、2018年に米国最大手の暗号資産取引所Coinbase社と共同で「Centreコンソーシアム」を設立し、USDCの発行を開始した。
以来、USDCは急速に成長し、2024年時点ではステーブルコイン市場において、テザー(USDT)に次ぐ第2位の時価総額を誇る主要なデジタルドルとしての地位を確立している。
USDCの仕組みは、単に「価格が安定した暗号資産」という表面的な理解に留まらない。その本質は、伝統的金融システムの「信頼性」と、ブロックチェーン技術がもたらす「透明性、迅速性、低コスト」という利点を融合させた、新時代の「ハイブリッド金融インフラ」と評価することができる。
これにより、ユーザーは米ドルという安定した価値を、国境や銀行の営業時間に縛られることなく、24時間365日、世界中のどこへでも瞬時に、かつ安価に移転させることが可能となる。これは、金融システムのあり方そのものを変革する大きな可能性を秘めている。
USDコイン(USDC)とビットコイン(BTC)など他の暗号資産(仮想通貨)違い
USDCと、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)といった他の主要な暗号資産との間には、その性質において根本的な違いが存在する。最も決定的な違いは「価値の源泉」と、それに伴う「価格の安定性」である。
USDCが米ドルという現実世界の資産に価値を裏付けられた「ステーブルコイン」であるのに対し、ビットコインは発行上限がプログラムによって定められていることによる希少性や、市場参加者の将来への期待によって価値が形成されるため、価格変動(ボラティリティ)が非常に大きいという特徴を持つ。
この違いをより深く理解するためには、ステーブルコイン自体の多様な分類について知ることが不可欠である。ステーブルコインは、その価値を担保する資産の種類によって、主に以下の4つに大別される。
この分類を知ることは、過去に発生したステーブルコインの破綻事例(例えば、無担保型のTerraUSD)とUSDCを混同し、「ステーブルコインは危険である」という誤った認識を避ける上で極めて重要である。
表1:ステーブルコインの主な種類と特徴
種類 | 主な特徴 | 代表的な銘柄 | リスク |
法定通貨担保型 | 発行総額と同等以上の法定通貨(米ドル、日本円など)を準備金として金融機関に預託。裏付け資産の存在を第三者機関が証明することで高い透明性と信頼性を確保する。 | USDC, USDT, BUSD | 発行体の信用リスク(倒産など)、準備金を管理する金融機関の破綻リスク(カウンターパーティリスク)。 |
暗号資産担保型 | ビットコインやイーサリアムなど、他の暗号資産を担保とする。担保資産の価格変動リスクに備え、発行額を上回る価値の暗号資産を預託する「過剰担保」の仕組みを採用。 | DAI, sUSD | 担保資産の価格が暴落し、担保価値が不足するリスク。スマートコントラクトのバグやハッキングのリスク。 |
コモディティ型 | 金(ゴールド)や原油といった実物資産(商品)を担保とする。特定の資産価格に価値が連動するため、インフレヘッジの手段として活用されることもある。 | PAX Gold (PAXG), ジパングコイン (ZPG) | 担保となるコモディティの価格変動リスク、実物資産の保管・管理に関するリスク。 |
無担保型(アルゴリズム型) | 特定の資産による裏付けを持たず、独自のアルゴリズムによってコインの供給量を自動的に調整することで、価格を一定に保とうと試みる。仕組みが極めて複雑。 | (過去の例)TerraUSD (UST), FRAX | 設計上の欠陥や市場のパニックにより、価格維持メカニズムが崩壊するリスク(デペッグリスク)が他の種類に比べて非常に高い。 |
この表が示す通り、USDCが属する「法定通貨担保型」は、その価値の裏付けが明確であり、一般的に最も安全性が高いと評価されているカテゴリーである。
USDコイン(USDC)の特徴①:規制に準拠した、透明性の高いステーブルコイン
USDCが数あるステーブルコインの中で、特に機関投資家や規制を重視する企業から高い評価を得ている最大の理由は、その徹底した「透明性」と「規制遵守」への姿勢にある。これは、市場で最大のシェアを持つライバルのテザー(USDT)としばしば比較される点であり、USDCの信頼性を際立たせる核心的な特徴である。
Circle社は、USDCが常に100%の準備金によって裏付けられていることを客観的に証明するため、独立した第三者会計事務所による証明報告書(Attestation Report)を毎月欠かさず公開している。
これらのレポートはCircle社の公式ウェブサイトで誰でも閲覧可能であり、特定の基準日(通常は月末および月内のランダムな日)において、市場に流通するUSDCの発行総額と、それを上回る価値の準備資産が確かに存在することを独立した立場から証明している。
さらにCircle社は、単に総額を示すだけでなく、準備金を構成する米国財務省証券のCUSIP(個別証券識別コード)、額面、市場価値、満期日といった極めて詳細な内訳や、現金を預託している金融機関名までをも公開している。
このような徹底した情報開示は、他の多くのステーブルコインには見られないものであり、USDCの透明性を際立たせている。
対照的に、USDTはその準備金の構成や監査の透明性について長年にわたり市場や規制当局から疑問視されてきた経緯がある。この透明性に対する姿勢の違いが、リスク管理を最優先する機関投資家や大企業が、USDTよりもUSDCを選好する大きな要因となっているのである。
USDコイン(USDC)の特徴②:複数ライセンスの取得による高い安全性
USDCのもう一つの際立った特徴は、Circle社が世界各国の金融規制に積極的に準拠し、主要な市場で公式なライセンスを取得している点である。これは、USDCの安全性を法的な側面から強固にし、伝統的な金融システムとの連携を可能にするための戦略的な取り組みである。
暗号資産業界が成熟するにつれて、各国の規制当局はマネーロンダリング防止(AML)やテロ資金供与対策(CFT)に関する要件を厳格化している。
Circle社はこれらの規制を遵守することで、単なる暗号資産の一つとしてではなく、国家レベルの決済インフラとしても利用可能な、信頼性の高いデジタル通貨としての地位を確立しようとしている。
Circle社が取得している主なライセンスは以下の通りである。
- 米国: 暗号資産事業に対する規制が世界で最も厳しいとされるニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)から「BitLicense」を取得している。また、米国財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)にも事業者として登録されている。
- 欧州: 欧州連合(EU)が導入した包括的な暗号資産市場規制法(MiCA)に準拠し、フランスにおいて電子マネー機関(EMI)としてのライセンスを取得している。これにより、ユーロに連動したステーブルコイン「EURC」の提供も可能となっている。
- シンガポール: アジアの金融ハブであるシンガポールにおいて、金融管理局(MAS)から主要決済機関(Major Payment Institution)ライセンスを取得している。
- 日本: 2023年6月1日に施行された改正資金決済法の下で、USDCは「電子決済手段」として法的に位置づけられた。これにより、適切なライセンスを取得した国内事業者を通じて、日本国内での正規の流通が可能となった。
USDCが追求する透明性と規制遵守は、単なるコンプライアンス活動ではない。
これは、過去の暗号資産市場で起きた数々の失敗、特に裏付け資産が不透明であったり、設計に欠陥があったりしたステーブルコインの破綻から得た教訓に基づいている。
市場、特にリスクを極端に嫌う機関投資家や規制当局が抱く「ステーブルコインへの不信感」という巨大な課題に対し、Circle社は伝統的な金融機関が求めるレベルの透明性とコンプライアンスを提供することで正面から応えた。
この戦略的な選択が、USDCを他の多くの暗号資産と一線を画す存在たらしめ、将来的に中央銀行デジタル通貨(CBDC)が登場する時代においても、民間発行のデジタルドルとして生き残るための強力な基盤となっているのである。
USDコイン(USDC)の歴史とこれまでの価格推移
2018年の発行以来、USDCの価格はほぼ一貫して1米ドル近辺で安定的に推移してきた。その歴史において、USDCの安定性とリスク管理体制が最も厳しく問われたのが、2023年3月に発生した米国のシリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻である。
この出来事により、USDCは一時的に1ドルとのペッグが外れる「デペッグ」を経験したが、その後の回復プロセスは、USDCのリスクと回復力の両側面を浮き彫りにする重要な事例となった。
この危機の背景には、2022年から米国連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制のために実施した急激な利上げがあった。金利の上昇は債券価格の下落を意味し、多くの金融機関が保有する長期国債などに巨額の含み損が発生していた。
事態が急変したのは2023年3月8日、テクノロジー系の新興企業への融資で知られていたSVBが、保有債券の売却に伴う18億ドルの損失と、財務強化のための増資計画を発表したことだった。この発表が引き金となり、SVBの信用不安が一気に高まった。
著名なベンチャーキャピタリストらがSNSなどを通じて取引先企業に預金の引き出しを促したことで、パニックは瞬く間に広がり、近代的な取り付け騒ぎ(バンクラン)へと発展した。
USDCへの直接的な影響が明らかになったのは3月10日であった。Circle社は、USDCの準備金総額約400億ドルのうち、33億ドル(総準備金の約8%に相当)がSVBに現金預金として保管されていることを公表した。
SVBの経営破綻により、この33億ドルが引き出せなくなり、USDCの価値の裏付けが不足するのではないかという懸念が市場を席巻した。
この信用不安からUSDCは大規模な売りに見舞われ、3月11日には価格が一時0.87ドルまで急落し、1ドルとのペッグが大きく崩れた。このデペッグは、USDCを担保としていた他のステーブルコインやDeFiプロトコルにも連鎖的な影響を及ぼし、暗号資産市場全体に深刻な動揺が広がった。
しかし、危機的状況の中でCircle社と米国金融当局は迅速に対応した。Circle社は即座に、「SVBの預金が回収不能となった場合でも、その不足分はCircle社の自己資金で補填し、USDCの1対1での米ドル償還を完全に保証する」という力強い声明を発表した。
さらに、SVB以外の金融機関に預託していた現金準備金は、より安全なバンク・オブ・ニューヨーク・メロンに移管したことを明らかにし、市場の信頼回復に努めた。
決定打となったのは、3月12日の米国当局の対応であった。米財務省、FRB、そして連邦預金保険公社(FDIC)は共同声明を発表し、SVBの預金は預金保険の上限額(25万ドル)に関わらず、全額保護されることを異例の措置として保証した。
これにより、Circle社がSVBに預けていた33億ドルは全額回収可能となり、USDCの準備資産に関する懸念は完全に払拭された。
この当局の発表とCircle社の断固たる姿勢を受け、市場のパニックは急速に沈静化し、USDCの価格は数日内に1ドルへのペッグを完全に取り戻した。
このSVBショックは、法定通貨担保型ステーブルコインであっても、準備金を保管する金融機関が破綻するという「カウンターパーティリスク」が現実のものであることを市場に痛感させた。しかし、それと同時に、発行体の危機管理能力と、金融システム全体のセーフティネットが機能すれば、このような深刻な危機を乗り越え、信頼を回復できることも証明した。
この経験は、皮肉にもUSDCの運用体制をより強固なものにし、その後の信頼性を飛躍的に高める最大のストレステストとなった。一部で囁かれる「USDCはやばい」という言説に対し、この危機からの回復劇は、現在のUSDCが以前よりも遥かに堅牢であることを示す最も強力な反証材料となっている。
最新のUSDコイン(USDC)ニュースと価格への影響
近年のUSDCを取り巻く重要なニュースは、発行元であるCircle社の企業としての飛躍的な成長、グローバルな決済インフラとしての進化、そして世界有数の経済大国である日本市場への本格的な参入という、3つの大きなテーマに集約される。
これらはそれぞれ独立した出来事でありながら、相互に連携し、USDCの長期的な価値と安定性を支えるポジティブな要因として機能している。
Circle社の新規株式公開に関するニュース
2025年、Circle社はニューヨーク証券取引所(NYSE)への新規株式公開(IPO)を成功裏に完了させた。これは、ステーブルコイン発行企業が、伝統的な金融市場の正当な構成員として認められたことを象徴する画期的な出来事である。
IPOを通じて、Circle社は事業拡大と技術開発のための巨額の資金調達に成功し、その財務基盤を大幅に強化した。それ以上に重要なのは、上場企業となることで、米国証券取引委員会(SEC)の厳格な監督下に置かれ、四半期ごとの財務報告をはじめとする、これまで以上に高いレベルの透明性と情報開示が法的に義務付けられる点である。
このIPOに対する市場の期待は極めて高かった。当初の想定を上回る強い投資家の需要を受け、公募価格は引き上げられ、最終的な応募倍率は予定の25倍以上に達したと報じられている。最終的に1株31ドルで価格が決定し、ティッカーシンボル「CRCL」として取引が開始された後も、株価は堅調に推移した。
特筆すべきは、このIPOに世界最大の資産運用会社であるブラックロックや、日本の金融大手SBIホールディングスといった、厳格なデューデリジェンスを行うことで知られる大手金融機関が主要な投資家として参加したことである。これは、機関投資家の視点から見ても、Circle社の事業モデルとUSDCの将来性が高く評価されていることの力強い証左と言える。
このIPOの成功は、USDCの価格安定性に直接的なプラスの影響をもたらす。Circle社の財務的安定性の向上は、万が一準備金に予期せぬ問題が発生した場合でも、企業体力でそれをカバーできるという市場の信頼感を醸成する。強化された透明性とガバナンス体制は、USDCのペッグを維持する能力を直接的に高め、その信頼性を盤石なものにする。
グローバル決済手段としての採用増加に関するニュース
USDCは、単なる暗号資産取引の決済ペアに留まらず、現実世界のグローバルな決済インフラとしての地位を急速に確立している。その象徴的な事例が、世界最大の決済ネットワークであるVISAとの戦略的提携である。この提携は、USDCが従来の国際送金システムを代替しうる、次世代の決済手段としてのポテンシャルを明確に示している。
ブロックチェーン技術を活用したUSDCによる決済は、現在主流である銀行間送金ネットワーク(SWIFTなど)が抱える「時間がかかる」「手数料が高い」「プロセスが不透明」といった課題を根本的に解決する。この利便性が、グローバルに事業を展開する企業やEコマース事業者にとって、無視できない競争優位性をもたらす。
VISAとの提携の具体的な内容は以下の通りである。VISAは、国境を越えた取引における金融機関間の資金決済(セトルメント)にUSDCを利用するパイロットプログラムを、暗号資産プラットフォームのCrypto.comなどと共同で開始した。
当初はイーサリアムブロックチェーンが利用されていたが、その後、より高速かつ低コストな取引が可能なSolanaブロックチェーンにも対応を拡大した。これにより、1秒あたり数千件の取引を処理できる高いスケーラビリティを獲得し、大規模な商用利用への道筋をつけた。
この仕組みにより、例えばCrypto.comがオーストラリアでのVISAカード利用に伴う決済義務を果たす際、従来は数日を要した国際電信送金が、USDCを用いることで数分で完了するようになった。VISAはさらに、この仕組みを発行銀行から加盟店銀行への支払いにも拡大し、最終的には加盟店がUSDCで迅速に売上を受け取れるようにする計画を進めている。
VISAとの提携以外にも、USDCのユースケースは多岐にわたる。分散型金融(DeFi)の領域では、AaveやCompoundといった主要なレンディングプロトコルにおいて、貸し借りのための主要な資産として、また流動性提供のペアとして不可欠な存在となっている。
その他、NFTマーケットプレイスでの決済手段や、グローバル企業の効率的な資金管理ツールとしても、その採用は着実に拡大している。
日本国内の、USDC取扱開始に関するニュース
2023年6月に施行された改正資金決済法は、日本の金融史において画期的な一歩となった。この法改正を追い風に、USDCは日本国内で初めて正式に認可されたグローバルな米ドル連動型ステーブルコインとなり、日本のデジタル金融市場における新たな時代の幕開けを告げた。
この法改正により、一定の要件を満たすステーブルコインは「電子決済手段」として法的に定義され、金融庁からライセンスを取得した「電子決済手段等取引業者」が取り扱うことが可能になった。これは、日本の利用者が法律によって保護された、安全で透明性の高い環境でUSDCを取引できるようになったことを意味する。
この新たな規制の枠組みの下で、いち早く行動を起こしたのがSBIグループである。SBIホールディングス傘下の暗号資産取引所であるSBI VCトレードは、2025年3月4日、国内で第一号となる「電子決済手段等取引業者」として関東財務局への登録を完了した。
そして同月25日、ついに国内で初めて一般の個人顧客を対象としたUSDCの売買および入出庫サービスの提供を開始した。これは、日本の投資家が仲介業者を介さずに、日本円で直接、規制に準拠した形でグローバルなデジタルドルを保有できるようになった歴史的な瞬間であった。
この動きに追随するのが、国内で最大級のユーザー基盤を誇る暗号資産取引所コインチェックである。同社は2024年2月、Circle社との戦略的提携を発表し、日本市場におけるUSDCの普及を目指すことを明らかにした。
コインチェックもまた、電子決済手段等取引業のライセンス取得を目指しており、将来的には同取引所でもUSDCの取り扱いが開始される可能性が非常に高い。これが実現すれば、日本国内におけるUSDCの流動性と利便性は飛躍的に向上し、その普及に大きく弾みがつくことが予想される。
これら3つのニュースは、単独の事象としてではなく、USDCを「一つの暗号資産」から「グローバル金融インフラ」へと昇華させるための一連の戦略的な動きとして捉えるべきである。まず、IPOによって伝統的金融市場からの「信頼」を獲得した。
次に、その信頼を基盤としてVISAとの提携を実現し、現実世界での「実用性」を証明した。そして最後に、世界で最も早く包括的なステーブルコイン規制を整備した主要経済国である日本で、金融大手と組んで最初に認可を得ることで、グローバルな「普及」への道筋を具体的に示した。
この「信頼→実用→普及」というロードマップの着実な実行が、USDCの将来性を強力に裏付けている。
USDコイン(USDC)の将来性:国際送金インフラとしての可能性と課題
USDCは、その技術的な特性と規制遵守への取り組みから、現在の国際送金システムが抱える多くの課題を解決し、次世代の金融インフラとなる大きな可能性を秘めている。しかし、そのポテンシャルを完全に開花させるまでには、規制、技術、そして競争の面で乗り越えるべき複数の課題が存在する。
USDCがもたらす革新性は、SWIFT(国際銀行間通信協会)ネットワークに代表される従来の国際送金システムと比較することで、より明確に理解できる。
表2: 国際送金の比較:USDC vs. 従来型銀行送金(SWIFT)
項目 | USDコイン(USDC) | 従来型銀行送金(SWIFT) |
送金速度 | 数秒〜数分(ブロックチェーンの承認時間による) | 1〜6営業日、場合によってはそれ以上 |
手数料 | 低額なブロックチェーンのネットワーク手数料(ガス代)のみ。通常、数セントから数ドル程度。 | 送金手数料、為替手数料、中継銀行手数料、受取手数料など、複数の手数料が複雑に発生。総額で数千円規模になることも多い。 |
利用可能時間 | 24時間365日、週末や祝日を問わない。 | 銀行の営業時間に完全に依存する。 |
透明性 | 全ての取引記録がブロックチェーン上に公開され、誰でも追跡可能。 | 送金プロセスはブラックボックス化されており、資金がどの銀行を経由しているかなど、追跡は困難。 |
アクセス性 | インターネット接続とデジタルウォレットがあれば、銀行口座を持たない人でも利用可能。 | 送金側と受取側の双方が銀行口座を保有していることが必須。 |
この比較が示すように、USDCは国際送金における効率性、コスト、透明性、アクセス性を劇的に向上させる可能性を持つ。しかし、その実現には以下の課題を克服する必要がある。
- 規制の課題: グローバルで統一されたステーブルコイン規制はまだ存在せず、各国の法制度は発展途上にある。
例えば、日本の改正資金決済法では、利用者保護の観点から、海外で発行されたステーブルコイン(外国電子決済手段)の国内における移転について、1回あたり100万円相当額という上限が設けられている。このような国ごとの規制の違いが、シームレスなグローバル利用の障壁となる可能性がある。 - 競争の課題:
- 他のステーブルコイン: 市場にはUSDTをはじめとする競合ステーブルコインが多数存在し、シェア争いは依然として激しい。
- 中央銀行デジタル通貨(CBDC): 各国の中央銀行が発行を検討しているCBDCは、国家の信認を直接的な裏付けに持つ究極のデジタル通貨である。特に米国がリテール向けのデジタルドルを発行した場合、USDCの存在意義や役割が大きく変化し、最大の競合相手となる可能性がある。日本銀行も、将来の発行の可能性に備えてパイロット実験を進めている段階にある。
- 他のステーブルコイン: 市場にはUSDTをはじめとする競合ステーブルコインが多数存在し、シェア争いは依然として激しい。
- 技術・運用上の課題:
- スケーラビリティ:イーサリアムのような主要なブロックチェーンでは、取引が集中するとネットワーク手数料(ガス代)が高騰し、送金速度が低下する問題がある。ただし、この問題に対しては、Solanaのようなより高性能なブロックチェーンへの対応拡大によって解決が図られている。
- カウンターパーティリスク:SVBの破綻が示したように、準備金を預託している金融機関の健全性に依存するというリスクは、完全にゼロにはならない。
- 中央集権性のリスク:USDCはCircle社という単一の事業体によって発行・管理されているため、同社の経営判断やシステム障害がUSDCネットワーク全体に影響を及ぼす可能性がある。また、Circle社は規制当局からの要請に応じて、マネーロンダリングなどの不正行為に関与した疑いのある特定のアドレスを凍結する機能を有しており、これは非中央集権性を重視する一部のユーザーにとってはデメリットと見なされる可能性がある。
- スケーラビリティ:イーサリアムのような主要なブロックチェーンでは、取引が集中するとネットワーク手数料(ガス代)が高騰し、送金速度が低下する問題がある。ただし、この問題に対しては、Solanaのようなより高性能なブロックチェーンへの対応拡大によって解決が図られている。
これらの課題は、USDCの将来を占う上で無視できない。特に、USDCが国際送金インフラとしてシステム上重要な存在になればなるほど、それは単なる一企業のプロダクトではなく「社会的な公共財」としての性質を帯びることになる。
その結果、一民間企業に対する規制の枠を超え、中央銀行による直接的な監督や、将来発行されるであろうCBDCとの機能分担の整理など、より厳格な公的監視の対象となる可能性が高い。
投資家は、この「成功のパラドックス」とも言える力学を理解し、USDCの将来がCircle社の経営努力だけでなく、各国の金融当局の政策判断によっても大きく左右されることを認識しておく必要がある。
USDコイン(USDC)の今後の価格予想(短期・長期・AI予測)
USDCのようなステーブルコインにおける「価格予想」は、ビットコインのように将来の価格が何倍にも上昇することを予測するものではない。
その本質は、「1米ドルとのペッグ(連動)が、将来にわたってどれだけ安定的に維持されるか」という「安定性の予測」である。この点を踏まえた上で、USDCの短期・長期的な価格見通しを分析する。
短期的な価格予想(今後1〜2年)
今後1年から2年という短期的な期間において、USDCが1ドルとのペッグを安定的に維持する可能性は極めて高いと評価できる。その根拠は複数存在する。
第一に、強固で透明性の高い準備金である。前述の通り、Circle社の準備金は現金および短期米国債という極めて安全かつ流動性の高い資産で構成されており、その存在と内訳はデロイトによる月次の証明報告書によって客観的に検証されている。これにより、市場参加者は常に裏付け資産の健全性を確認できる。
第二に、発行体の財務基盤の強化である。2025年のIPO成功により、Circle社は巨額の自己資本を確保した。これは、SVBショックのような予期せぬ外部要因によって準備金に万が一の事態が発生した場合でも、企業体力でそれを補填できる能力が向上したことを意味する。
第三に、規制環境の明確化である。日本や欧州連合(EU)をはじめとする主要国でステーブルコインに関する法的な枠組みが整備されつつあり、USDCはこれらの規制に準拠する形で事業を展開している。これにより、法的な不確実性が低下し、事業の安定性が増している。
第四に、実用的な採用の拡大である。VISAとの提携や、SBI VCトレードのような国内取引所での取り扱い開始は、USDCに対する実需を創出し、その流動性を高める。需要と流動性の増加は、価格の安定に直接的に寄与する。
これらの要因から、極端な金融危機や地政学的リスクの顕在化といった外部ショックがない限り、USDCの価格は1.00ドルを中心とした極めて狭いレンジ(例:0.999ドル〜1.001ドル)で安定的に推移すると予想される。
市場の需給バランスによるごくわずかな価格の乖離は発生しうるが、これは裁定取引によって速やかに是正されるため、ペッグの安定性を揺るがすものではない。
中長期的な価格予想(5年〜10年先)
5年から10年先という中長期的な視点では、USDCのペッグの安定性は、より複雑なマクロ要因に左右されることになる。主な変動要因として、マクロ経済環境、技術革新、そして規制・競争環境の3つが挙げられる。
安定性を支える要因としては、まずデジタルドル需要の継続的な拡大が挙げられる。Web3やメタバースといったデジタル経済圏が成長するにつれて、その中で価値の交換や保存の媒体として機能する、信頼性の高いデジタルドルへの需要は構造的に増加していく可能性が高い。
また、USDCが決済やDeFiの領域で金融インフラとして深く定着すれば、その強力なネットワーク効果によって、競合に対する優位性はさらに強固なものとなるだろう。
一方で、不確実性をもたらすリスク要因も存在する。最も根源的なリスクは、米ドル自体の信認の変動である。USDCの価値は究極的には米ドルそのものの価値と、米国政府への信認に依存している。将来的に米国の財政問題が深刻化したり、地政学的リスクによって基軸通貨としてのドルの地位が揺らいだりするような事態になれば、それはUSDCの価値にも直接的な影響を及ぼす。
また、前述の通り、CBDCとの競合は最大の不確実性の一つである。米国が政府保証付きのデジタルドル(リテールCBDC)を本格的に発行した場合、民間発行であるUSDCの役割が大きく変化、あるいはその一部が代替される可能性は否定できない。さらに、USDCの市場規模が拡大し、金融システム全体に影響を及ぼす「システミックな重要性」を持つと規制当局に判断されれば、銀行と同等の厳しい
規制が新たに課される可能性もある。これは、Circle社のビジネスモデルや収益性に大きな影響を与える可能性がある。
AIによる価格予測シミュレーション
一部の暗号資産情報サイトでは、AI(人工知能)技術を用いたUSDCの将来価格予測が公開されている。しかし、これらの予測を鵜呑みにすることは極めて危険であり、ステーブルコインの特性を正しく理解していれば、それらがほとんど無意味であることがわかる。
AIによる価格予測モデルの多くは、過去の価格変動のパターンを統計的に学習し、そのパターンが将来も繰り返されるという仮定に基づいて未来の価格を予測する。これは、価格が常に変動しているビットコインのような資産に対しては、一定の示唆を与える可能性があるかもしれない。
しかし、USDCの価格は、その設計上、過去から現在、そして未来に至るまで、常に「1ドル」にペッグするように意図されている。その価格データをグラフにすれば、ほぼ「1」の値を維持する水平な直線となる。そこには、AIが学習すべき有意義な「価格変動パターン」は本質的に存在しない。
結論として、投資家はこのようなAIによる価格予測を完全に無視するべきである。代わりに、USDCの「ペッグ安定性」に影響を与える真の要因、すなわち準備金の質と透明性、発行体であるCircle社の信頼性と財務状況、そして各国の規制動向といったファンダメンタルズの分析に集中することが、賢明な投資判断を下すための唯一の道である。
価格予想の総括
USDCの今後の「価格」を日本円で考える場合、それは1ドルとのペッグが維持される限り、米ドルと日本円の為替レート(USD/JPY)の変動に完全に連動する。したがって、USDC自体の真の「予想」対象は、価格そのものではなく、1ドルへのペッグが維持されるか否かという「安定性」である。
本レポートの分析を総括すると、短期的には、堅牢な準備金、強化された財務基盤、そして明確化された規制環境により、USDCのペッグは極めて安定していると評価できる。中長期的には、CBDCとの競合やさらなる規制強化といった不確実性が存在するものの、デジタル経済の基盤通貨としての需要拡大がその安定性を下支えするだろう。
投資家が取るべき行動は、価格チャートを眺めることではない。Circle社が毎月公表する準備金の証明報告書をチェックし、VISAや大手金融機関との提携に関するニュースを追い、そして日米欧の規制当局の動向を注視することである。これらのペッグの安定性を支えるファンダメンタルズの変化を継続的に監視することが、USDCへの投資において最も重要な責務となる。
USDコイン(USDC):国内外の取引所と購入時の注意点
2023年の法改正とそれに続く国内事業者のライセンス取得により、日本の投資家は、法規制に準拠した国内の暗号資産取引所を通じて、安全かつ簡便にUSDCを購入することが可能となった。しかし、その利便性の裏側には、暗号資産特有のリスクと、資産を安全に管理するために不可欠な注意点が存在する。これらを正しく理解し、自己責任の原則に基づいた行動をとることが極めて重要である。
主な取引所と購入手順
2025年現在、日本国内において一般の個人投資家向けにUSDCの取り扱いを正式に開始している主要な取引所は、SBI VCトレードである。将来的には、Circle社と提携を発表しているコインチェックなど、他の国内大手取引所でも取り扱いが開始されることが期待されている。
SBI VCトレードでUSDCを購入するための一般的な手順は以下の通りである。
- 口座開設の申し込み:SBI VCトレードの公式サイトにアクセスし、口座開設手続きを開始する。メールアドレスの登録後、氏名、住所、投資経験などの個人情報を入力し、本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)を提出する必要がある。
- 本人確認の完了: 近年主流となっているオンラインでの本人確認(eKYC)を利用すれば、自身の顔写真と本人確認書類をスマートフォンで撮影するだけで手続きが完結し、最短で申し込み当日に口座開設が完了する場合もある。
- 日本円の入金: 口座開設が完了すると、顧客専用の入金口座が通知される。その口座に、自身の銀行口座から日本円を振り込む。SBI VCトレードでは、日本円の入金手数料は無料となっている。
- USDCの購入: 入金した日本円が取引口座に反映されたら、取引プラットフォームにログインする。「販売所」サービスからUSDCを選択し、購入したい金額(日本円建て)または数量(USDC建て)を指定して注文を確定する。
これからUSDCの取引を始めるユーザーのために、SBI VCトレードにおける具体的な取引条件を以下にまとめる。
表3: SBI VCトレードにおけるUSDCの取引条件(2025年3月時点)
項目 | 内容 |
取扱サービス | 販売所形式での売買、入庫、出庫 |
各種手数料 | 口座開設手数料、口座維持手数料、日本円の入出金手数料、USDCの入出庫手数料はすべて無料 |
スプレッド | 約0.3%(買値と売値の価格差。市場の流動性により変動する可能性がある) |
最小発注数量 | 1 USDC |
最大発注・出庫数量 | 1回あたり100万円相当額(改正資金決済法に基づく制限) |
対応ブロックチェーン | イーサリアム(ERC-20)のみ。他のチェーンからの入庫は非対応。 |
この表からわかるように、SBI VCトレードでは比較的低コストで少額からUSDCの取引を始めることが可能である。ただし、取引は取引所形式ではなく販売所形式であるため、スプレッドが実質的な取引コストとなる点には注意が必要である。
購入時の注意点とリスク
USDCの取引は、その安定性から比較的リスクが低いと見なされがちだが、すべての暗号資産に共通するリスクと、初心者が見落としがちな管理上の注意点が存在する。これらのリスクを軽視すると、意図せず資産を失う事態にもなりかねない。
- リスク①:秘密鍵の管理(自己責任の原則)
暗号資産と銀行預金の最も根本的な違いは、資産へのアクセス権を証明する「秘密鍵(Private Key)」の管理責任が、利用者自身にある点である。
銀行であれば、パスワードを忘れても再発行が可能だが、暗号資産の世界では、この秘密鍵を紛失すれば、その資産に二度とアクセスできなくなり、永久に失われることになる。同様に、秘密鍵がハッカーなどの第三者に盗まれれば、資産は即座に抜き取られてしまう。初心者にとっては、まずはSBI VCトレードのような、セキュリティ対策がしっかりした国内の正規取引所のウォレットで資産を保管するのが、最も簡単で現実的な選択肢である。
しかし、より高いレベルのセキュリティを求める場合や、DeFiサービスなどで資産を直接運用したい場合は、秘密鍵をインターネットから完全に切り離して保管する「ハードウェアウォレット」の利用が強く推奨される。
絶対に避けるべきは、秘密鍵や、それを復元するためのパスフレーズ(リカバリーフレーズ)を、スクリーンショットで保存したり、メールの下書きやクラウドストレージにテキストファイルとして保管したりすることである。これらはハッキングの格好の標的となる。 - リスク②:フィッシング詐欺と不正送金
暗号資産業界では、実在する取引所やウォレットサービスを巧妙に装った偽のウェブサイトやメールを送りつけ、利用者を騙してID、パスワード、そして最終的には秘密鍵を盗み取ろうとする「フィッシング詐欺」が後を絶たない。
対策としては、公式サイトへのアクセスは必ず事前に登録したブックマークから行う、メールやSNS上のリンクを安易にクリックしない、「高利回りを保証する」「急いで送金しないと資産が凍結される」といった甘い誘いや不安を煽る文句を信用しない、といった基本的な注意を徹底することが重要である。
また、取引所のアカウントには、パスワードに加えて、スマートフォンアプリなどを用いた二段階認証(2FA)を必ず設定することが、不正ログインを防ぐ上で不可欠である。 - リスク③:規制上の制約
日本の改正資金決済法は、利用者を保護する目的で、海外で発行されたステーブルコインの取り扱いに一定の制限を課している。前述の通り、SBI VCトレードでは、USDCの出庫(外部ウォレットへの送金)上限が1回あたり100万円相当額に設定されている。
これは、マネーロンダリング対策や、利用者が一度に大きな損失を被るリスクを低減するための措置である。
大口の資金移動を計画している利用者は、この制限を事前に認識しておく必要がある。
USDコイン(USDC) の今後や価格予想・見通しのまとめ
本レポートを通じて分析してきたように、USDコイン(USDC)は、その卓越した透明性、グローバルな規制遵守への積極的な姿勢、そして現実世界での着実な実用性の拡大により、単なる暗号資産の一カテゴリーであるステーブルコインの枠を超え、次世代のグローバル金融インフラとしての地位を確固たるものにしつつある。
将来性について
発行元であるCircle社のIPO成功、世界最大の決済ネットワークVISAとの提携、そして世界に先駆けて包括的な規制を整備した日本市場への参入は、USDCが機関投資家や国家レベルの規制にも耐えうる高い信頼性と安全性を獲得したことの明確な証左である。今後、国際送金、企業間の貿易決済、そして分散型金融(DeFi)の基盤通貨として、その実用的な需要はさらに拡大していくことが確実視される。
価格見通し(安定性)について
USDCの価値の源泉である1ドルへのペッグは、強固かつ透明な準備金と、発行体の信頼性によって、短期的には極めて安定していると評価できる。中長期的には、中央銀行デジタル通貨(CBDC)との競合や、さらなる規制強化といった不確実性も存在するが、その安定性が根本から揺らぐ可能性は、現時点の情報を総合的に判断する限り低いと言える。
一部で懸念される「USDCはやばい」という言説は、主に過去のSVBショックという事実に基づくものだが、その危機を乗り越えた回復力と、その後の体制強化を鑑みれば、現在のUSDCはむしろ以前よりも堅牢になっていると結論づけるのが妥当である。