コインベース、米プラットフォームにDEX取引を追加──万能アプリを目指す

- コインベースは、ニューヨーク州を除く大部分のアメリカのユーザーを対象に、自社アプリに分散型取引所(DEX)の取引機能を追加した。
- この取引機能は、注文をゼロエックスとワンインチに流し、ユニスワップやエアロドローム、その他のDEXの流動性にアクセスする。
- ローンチ時には、バーチャルズAIエージェント、リザーブ・プロトコル、セントリフュージなどのプロジェクトのベースネットワークのトークンを取引できる。
コインベース(Coinbase)は8日、ニューヨーク州を除くアメリカ全域の顧客向けに、メインアプリ内で分散型取引所(DEX)の取引を提供すると発表した。これは、自社のプラットフォームを暗号資産(仮想通貨)の「万能アプリ」に変えるというより広い目標の一環だ。
コインベースのプロダクト担当副社長であるマックス・ブランズバーグ(Max Branzburg)氏によれば、この新機能はゼロエックス(0x)やワンインチ(1inch)などのDEXアグリゲーター経由で取引をオンチェーンに流し、ユニスワップ(Uniswap)やエアロドローム(Aerodrome)などの分散型市場から流動性を引き出すという。DEX取引を統合することで、コインベースのユーザーは資金をプラットフォーム外に移すことなくブロックチェーンベースの流動性プールを直接利用できるようになる。
ローンチ時、トレーダーは拡大しているベース(Base)ネットワーク上のトークンのリストを見つけ、スワップできる。このリストには、バーチャルズAIエージェント(Virtuals AI Agents)の資産、リザーブ・プロトコル(Reserve Protocol)の分散型トークン化ファンド(DTF)、ソーソー・バリュー(SoSo Value)のインデックストークンに加え、アウキ・ラボ(Auki Labs)、スーパー・チャンプ(Super Champs)が含まれる。
DEX取引は、セルフカストディ(自己管理)とパーミッションレス(許可不要)なアクセスが可能であるため、一部の暗号資産ユーザーにとっては魅力的だ。注文のマッチングと決済を中央集権型取引所に頼るのではなく、取引はブロックチェーン自体で実行される。トレーダーにとっては、より幅広い資産へのアクセスや新規トークンのより迅速な上場、手数料が軽減されることもあるといったメリットがある。また、保有する資金を仲介業者に委ねる必要がなくなる。しかし、スマートコントラクトのバグや、流動性が低く不安定な市場にさらされるといった独自のリスクも伴う。
今回のアップデートによって、中央集権型と分散型の両方の暗号資産市場への入り口としてのコインベースの地位が強化される。また、Web3ツールを自社の中核的なプラットフォームに直接統合するための同社の継続的な取り組みを明確に示すものでもあり、デジタル資産の取引方法や保管方法に関して自身で管理できる幅が広がることを望むユーザーを獲得できる態勢を整えている。
今回の動きは、過去1カ月で110億ドル(約1兆5950億円、1ドル145円換算)の取引高を記録した分散型デリバティブ取引所ハイパーリキッド(HyperLiquid)のようなプラットフォームが比較的好調な成果を示した後に行われた。また、ユーザーにノンカストディアルな取引オプションを提供することで、2022年に暗号資産取引所FTXが大規模な崩壊を起こしたことを受けて注目されたカウンターパーティリスクを実質的に排除する。
分散型取引所の取引高は、最近の強気相場全体で顕著な上昇を見せている。DefiLlamaのデータによれば、1日あたりの取引高は128億ドル(約1兆8560億円)で、コインベースの合計35億ドル(約5075億円)を大きく上回る。また、月間DEX取引高は4070億ドル(約59兆150億円)を超えている。
|翻訳・編集:林理南
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|原文:Coinbase Adds DEX Trading to U.S. Platform in Push Toward Becoming an ‘Everything App’