トランプ大統領による労働統計局長解任で経済統計の正確性に疑問
  • 労働統計局長の解任は、主要な政府経済統計がこれまで正確だったのかという、より大きな疑問を投げかけている。
  • レイ・ダリオ氏は、労働統計局のデータ収集プロセスは時代遅れで誤りが生じやすいとし、より正確な経済状況を把握するために民間の情報源に頼っていると述べた。
  • トランプ大統領が指名する後任は、月間の雇用統計を一時停止し、四半期ごとの報告に切り替えることを提案した。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が2週間前、労働統計局長のエリカ・マッケンターファー(Erika McEntarfer)氏を解任し、EJ・アントニ(EJ Antoni)氏を後任に指名したことで、政界には様々な「内輪ネタ」の議論が飛び交っている。

しかし、トランプ大統領は、そのやり方がいかに無作法で大雑把であろうとも、目の前にあるのに見過ごされてきた真実を偶然発見したといえる。それは、市場や企業幹部が巨額の資本配分の判断材料としている政府の経済データが、実際にはそれほど正確ではないのではないかという疑問だ。

ヘッジファンド大手ブリッジウォーター(Bridgewater)の創業者であり元CEOのレイ・ダリオ(Ray Dalio)氏は、「私でもおそらく労働統計局長を解任していただろう」とし、「労働統計局の推計プロセスは明らかに時代遅れで誤りが生じやすく、それを修正するための取り組みにおいて良い計画は策定されていない」と指摘した。

ダリオ氏は、7月の報告に含まれていた5月と6月の雇用統計の大幅な下方修正は、労働統計局の劣化の「兆候」だと指摘した。民間の推計の方がはるかに良かったという。同氏は、「私はデータを使って経済を追跡し、その先行きに賭けているため、詳しく知っている」と述べた。

トランプ大統領が労働統計局長後任に指名したEJ・アントニ氏は、同局のデータを「ナンセンス」と断じ、今週には改善が見られるまで月間雇用統計の発表を一時停止し、四半期ごとの発表に切り替えるよう提案した。

労働統計局は雇用統計だけでなく、消費者物価指数も発表している。消費者物価指数は長年にわたり、アメリカ国民が感じるインフレ圧力を正確に反映していないとして各方面から批判を受けてきた。

|翻訳・編集:林理南
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|原文:Trump Removal of BLS Commissioner Prompts Questions About Accuracy of Economic Stats