アーベ・ラボ、ホライズンを立ち上げ──機関投資家がトークン化資産を担保にステーブルコインを借入可能
  • DeFiレンディングプロトコルのアーベは、新プラットフォーム「ホライズン」で、機関投資家をターゲットにしている。ホライズンでは、借り手はトークン化された現実資産を担保にステーブルコインのローンを利用できる。
  • トークン化された現実資産の市場規模は260億ドルを超えているが、DeFiレンディングとの統合は限定的なままだ。

アーベ・ラボ(Aave Labs)は、新プラットフォーム「ホライズン(Horizon)」を立ち上げた。このプラットフォームは機関投資家の借り手向けのもので、米国債などのトークン化された現実資産(RWA)を担保に使用してステーブルコインを借り入れることができる。

立ち上げ時点では、機関投資家はスーパーステート(Superstate)の短期米国債や暗号資産(仮想通貨)キャリーファンド、サークルの利回りファンド、セントリフュージ(Centrifuge)のトークン化ジャナス・ヘンダーソン(Janus Henderson)商品を含む一連のトークン化資産を担保にして、サークル(Circle)のUSDコイン(USDC)、リップル(Ripple)のリップルUSD(RLUSD)、アーベ(Aave)のGHOを借り入れることができる。

ホライズンは、適格投資家に対して保有するRWAを担保にした短期融資を提供し、利回り戦略の展開を可能にすることを目指している。

ホライゾンは2025年3月に初めて発表された。アーベ・ラボはホライズンによって、急成長する260億ドル(約3兆7700億円、1ドル145円換算)規模のトークン化資産市場への参入と、こうした資産を機関投資家が利用できる資本に転換することを目指している。大手の銀行や資産運用会社が、運用効率の向上を狙って債券や株式、不動産などの伝統的な金融商品をトークンとしてブロックチェーン上に移行させるケースが増加しているため、トークン化資産は今後数年間で数兆ドル規模に成長すると予想されている。

ただし、RWAトークンを分散型金融(DeFi)のレンディング市場で使用できるようにする試みはまだ初期段階で、実際の使用はまだ限られている。

アーベ・ラボの創設者であるステイン・クレショフ(Stain Kulechov)氏は、「ホライズンは、機関投資家がオンチェーンで運用するために必要となるインフラと、深いステーブルコインの流動性を提供し、24時間365日のアクセス、透明性、より効率的な市場を実現する」と声明で述べた。

ホライズンはアーヴベV3(Aave V3)上で稼働している。DefiLlamaのデータによればアーベV3はプラットフォーム上に660億ドル(9兆5700億円)以上の資産を保有する最大の分散型レンディングプロトコルだ。

ホライズンの仕組みは、パーミッション型とパーミッションレス型の機能が融合したものだ。担保トークンには発行者レベルのコンプライアンスチェックが組み込まれているが、レンディングプールはオープンかつ組み立て可能になっている。

[ホライズン(アーベ・ラボ)]

チェーンリンク(Chainlink)のオラクルサービスでリアルタイムの価格データが供給される。NAVLinkを起点にトークン化資産の純資産価値をオンチェーンで直接提供することで、ローンに対して適切に担保が設定されていることを確保する。

立ち上げパートナーにはイシーナ(Ethena)、オープンエデン(OpenEden)、セキュリタイズ(Securitize)、ヴァンエク(VanEck)、ハミルトン・レーン(Hamilton Lane)、ウィズダムツリー(WisdomTree)など様々な資産発行者が含まれており、今後も担保対象となるトークン化資産の範囲拡大を予定している。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Christian Dubovan/Unsplash, modified by CoinDesk
|原文:Aave Labs Debuts Horizon to Let Institutions Borrow Stablecoins Against Tokenized Assets

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