- ビットコインは9月を10万7000ドル近辺でスタートしたが、歴史的に見ると、9月はBTCにとって弱い月であり、過去12年間で平均6%の下落を記録している。
- ストラテジーのビットコインに対するプレミアムの低下は、暗号資産に重点を置いた企業の財務戦略に対する市場の疑念を浮き彫りにしている。
- ビットコインの9月の歴史的な弱気傾向は、FRBの利下げによって緩和される可能性はあるが、ETFからの資金流出が下落を加速させるかもしれない。
ビットコイン(BTC)は9月に入り10万7000ドル付近で取引が始まったが、歴史は味方していない。
過去12年間の市場データでは、9月はビットコインにとって最も弱い月であり、中央値で約5%、平均で約6%の損失を記録している。
9月の季節的な弱さが迫る中、ストラテジー(Strategy)のビットコインに対するプレミアムが低下していると指摘する声もある。LVRGリサーチ(LVRG Research)のディレクター、ニック・ラック(Nick Luck)氏は、これは同社の財務偏重戦略に対する深い疑念を反映していると警告する。
「ストラテジーがビットコインプレミアム維持に苦戦している現状は、暗号資産(仮想通貨)の蓄積のみに焦点を当てた企業財務モデルが持続可能かを疑問視する投資家の動きという、より広範な市場変化を反映している。この動きは、暗号資産にとって歴史的に弱気傾向の強い9月の動向によってさらに悪化する可能性がある」とラック氏は述べた。
ラック氏はさらに「この需要減退は暗号資産市場が成熟段階に入った証左だ。構造的脆弱性と競争が、ビットコインの単なる代替手段を超えた長期価値の源泉を見直すことを迫っている」と付け加えた。
9月に向けてアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が高まる中、ハト派的な姿勢転換が季節的な下落圧力を和らげる可能性がある。逆に、新たなETF(上場投資信託)からの資金の流出や株式市場の大きな売りが発生すれば、歴史的なパターンが強化され、BTCは10万ドルの支持線へ向かう恐れがある。
2013年以降、ビットコインは9月に12回中8回で下落している。2019年の13%下落や2014年の19%下落といった激しい値下がりも発生した。強気相場の期間でさえ、上昇は停滞しがちだ。数少ない明るいデータは2015年、2016年、2023年で、上昇幅は2%から7%の範囲だった。
こうした傾向から、トレーダーは9月に季節性トレードを行うようになった。季節性とは、資産が暦年を通じて定期的に予測可能な変動を示す傾向を指す。
一見ランダムに見えるが、その背景には4月~5月の納税時期に伴う利益確定売りから、需要増加を示す12月の強気相場「サンタクロース・ラリー」までさまざまな要因が考えられる。
このパターンは暗号資産に限ったものではない。株式市場もこの時期に弱さを示す。しかし、ビットコインのより大きなボラティリティが、弱さを際立たせている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Hovers Around $107K as Weakest Month for Crypto Begins


