- ビットコインの強気相場は失速し、長期保有者による売却とETFの需要減速が価格を押し下げている。
- また、債券市場のボラティリティを示すMOVE指数が急上昇し、流動性逼迫の可能性を示唆している。
- 米国債のボラティリティの高まりは市場の売りを招き、ビットコイン価格に悪影響を及ぼす可能性がある。
ビットコイン(BTC)の強気相場は、長期保有者のウォレットからの売却が続くことと、ETF(上場投資信託)への流入が鈍化していることで、すでに失速している。さらに悪いことに、あまり知られていないが重要な市場変数がBTC強気派に逆風となり、新たな課題が迫っていることを示している。
その市場変数とは、メリルリンチ(Merrill Lynch)の元マネージングディレクター、ハーレー・バスマン(Harley Bassman)氏が作成したMOVE指数だ。この指数は、複数の満期(2年、5年、10年、30年)の1カ月物米国債オプション価格の加重平均を用いて、インプライド・ボラティリティ(予想変動率:IV)を計算する。この手法は、市場参加者の将来の金利動向に関する集合的な期待を捉えている。
MOVE指数は3日間で77から89に急上昇し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領による関税導入が世界市場を揺るがし、ビットコイン価格が7万5000ドルまで下落した4月初旬以来、最大の上昇幅を記録した。
さらに重要なのは、MACD(マックディー:移動平均収束拡散)ヒストグラムなどのモメンタム指標が明確な強気転換を示しており、この指数が継続的な上昇局面にあることを示唆していることだ。これはビットコイン強気派にとって注意を要する事態で、MOVE指数が示す債券市場のボラティリティ上昇局面は、世界的な流動性逼迫を引き起こすことが知られているからだ。
米国債は、高品質な流動資産と広く認識されており、世界的な担保プールの要として機能し、貸し手の信用リスクを軽減し、金融市場全体における円滑な資金の流れを促進している。
したがって、米国債のボラティリティの高まりは、流動性を阻害し、借入コストを上昇させ、信用市場や金融システム全体に波及効果をもたらす傾向がある。このような状況では、貸し手はより高いリスクプレミアムを要求し、市場参加者はリスクの高い資産から資金を引き揚げ、最終的には資金の流れを鈍化させ、世界市場にストレスを与える。
さらに、国債のボラティリティが高まると、債券保有者はデュレーションリスクを軽減するため、10年債や30年債などの長期債から2年債などの短期証券へと資産をシフトする傾向がある。
こうした「質への逃避」または「安全への逃避」は、通常、市場全体の売り圧力を伴う。これは、国債市場のボラティリティが高まる中で、投資家が株式、社債、その他のリスク資産へのエクスポージャーを減らし、資本を保全しようとするためだ。
したがって、歴史的に見て、BTCの価格上昇はMOVE指数の低下傾向を特徴としており、その逆もまた同様なのは驚くべきことではない。
端的に言えば、MOVE指数の最近の上昇は、BTC市場の苦境をさらに悪化させ、価格の下落をさらに深める可能性がある。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Bitcoin Bulls Should Keep an Eye Out for Spike in Key Bond Market Index


