- IBITは現在、ビットコインETF(上場投資信託)の運用資産残高(AUM)の57.5%を占めている。
- 2024年11月のETFオプションのローンチは、ビットコインの市場構造とボラティリティの様相を一変させた。
- オプション取引の出来高は1日あたり、40億ドル〜50億ドルで推移している。
アナリストのジェームズ・チェック(James Check)氏と、ビットコイン金融サービスを提供するアンチェインド(Unchained)社が作成した現在のビットコイン(BTC)市場の状況に関するレポートによると、最も興味深い点は、ビットコインETFの台頭、特にiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(iShares Bitcoin Trust:IBIT)の成功と、現在この商品を支えているオプション市場である。
レポートは、「オプションは現在、建玉ベースで主要なデリバティブ商品となっており、規模は900億ドル(約13兆円、1ドル=149円換算)を超え、800億ドルの先物市場を凌駕している」という引用で始まっている。
2024年1月のローンチ以来、IBITは18カ月間で約610億ドルの純流入を記録しており、史上最も成功したETFの一つとなっている。
しかし、その優勢は、2024年11月にETFオプションがローンチされた後に加速した。
特定の期間内に設定された価格で資産を売買する権利を得られるが、義務は負わないオプション市場は、資金の流れを劇的に変え、オプション取引が開始されて以来、IBITは328億ドルの流入を集めた一方で、競合他社は横ばいのままである。
レポートによると、IBITは現在、すべてのビットコインETFの運用資産残高(AUM)の57.5%を占めており、2024年10月の49%から増加している。ファンドで保有されているビットコイン1ドル相当ごとに、約40セントのオプション建玉があるという。
対照的に、2番目に大きいETFであるフィデリティ(Fidelity)のFBTCは、オプション建玉が約13億ドルで、IBITの約25分の1の規模である。
この取引の活発さにより、IBITは世界最大の暗号資産オプション取引所であるデリビット(Deribit)に匹敵するものとなっており、レポートによると、デリビットの1日の取引高は通常40億ドル〜50億ドルで推移している。
レポートはまた、資産1億ドルを超える投資運用会社にSECが義務付けている四半期開示であるフォーム「13F」にも言及している。これらの届出によって、ETFを保有している機関投資家が明らかとなり、他の投資家がオプション市場を利用してショートを行ったり、ボラティリティをヘッジするために裁定取引の手法を使用したりすることを可能にしている。
全体として、レポートは、ビットコインのボラティリティの様相がこのサイクルで大きく変化しており、ETFとそのオプション市場がその変化の主要な推進力となっていると結論付けている。
「現物ETFに加えオプション取引が開始されたことは、これまでのところあまり議論されていないが、我々の見解では、ビットコインの最近の市場構造における非常に重要な変化である」と、レポートは指摘している。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Kelly Sikkema/Unsplash
|原文:IBIT’s Options Market Fuels Bitcoin ETF Dominance, Report Suggests


