日本国債の利回りが17年ぶりの高水準に──円安が進み、ビットコインに圧力
  • 日本国債の利回り上昇を受け、ビットコインは圧力にさらされている。
  • ゴールドマン・サックスは、日本国債の利回り上昇が先進国全体の借入コスト上昇につながる可能性があると懸念している。
  • ドル指数は上昇しており、円は米ドルに対して下落している。

わずか数日間で状況は大きく変化する。ビットコイン(BTC)は最近、米ドル建てでも円建てでも史上最高値を更新した。これは、高市早苗新総裁の超金融緩和のアベノミクスへの傾倒が追い風となった。

しかし、まさにこのアベノミクスへの傾倒が、債券市場への影響を通じてビットコインに不利に働いているようだ。

アベノミクスの重要な点は、経済成長を支えるための政府支出の増加を特徴とする拡張的財政政策の実施だ。言い換えれば、国債の発行量が増加し、すでに暗い財政見通しをさらに悪化させる可能性がある。

日本国債はこれを織り込み、利回りを押し上げているようだ(債券価格と利回りは逆方向に動く)。TradingEconomicsによると、10年国債利回りは10月8日早朝に1.70%と、2008年7月以来の高水準に達した。1週間で13.31ベーシスポイント、12カ月間で76ベーシスポイント以上上昇している。30年国債利回りは3.34%まで上昇した後、すぐに3.16%まで低下した。

[10年物日本国債の利回り。:TradingView]

債券利回りの上昇は通常、借入コストの上昇につながるため、投資家のリスク選好度を低下させ、株式や暗号資産(仮想通貨)といったリスク資産の魅力を低下させる。一部のアナリストはビットコインをリスク資産であると同時にデジタルゴールドと見ているが、過去のデータでは、暗号資産はハイテク株の動きに連動する傾向が強いことが示されている。

日本国債利回りの上昇は、世界の債券市場への影響を考えると、さらに懸念が増す。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)によると、日本国債のボラティリティが米国債に波及し、市場の動揺をさらに高める可能性がある。

ブルームバーグによると、ゴールドマン・サックスのストラテジストは最近の市場ノートで、「特異な日本国債ショック」によって利回りが10ベーシスポイント上昇するごとに、アメリカ、ドイツ、イギリスの利回りに約2~3ベーシスポイントの上昇圧力がかかると予想している。

ドルは強い

ドル指数(DXY)は2カ月ぶりの高値に上昇しており、この動きは10月3日以降、対米ドルで3.5%下落している円安が牽引している可能性が高い。

円安は、国内で低金利政策を掲げるアベノミクスとも関連している。高市氏が4日にアベノミクスについて発言したことで、日本銀行による今月の利上げの可能性は低下している。

ドル指数は、ユーロ、円、ポンド、カナダドル、スウェーデンクローナ、スイスフランの6つの主要法定通貨で構成されており、ユーロが最も高い比重を占め、次いで円となっている。

ドル指数(DXY)の上昇は、しばしば金融引き締めを引き起こし、BTC、ゴールド(金)、その他のドル建て資産の上昇幅を抑制する傾向がある。

しかし、BTCの上昇は停滞しているものの、ゴールドはまったく影響を受けておらず、投資家が安全資産への投資を続けていることから、1オンスあたり4000ドルを突破している。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Under Pressure as Japanese Bond Yield Hits 17-Year High, Yen Depreciates

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