- TRMラボ(TRM Labs)の新しいレポートによると、トランプ時代は暗号資産(仮想通貨)市場にとって恩恵をもたらしているようであり、トランプ大統領は米国を暗号資産の主要なグローバルハブにするという公約を実現しようとしている。
- 今年の上半期の米国での暗号資産取引高は1兆ドルを超え、前年比で約50%増加した。
暗号資産を推進するトランプ大統領が米政府の暗号資産に対する慎重な抵抗姿勢を覆した今年の最初の6カ月間に、米国での暗号資産取引高は約50%急増して1兆ドル(約152兆円、1ドル=152円換算)を上回ったと、10月21日に発表されたデジタル資産の分析会社TRMラボのレポートは伝えている。
この急速な増加は多面的であり、機関投資家がステーブルコインやETF(上場投資信託)などの新しく規制された製品に参入し、さらに、米国の規制当局と議員が業界の規則を確立し始めたことで、投資家の安心感が高まった。
バイデン政権下で米証券取引委員会(SEC)と銀行規制当局が暗号資産を金融システムから遠ざけていたとき、業界のロビイストが繰り返し主張したのは、政府がイノベーターを海外に追いやっているという点であった。
トランプ氏は、就任した際に米国を「世界の暗号資産の首都」にすると誓った。 米国での取引高の50%の増加は、「より好意的な政治的および規制的な環境」に部分的に起因する可能性があると、TRMのグローバル政策責任者アリ・レッドボード(Ari Redbord)氏は述べた。
「この増加分のどれだけがオフショアの活動がオンショアに戻ってきたことによるものかは判断が難しいが、この傾向は米国市場における信頼の高まり、規則の明確化、および新たな資本形成と一致している」と、レッドボード氏は指摘した。
TRMラボは、グローバルな暗号資産活動の国別採用度のインデックスを手がけている。このインデックスは、経済的要因で加重されており、高所得国と関連性が高いと予想される高取引高を重視しないように設計されている。インドは3年連続で首位を維持しており、この期間は世界的に暗号資産が急成長した時期に該当する。
米国は2位につけ、パキスタン、フィリピン、ブラジルがトップ5の残りを占めた。
米国では、昨年の大統領選挙を境に暗号資産への関心が大きく変化した。レポートによると、選挙後6カ月間で暗号資産サービス提供業者へのウェブトラフィックは30%増加した。
今年7月までに、ホワイトハウスは暗号資産に友好的な政策を指示する各種の大統領令を発令。SECは同様の目的で暗号資産タスクフォースを設置。議会はステーブルコイン発行企業を規制する新法を可決し、さらに広範な市場構造法案も進展を見せ、下院を通過したものの、現在は上院で審議が停滞している。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:ドナルド・トランプ米大統領(Jesse Hamilton/CoinDesk)
|原文:U.S. Surging in Crypto Activity Under Trump: TRM Labs Report


