- DBSとゴールドマン・サックスは、銀行間における初の店頭取引（OTC）暗号資産オプション取引を完了したと発表した。これはアジアにおける暗号資産の制度化に向けた重要な一歩となる。
- この取引は現金決済型のビットコインおよびイーサリアムのオプションを対象としており、両行が暗号資産関連商品に紐づくエクスポージャーをヘッジすることを可能にした。
- この取引は、暗号資産デリバティブへの需要拡大と、伝統的な金融慣行が暗号資産エコシステムに統合されつつあることを示している。
世界有数の金融機関であるDBSとゴールドマン・サックス（Goldman Sachs）は、銀行間としては初の店頭取引（OTC）による暗号資産オプション取引を実行したと発表した。これはアジアにおける暗号資産の制度化に向けた大きな一歩となる。
両社は電子メールで、この取引には現金決済型のビットコインおよびイーサリアムのオプションが含まれており、銀行が暗号資産関連商品に紐づくエクスポージャーをヘッジすることを可能にしたと説明した。こうした取引は伝統的な金融で長年一般的だった慣行を反映しており、機関投資家のポートフォリオ向けに構造化されカスタマイズ可能なリスク管理ツールを提供する。
この画期的な出来事は、暗号資産デリバティブへの需要急増の中で起きた。DBSによると、2025年前半だけで同社の顧客は10億ドル（約1500億円、1ドル=150円換算）超の暗号資産オプションと仕組債の取引を実行し、取引高は第1四半期から第2四半期にかけて約60％増加したという。オプションは保有者に、特定の期間内にあらかじめ決められた価格で原資産を取引する権利（義務ではない）を与える。
シンガポールを拠点とするDBSでトレーディング・ストラクチャリング部門を統括するジャッキー・タイ（Jacky Tai）氏は「プロの投資家は、暗号資産ポートフォリオ構築のため、安全で信頼性が高く、適切に管理されたプラットフォームを求めている」と述べた。
タイ氏は声明で「ゴールドマン・サックスとの取引は、プラットフォームが銀行の強力な信用格付けとストラクチャリング能力を活用し、伝統的な金融のベストプラクティスをデジタル資産エコシステムに取り入れることができるようになったことを強調している」と語った。
機関投資家向け暗号資産デリバティブをいち早く提供したウォール街の金融機関の一つであるゴールドマン・サックスは、この取引が市場構造の進化を反映していると述べた。
「この取引は、現金決済の店頭暗号資産オプション市場における銀行間取引の発展を示すものだ。機関投資家の活動が活発化するにつれ、この分野では継続的な成長が見込まれる」と、同行のアジア太平洋地域デジタル資産責任者であるマックス・ミントン（Max Minton）氏は語った。
この取引は、規制対象の銀行がオプション、スワップ、仕組債といった慣れ親しんだ手段を通じて、伝統的な金融市場と暗号資産市場の橋渡しを進めている実態を浮き彫りにしている。より多くの機関投資家がこうしたヘッジ手段を採用するにつれ、アジアの暗号資産環境は、世界の資本市場を特徴づけるリスク管理と流動性枠組みを模倣する態勢をますます整えつつあるようだ。
｜翻訳：CoinDesk JAPAN
｜編集：井上俊彦
｜画像：DBSのピユシュ・グプタ（Piyush Gupta）CEO。（DBS modified by CoinDesk）
｜原文：DBS, Goldman Sachs Execute First Over-the-Counter Interbank Crypto Options Trade
