委員「重厚すぎる」、事業者「存続できない」──暗号資産規制に懸念噴出、金融審議会

金融庁は11月7日、金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ(WG)」の第5回会合を開催した。

今回の会合で金融庁事務局は、これまでの議論を総括する資料を提示。その中では、新たに「暗号資産の借入れへの対応」という項目も盛り込まれた。

[金融庁:事務局説明資料から]

これは、利用者が暗号資産を貸し出して対価を得るレンディングやステーキングといった運用ビジネスを念頭に置いたもので、金商法を適用し、信用リスク等を踏まえた体制整備を事業者に義務付けてはどうかという内容だ。

こうした規制強化案の全体像に対し、委員からは慎重な意見が出された。

有吉尚哉弁護士(西村あさひ法律事務所)は、一連の規制案が「重厚で、全体として非常に多くの対応を求める内容になっている」と指摘。自主規制機関の体制整備が追いつかない現状では、ビットコインのような基本的な暗号資産の取引さえ行いにくくなる事態も懸念されるとした。

[金融庁:事務局説明資料から]

その上で、特に制度改正の施行直後においては、「ある程度緩やかな方向での規制、運用の柔軟性を意識してほしい」と、現実的な制度運用を求めた。

また、京都大学の岩下直行教授(元日本銀行金融研究所)は、規制が及ぶのは国内交換業者が介在する「オフチェーン取引」に限られるという構造的な問題を改めて指摘。

世界中で行われる「オンチェーン取引」までは統制不可能であり、規制には現実的な「限界」があることを報告書に明記すべきだと求めた。

会合の最後には、事業者サイドからも切実な声が上がった。

日本ブロックチェーン協会の代表理事を務める暗号資産取引所bitFlyerの加納裕三氏は、規制の方向性に理解を示しつつも、現状の提案は「イノベーション1、規制9ぐらいの肌感覚」であり、非常に厳しいとの認識を表明。

暗号資産交換業者の9割が赤字という経営実態に触れ、このままでは業界が「存続できない」と強い危機感を示した。その上で、高コストな割に実効性が疑問視される規制項目もあるとし、事業者とユーザーの声を踏まえたバランスの取れた制度設計を強く求めた。

議論は最終局面に差し掛かっているが、金融庁がこうした現実的な課題を報告書にどう反映させていくかが、今後の焦点となる。

なお、第1回から第4回までのワーキング・グループでの詳細な論点については、以下の記事にまとまっている。

関連記事:暗号資産規制、金商法化へ──金融審議会WG第1回〜第4回の論点総まとめ

|文:栃山直樹
|画像:Shutterstock

PR

ボーナスで始めるのにおすすめな国内暗号資産取引所3選

取引所名特徴

Coincheck
500円の少額投資から試せる!】
国内の暗号資産アプリダウンロード数.No1
銘柄数も最大級 、手数料も安い
無料で口座開設する

bitbank
【たくさんの銘柄で取引する人向け】
◆40種類以上の銘柄を用意
◆1万円以上の入金で現金1,000円獲得
無料で口座開設する

bitFlyer
初心者にもおすすめ】
◆国内最大級の取引量
◆トップレベルのセキュリティ意識を持つ
無料で口座開設する