- 暗号資産業界のオンチェーンエコノミーは、価格投機だけでなく、手数料、ユーザー、実需によって牽引される新たな段階に突入したと、ベンチャー企業1kxによる包括的な最新調査が指摘した。
- 同社の「オンチェーン収益レポート(2025年上半期)」は1200超のプロトコルの検証済みオンチェーンデータを集計し、分散型システム内で価値が実際にどのように移動しているかを追跡。その結果、驚異的なスピードで成長している200億ドル(約3兆800億円、1ドル154円換算)規模のエコノミーが明らかになった。
ベンチャー企業1kxによる包括的な最新調査によると、暗号資産(仮想通貨)業界のオンチェーンエコノミーは、価格投機ではなく、手数料、ユーザー、実需によって牽引される新たな段階に突入した。
同社の「オンチェーン収益レポート(2025年上半期)」は1200超のプロトコルの検証済みオンチェーンデータを集計し、分散型システム内で価値が実際にどのように移動しているかを追跡。その結果、驚異的なスピードで成長している200億ドル(約3兆800億円、1ドル154円換算)規模のエコノミーが明らかになった。
「オンチェーン手数料は、実需を示す最も明確なシグナルだ」と1kxはレポートで書いている。
レポートによると、DeFiプロトコルは依然としてオンチェーン手数料全体の約63%を占めているが、新しい分野が急速に成長している。ウォレットはインターフェースが収益源となったことで収益が前年比260%増加し、コンシューマー向けアプリは200%、DePIN(分散型物理インフラネットワーク)は400%成長した。
イーサリアムの優位性は薄れてきている。これは、スケーリングソリューションや代替ブロックチェーンの登場により取引コストが低下したからだ。収益化プロトコルの数は8倍に増加したにもかかわらず、イーサリアムの平均取引手数料は2021年以降86%減少している。
レポートは、手数料と評価額の乖離についても指摘。上位20のプロトコルがオンチェーン手数料全体の70%を占めているにもかかわらず、時価総額はそれに追いついていない。DeFiアプリケーションは時価総額対手数料比が約17倍で取引されているのに対し、ブロックチェーンは3900倍もの評価を受けており、投資家が「国家規模」のナラティブを持つ資産に依然として高いプレミアムを付けていることを反映している。
1kxは、このミスマッチは機会を示している可能性があると指摘。「市場はアプリケーションをビジネスとして評価し始めている」と同社は述べ、継続的な手数料収入のあるプロトコルが次の投資サイクルを牽引する可能性があることを示唆した。
1kxは今後の見通しとして、オンチェーン手数料が2026年に前年比63%増の320億ドル(約4兆9280億円)に達すると予測。最大の成長要因として、現実資産(RWA)のトークン化、DePINネットワーク、ウォレットの収益化、コンシューマー向け暗号資産アプリを挙げている。
規制の明確化とスケーラブルなインフラの整備が相まって、暗号資産は「成熟期」の始まりを迎える可能性がある──つまりは利用、手数料、価値の分配がようやく収束すると同社は主張している。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:
|原文:1kx: Onchain Economy Hits $20B as Fees Signal Real Demand


