- シンガポール金融管理局(MAS)は、ホールセールCBDCで決済されるトークン化された証券の発行試験を計画している。
- MASはまた、ステーブルコイン規制体制に関する法案の草案を準備している。
- MASは、ホールセールCBDCを、民間決済資産がさまざまな市場ニーズに応じて活用されるシステムの基盤と捉えている。
シンガポールの中央銀行にあたるシンガポール金融管理局(MAS)は、ブロックチェーンベースの金融を経済に統合する次の段階として、ホールセール中央銀行デジタル通貨(CBDC)で決済されるトークン化された証券の発行試験を計画している。
MASのマネージングディレクターであるチア・デル・ジュイン(Chia Der Juin)氏は11月13日、シンガポール・フィンテック・フェスティバル(Singapore Fintech Festival)で、MASはステーブルコイン規制体制に関する法案の草案も準備していると述べた。
「トークン化された取引が世界的に拡大するためには、これらの決済資産も堅牢で安全でなければならない」とデル・ジュイン氏は述べた。「現段階では、市場参加者はさまざまなユースケースに合わせて異なる決済資産を実験している」。
トークン化とは、債券や株式といった現実資産(RWA)を、ブロックチェーン上で売買可能なデジタルトークンとして表現することを指す。
デル・ジュイン氏は、トークン化された銀行負債が、「価値の安定性と通貨の単一性を支える」現在の規制要件から恩恵を受ける仕組みを説明した。MASは、ホールセールCBDCに裏付けられたトークン化された政府債務を通じて、この仕組みの試験を計画している。
ホールセールCBDCは、金融機関が大口取引の決済に用いるデジタル形式の法定通貨だ。これは、一般の人々がデジタル形式の現金として利用するリテールCBDCとは異なる。
MASは、ホールセールCBDCを、民間決済資産がさまざまな市場ニーズに応じて活用されるシステムの基盤と捉えている。
「規制されたステーブルコインがシステム上重要になった場合、規制枠組みをさらに強化する必要があるだろう」とデル・ジュイン氏は付け加えた。
この目的のため、MASのステーブルコイン規制に関する法案の草案は、健全な準備金の裏付けと償還の信頼性を優先すると同氏は述べた。
中央銀行の中で、MASはトークン化や決済手段としてのデジタル資産に関する規制体制の構築において最前線に立ってきた。2022年に開始されたプロジェクト・ガーディアン(Project Guardian)は、MASが主導する取り組みであり、外国為替や債券などの分野におけるトークン化のユースケースを検証し、仲介者を減らしてほぼ即時決済を実現することを目指している。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:Mike Enerio/Unsplash, modified by CoinDesk
|原文:Singapore’s Central Bank to Trial Tokenized Bills, Introduce Stablecoin Laws


