シンガポール、暗号資産カストディサービス等のライセンス取得を義務化
  • シンガポールでは今後、カストディ等のサービスを提供する事業者にライセンス取得が義務づけられる。
  • 関連法の改正案は2021年に議会で可決されていたが、シンガポール金融管理局は4月2日に施行を発表した。

シンガポール金融管理局(MAS)は4月2日、政府が規制する暗号資産(仮想通貨)関連業務の範囲を拡大し、カストディサービスを対象に含めると発表した。

さらにこの度の改正により、国境を越えた送金(資金がシンガポール国内で受理・受領されない場合も含む)や、口座・取引所間の暗号資産の移転も規制対象に含まれることになった。

決済サービス事業者を規制する枠組みである決済サービス法(PS法)の改正案は2021年に可決され、2021年第4四半期に施行される予定だったが、MASは2日になってようやく施行を公表した。FTXの破綻によって暗号資産業界は2021年から大きな混乱に見舞われ、世界中で規制環境が変化した。

ブロックチェーン・インテリジェンス企業TRMラボ(TRM Labs)のシニア・ポリシー・アドバイザーで、MASの元職員であるアンジェラ・アング(Angela Ang)氏は、「この改正は、カストディサービスなど、暗号資産エコシステムの重要な部分に対する規制を明確化するもので、長く実現が望まれていた」と述べた。

今回の改正は、デジタル決済トークン(DPT)・暗号資産関連のサービスを提供する事業者に対して、ユーザー保護や財務安定性に関連する要件を課すもの。

その内容としては「顧客の資産を分別管理し、顧客の利益のために信託口座に預けること、適切な帳簿と記録を維持すること、効果的なシステムと管理制度が導入されていることを確認すること」などが含まれ、2024年4月4日から6ヶ月以内に施行される。

すでに決済サービス法に基づいて暗号資産関連事業を行っている事業者は、30日以内に移行手続きを開始し、2024年4月4日から6ヶ月以内にライセンスを申請すれば、審査中も活動を継続できる。

ライセンス申請には、マネーロンダリング防止およびテロ資金対策に関する要件を遵守していることを証明する報告書が必要となり、9ヶ月以内に外部監査人による認定を受けなければならない。

これらの要件を満たさない事業者は、すべての活動を停止しなければならない、とMASは述べた。

|翻訳・編集:行武 温
|画像:Singapore view.(Larry Teo/Unsplash)
|原文:Singapore Enacts Licencing Requirements for Crypto Custody Services and Others