サントリーが所有するスコットランド・アイラ島の老舗蒸留所ボウモア(Bowmore)は11月5日、54年熟成の超希少シングルモルト「ボウモア ARC-54」をNFTを通じて販売すると発表した。ブロックチェーン、NFT、近距離無線通信(NFC)を組み合わせ、ウイスキーの所有・飲用体験を強化する新たな取り組みだとしている。
ボトルにNFCタグ内蔵
購入者は限定NFTを取得することで「ボウモア ARC-54」を入手できる。つまり、NFTはボトルの所有を証明する役割を持つ。ボトルのネック部分にはNFCタグが内蔵され、真正性の証明に加え、開封の瞬間を記録して「飲用証明NFT」を請求できる仕組みとなっている。これらのNFTはデジタルライブラリ上で展示可能だ。
対象となるのは、1968年に蒸留され半世紀以上熟成されたARC-54のうちの「ボトルNo.128」。128という数字は128ビットコンピューティングにちなんだもので、今回のNFT販売はこの1本のみだ。価格は12万ドル(約1850万円、1ドル=154円換算)で、ステーブルコインまたは米ドルでの決済に対応する。受け取りはシンガポールまたはロンドンとなる。
NFCタグと「飲用証明NFT」の組み合わせは、2024年秋に販売されたビール「マスターズドリーム」の原酒樽熟成シリーズでも採用された。今年1月、CoinDesk JAPANはこのプロジェクトを担当したサントリーのWeb3チームにインタビューしている。
特許出願中の独自技術
今回のデジタル体験はサントリーホールディングスが独自に開発し、特許出願中。ブロックチェーン技術をグローバルで活用し、超プレミアムウイスキーの真正性検証を含むデジタル体験の拡張を狙う。
サントリーAPACのWeb3戦略担当マネージングディレクター、Sebastian Zilliacus氏はリリースで、「独自技術を活かし、ブロックチェーン、NFC、NFTを組み合わせることで、顧客体験全体の変革を目指す。デジタル所有、物理ボトル、蒸留所体験、そして消費証明をつなぐ統合されたジャーニーを実現する」と述べている。

購入者にはアイラ島での特別体験
「ボウモアARC-54」の購入者は、デジタル体験に加えて、アイラ島での2泊3日のラグジュアリー体験を楽しめる。閉館後のボウモア蒸留所で超希少ウイスキーや食事を体験できるほか、アイラ島を巡るプライベートクルーズ、カスクストレングス(樽出しそのままの度数)の手詰めシングルモルトなどが提供される。
なお、NFTはAvalanche(アバランチ)上で発行される。
|文:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:ボウモアのウェブサイトより(キャプチャ)


