- 主要な暗号資産が1週間にわたって下落する中、暗号資産市場のセンチメントは「極度の恐怖」に陥り、恐怖・強欲指数は2月下旬以来の最低水準となる10に低下した。
- ビットコインは下落を主導し、過去7日間で5%以上下落して3月初旬以来の水準で取引されている。市場全体も5.8%の下落となった。
- この売りは、利益確定や機関投資家による資金流出、マクロ経済の不確実性、流動性の低下など、複数の要因が重なった結果とみられる。
暗号資産(仮想通貨)市場のセンチメントは急激に悪化し、恐怖・強欲指数(Fear & Greed Index)は「極度の恐怖」を示す水準である10に低下した。これは2月下旬以来約9カ月ぶりとなる低い数値だ。
このセンチメントの急激な悪化は、主要な暗号資産が1週間にわたって下落したことを受けて生じた。下落を主導したのはビットコイン(BTC)で、大規模な売りの流れの中で9万6000ドル(約1440万円、1ドル150円換算)をやや下回るまで下落した。10万ドル台を割り込んだのは今月2度目となる。

投資家のセンチメントを測る人気の指標である恐怖・強欲指数は、ビットコインが過去7日間で5%以上下落したことによる不安の高まりを反映している。ビットコインは、12万ドル(約1800万円)を超える史上最高値から着実に下落し、本記事執筆時点では3月初旬以来の水準で取引されている。
取引高上位の暗号資産の動向を示すCoinDesk 20 Index(CD20)も、1週間で約5.8%下落した。
ナンセン(Nansen)のシニアリサーチアナリストであるジェイク・ケニス(Jake Kennis)氏は電子メールでのコメントで、「今回の売りは、長期保有者による利益確定、機関投資家による資金流出、マクロ経済の不確実性、そしてレバレッジをかけたロングポジションの解消が重なった結果だ」とし、「明確なのは、長期にわたる調整/レンジ相場の後、市場が一時的に下落方向を選択したことだ」と述べた。
売りの背景には、米連邦準備制度理事会(FRB)による今月の利下げへの期待が薄れていることも含まれる。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatchツールでは、本記事執筆時点で25ベーシスポイントの利下げの確率が50%近くになっており、カルシ(Kalshi)やポリーマーケット(Polymarket)などの予測市場でも、トレーダーは同様の確率を織り込んでいる。
さらに、ホワイトハウスは、最近終了した政府閉鎖の影響により10月のインフレ率を含む直近の主要な経済指標が全く発表されない可能性があると発表した。これは、トレーダーが利用できるマクロ経済データが少なくなることを意味する。
また、流動性の低下も問題となっている。市場は10月に発生した大規模な暴落からまだ完全には回復しておらず、主要な中央集権型取引所の注文板の厚みは、その後も構造的に低い状態が続いている。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Midjourney/Modified by CoinDesk
|原文:Crypto Market Slips Into ‘Extreme Fear’ After Bitcoin Fails to Hold $100,000 Level


