- 国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の暗号資産に関する一連の調査報道は、 バイナンス、OKX、コインベース、クラーケン、バイビット、クーコインといった主要な取引所を通じて不正資金が流れている実態を明らかにした。
- 35カ国100人以上のジャーナリストがICIJと共同でこのプロジェクトに取り組んだ。
- ICIJのメディアパートナーには、ニューヨーク・タイムズ、ル・モンド、トロント・スター、マレーシアニ、インディアン・エクスプレス、オーストラリアン・フィナンシャル・レビューが含まれる。
国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は数百人の記者からなる世界的なネットワークで、パナマ文書のような大規模な資金洗浄作戦を明るみに出すのに貢献した。同連合は今、暗号資産(仮想通貨)に焦点を当て、ほぼ尽きることのない不正の山を発見した。
「コインランドリー(Coin Laundry)」と名付けた一連の暗号資産に関する調査報道でICIJは、バイナンス(Binance)、OKX、コインベース(Coinbase)、クラーケン(Kraken)、バイビット(Bybit)、クーコイン(KuCoin)といった主要な取引所を通じて、いかに不正資金が流れているかを明らかにした。
ICIJが追跡した暗号資産は、北朝鮮のハッカー集団、人身売買やフェンタニルなどの薬物取引を専門とする中国・ロシアの犯罪組織、メキシコのシナロア麻薬カルテルなど、世界中の犯罪組織と結びついていた。さらにウクライナやドバイなどでは「暗号資産を現金化する店舗」という手法が公然と使われていた。
ICIJは調査結果が「ブロックチェーン技術の台頭と、暗号資産取引の速度・匿名性・グローバルな広がりが相まって、規制当局や法執行機関の手の届かない、より迅速で闇深く、広範な影の金融システムを人知れず生み出した実態」を証明していると述べた。
実際、あるアナリストによれば、例えば、麻薬カルテルはドルペッグ型ステーブルコインを含むまったく新しい金融システムを利用して容易に資金を移動できる。かつて、犯罪者が車のトランクに現金を詰め込む必要があった時代とは対照的だ。
「数十年にわたり、我々は隠された資金がオフショア・ヘイブンをどう移動するかを示してきた。今では暗号資産市場を悪用して公然と不正資金を移動させる実態を暴いている」とICIJのジェラード・ライル(Gerard Ryle)事務局長は声明で述べた。
「我々の調査は緊急の疑問を提起する。主要暗号資産取引所は犯罪活動を可能にするという点では共犯者ではないのか。そして規制当局は、不透明性と速度で繁栄する金融システムにどうして追いつけないのだろうか」と彼は問いかけた。
暗号資産取引の世界は、違法資金や疑わしいウォレットアドレスを追跡する複数の大手ブロックチェーン分析企業によって監視されている。それらの多くは主要取引所のコンプライアンス部門と契約を結んでいる。ICIJの調査は、分析実施のために小規模な独立系ブロックチェーン調査機関にも依存したようだ。
35カ国以上から100人以上のジャーナリストが集まり、ICIJと共同で本プロジェクトに取り組んだ。メディアパートナーにはニューヨーク・タイムズ、ル・モンド、トロント・スター、マレーシアニ、インディアン・エクスプレス、オーストラリアン・フィナンシャル・レビューなどが名を連ねている。
CoinDeskはバイナンス、OKX、コインベース、クラーケン、バイビット、クーコインにコメントを求めた。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Investigative Reporter Group ICIJ Exposes ‘Coin Laundry,’ Crypto’s Criminal Financial System


